フランス・パリにある世界の細菌研究の最高峰といわれているパスツール研究所と日本の大手食品メーカー明治が、プレーンヨーグルトを用いた共同研究を実施することが明らかになった。本誌はパリで行われた契約の調印式を単独取材した。契約によると共同研究の期間は2年。明治の最主力商品「明治ブルガリアヨーグルトLB81」に使用している「LB81乳酸菌」の腸内のアンチエイジング効果(健康長寿機能)の解明、さらにその応用への道筋を探るというもの。
国際的に、ヨーグルトにはブルガリア菌とサーモフィラス菌の2種類の乳酸菌をスターター(種菌)とすることが規定されている。LB 81 乳酸菌は、ブルガリアの伝統的なヨーグルトの発酵に使われているこの2種類の混合菌だ。
”腸の健康”=”体の健康”善玉菌優勢の腸をキープ
食機能科学研究所
機能性評価研究一部
ゲノミクスG長
浅見幸夫さん
腸は消化・吸収だけでなく、体全体の免疫機能の約60%を担う重要な器官で、体の健康と密接なかかわりを持っている。
腸には数千種類、数千兆個もの細菌がすんでおり、これらの細菌には、消化・吸収や免疫力をアップする「善玉菌」や、有害物質を増やし、腸内腐敗を起こしたり発がん性物質を作る「悪玉菌」などがある。腸の健康を守るには、善玉菌優勢の状態をキープすることが大切。しかし、現代人の生活には、偏った食生活やストレスなど、悪玉菌を増やし腸内環境を悪化させる要因が少なくない。また、加齢によって消化機能が低下することにより、悪玉菌が増殖することもある。
そこで今回の研究では、腸の強い味方になってくれる乳酸菌を豊富に含むヨーグルトのアンチエイジング機能にフォーカスを当てる。
乳酸菌は腸内を酸性にし、酸性に弱い悪玉菌の増殖を抑制したり、腸管の蠕動(ぜんどう)運動を刺激する。さらに、ヨーグルトに含まれる乳糖は、善玉菌の栄養源となりその量を増やす。ヨーグルトの乳酸菌の中でも、今回使用されるLB81乳酸菌には、これまでに慢性的な便秘で肌が乾燥しがちな女性を対象とした試験での弾力性や乾燥などの程度が改善されたという報告も。
「明治ブルガリアヨーグルトLB81」は、特定保健用食品の認可を得ており、1日100g以上摂取し続けることで、腸内細菌のバランスを整えるなど整腸作用を持つことが科学的に証明されている。明治・食機能科学研究所の浅見幸夫グループ長は、「すでにマウスの実験では、寿命延長効果も期待できることがわかってきています。そのメカニズムは、免疫において重要な働きをする腸の健康を保つことにありそう」と話す。
左から順に「セブンプレミアム 北海道ヨーグルト プレーン」450g 128円。プロバイオティクス乳酸菌LA-2を使用。問/セブン&アイ・ホールディングス 03-6238-3000
「北海道プレーンヨーグルト」450g 252円(編集部調べ)。生きたまま腸に届く乳酸菌、Bb-12を使用。問/タカナシ乳業 お客様相談室(フリーダイヤル) 0120-369-059
「明治ブルガリアヨーグルトLB81プレーン」450g 262円(編集部調べ)。LB81乳酸菌を使った特定保健用食品。問/明治 お客様相談センター(フリーダイヤル) 0120-598-369
「小岩井 生乳(なまにゅう)100%ヨーグルト」400g 283円(編集部調べ)。生乳100%使用。ビフィズス菌BB-12がお腹の調子を整える。特定保険用食品。問/小岩井乳業 お客様相談室(フリーダイヤル) 0120-171766
「よつ葉北海道十勝プレーンヨーグルト 生乳100」400g233円(編集部調べ)。ビフィズス菌Bb-12が腸内環境を改善。特定保健用食品。問/よつ葉乳業 お客様サービスセンター(フリーダイヤル) 0120-428-841
ヨーグルトは、約7000年もの昔からブルガリアで食べられてきた健康食。1850年代に微生物学の始祖、パスツールが初めて乳酸菌の研究を本格的に行った。その後、免疫の分野でノーベル賞を受賞したイリヤ・メチニコフが、ヨーグルトをよく食べるブルガリアに長寿者が多いことに着目し、1907年に「不老長寿論」を発表。「老化防止には腸内腐敗を抑制するヨーグルトの乳酸菌が有効」と唱えた。
これは当時としては画期的な考えで、現代でいう生活習慣病改善やプロバイオティクスの基礎となるもの。腸内細菌叢の重要性を指摘したという点で功績が大きく、この発表以来、ヨーグルトは世界中で知られるようになった。
日本でも発酵乳製品の歴史は古く、7世紀頃に伝わってきたが、高貴な人々の薬として使われていたため一般には普及しなかった。日本で「プレーンヨーグルト」が買えるようになったのは40年前から。今では健康を考える多くの人に愛される食品となっている。
栄養価満点のヨーグルトは毎日100gが目安
ヨーグルトの主原料は牛乳なので、たんぱく質やカルシウム、ビタミンなど、人に必要な栄養素がバランスよく含まれている点が知られている。また、乳酸菌の働きによりカルシウムの吸収率が比較的高い。
アンチエイジング効果の詳細解明には2年後を待つしかないが、健康メリットの多いヨーグルトは今すぐにも生活にとり入れたいものだ。
「ヨーグルトの乳酸菌は腸内に留まらないので、極力毎日食べること。100gを目安に、生活習慣にあわせ自分流の食べ方を見つけるといいでしょう」(浅見さん)
明治とパスツール研究所の研究契約締結の調印式。写真右=左からパスツール研究所・クドン広報部長、同・エベール博士、同・ドートリ所長、明治・馬場取締役常務執行役員、同・佐藤ヨーグルトマーケティング部長。