2013年7月 4日 (木)

薬用バラ(3)ダマスクローズ、ガリカローズ。

ハーブ•アロマテラピーを学ぶ方のためのボタニカル講座 第28回目の話題: “薬用バラ(3)ダマスクローズ、ガリカローズ。”です 今回は香料、薬用として利用されてきたバラ、“ダマスクローズ”と“ガリカローズ”をとりあげます。

ロサ ダマスケナ:

 撮影日:2013年6月12日 

 撮影場所 蔵王町七日原 

 撮影者:阿部俊暢

 

1.ダマスクローズ

【概要】

 ローザダマスケナ(R. damascene)、またはダマスクローズは、バラ科バラ(Rosa)属の多年生落葉低木で、約2m程度の高さに成長します。夏に渡って、赤、白、またはピンクの花をつけます。ペルシャ(イラン)原産で、現在はブルガリア、トルコで商用栽培されています。

 花の女王として知られている R. damascenaの花の香りは、長い間、愛と美のシンボルとして珍重されてきました。ダマスクローズは、主にバス、スキンケア製品に使用するための精油を抽出するために栽培されています。

 ローズオイルとローズウオーターは、ダマスクローズの花弁の水蒸気蒸留により生成され、また、使用の長い歴史を持っています。ダマスカスに起源をもつと考えられる、ダマスクローズは、十字軍より戻った騎士団によって14 世紀にシリアからヨーロッパにもたらされたといわれています。ダマスクローズを含む様々なバラの品種が、古代ギリシャ、ローマ、アジア、エジプト、アラブ世界で栽培され、使用されてきました。ペルシャの医師であるアヴィケンナは、最初にローズウオーターを製造したとして知られています。 CE77 年に、大プリニウスは、ローズ製剤の32の異なった有効作用を記録しています。ダマスクローズの製剤は、内用で、様々な不調を和らげるため、アーユルヴェーダ、インドの伝統医学で使用されています。ローズオイルは局所的に、肌を柔軟にし、つやときめを強化するとして、乾燥肌からから老化肌のあらゆるタイプの皮膚に使用されています。コールドクリームは、ローズオイルとローズウオーターが含まれているため、もともと"バラ水の軟膏"として知られていました。 

 ローズ精油の外用適用は、炎症を起こした皮膚をなだめるのに有用です。アロマセラピーで、ローズ精油は、うつ病、不安、悲しみ、負の感情に対処するために利用されています。単独での香りは、高揚と安定化の効果を持つと言われています。ローズオイルは、英国の君主の戴冠式で主に選ばれるオイルです。

 

【ダマスクローズ(ローズオットー)精油のプロフィール】

 産地の例:ブルガリア、トルコ

 抽出部位:花

 精油製造法:水蒸気蒸留法

 成分の一例:シトロネロール、ゲラニオール、フェニルエチルアルコール

       ネロール、ダマスコン(特徴成分)

 イブンシーナは、バラの花を蒸留して得た芳香蒸留水を治療に用いました。精油は、バラの開花直前、芳香成分が揮発する前にひと花ずつ採取して製造されます。

 ローズオットー精油は、薄い茶色をしており、低温で固まる性質を持っています。ぬくもりを感じさせる甘美な香りは、心を陶酔させ、多幸感を与えます。ストレスによる心と身体の緊張を和らげ、穏やかに強壮します。 たくさんの花からわずかな量しかとれない貴重な精油です。

 *日本アロマ環境協会 アロマテラピー検定 公式テキスト1級より

ロサ ガリカ:

 撮影日:2013年6月12日 

 撮影場所 蔵王町七日原

 撮影者:阿部俊暢

 

2.ロサ ガリカ(Rosa gallicaVar officinalis)

【概要】

 ロサガリカ(Rosa gallicaVar officinalis)は、バラ科バラ属のやぶ状に生い茂る落葉性の灌木です。葉は剛毛におおわれ、革のような葉に切れ込みがあります。直径4〜8cmの香り高い花が夏咲き、赤れんが色の実がなります。

 このバラの原種については諸説ありますが、13世紀にガリア(今のフランス)に広まったときにこの名がつけられたと考えられています。フランスではプロヴァンの町の近くで多量に栽培されるようになり、その当時は主に修道院で栽培され修道士がその花びらから医薬化合物を製剤したといわれています。ジャム、ゼリー、オイルとパウダーが作製され、乾燥させた花びらはまたその芳香を維持するため、ポプリとして人気がありました。

 15世紀のイギリスでの有名なバラ戦争の、ランカスター家のシンボルのレッドローズはこのガリカローズです。このためこのバラの英名は“red rose of  Lancaster”です。

 19世紀までは、薬剤師によって販売される治療薬に不可欠な成分を提供するために広く栽培され続けました。そのためもうひとつの英名“Apothecary’s rose(薬剤師のバラ)の名があります。今日ではその目的のために大量には栽培されてはおらず、主に観賞用、園芸植物として考えられています。しかし、その香りの花びらはまだポプリとして人気があり、また、現代の化粧品や香水の製造にも使用されています。

 また、その形状が、すっきりとコンパクトに高さおよそ90cm(3フィート)に維持されるために、低い生け垣として利用されています。花が咲く真夏のころは生け垣の両側がピンクの絨毯にそまります。

 

 【メデイカルハーブとしての利用】

 英国王立園芸協会のハーブ大百科には以下のように記載されています。

<英名>Apothecary’s rose 、red rose of  Lancaster

<利用部位>花

<特徴>芳香、収斂、強壮性のハーブで、細菌感防止、治癒促進、意欲改善作用がある。

<料理用>花びらはサラダに加える。

<香料用>乾燥させた花びらはポットプーリーに入れる。

<薬用>風邪、気管支感染症、胃炎、下痢、鬱症、嗜眠に内服する。外用薬として喉の痛み、眼の炎症、軽い傷、皮膚疾患に有効。アーユルベーダでは炎症、循環器系の充血、喉の痛み、口内のただれ、月経困難症に内服する。

 

【安全性】

 メデイカルハーブ安全性ハンドブックには未収載。

 

                           記 阿部俊暢  

 

 

参考資料

*  フリー百科事典ウイキペデイア 英語版

*英国王立園芸協会 ハーブ大百科

*日本アロマ環境協会 アロマテラピー検定 公式テキスト1級

*ABC(アメリカ植物評議会)」Webページ

*メデイカルハーブ安全性ハンドブック

*健康データベース(独立行政法人国立健康•栄養研究所編)

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