生野菜vs加熱野菜、どっちが体にいい?(2/2)

2014年7月21日

野菜の食べ方は、1か0かではなく、体との対話から始めよう!

「食物酵素と消化酵素」という観点で見ると…

 ローフード(生食)を推奨する人達は、生食をすると食物酵素が私達の消化を助けてくれるので、体内の消化酵素の分泌が少しで済み、消化器官への負担が減り、健康的だと言います。でも、実際には、食物酵素は、私達の体内で消化酵素の働きはしません。だって、食物酵素は、消化酵素によって消化分解されてしまうからです。

 「消化酵素の分泌が少ないほうが消化器官への負担が軽減されるので良い」ということにも科学的な根拠はありません。私達の体は、必要なものは必要なだけつくるようにできています。生野菜を食べることで、私達の消化酵素が減るようなことはありません。というか、生野菜をしっかり噛んで食べることで、しっかり消化酵素が分泌されるようになり、消化不良もなく、良好な体内環境が作られます。

 つまり、食物酵素には調理すると壊れてしまうものが多いのは確かですが、だからと言って、生で食べたとしても私達の消化酵素によって壊されてしまうので、どちらにしても生きたまま腸に届くことはないのです。

 巷で「酵素」「酵素」と言われているものには、様々な混乱が生じているように思います。ここで、簡単に整理しておきますね。

 食物には様々な微生物が付着、存在しています。これらひとつひとつの微生物には、特定の条件がそろった時にのみ起こす反応があります。それを「酵素反応」と呼びます。「酵素反応」は、「微生物と食品の間で、“酵素”が仲介役となって起こる反応」です。人間にとって有益な酵素反応は「発酵」と呼ばれ、人間にとって有害な酵素反応は「腐敗」と呼ばれます。この時、仲介役となる「酵素」は、上で述べた通り、胃で消化されてしまうので、腸まで届きません。

 「酵素 (enzyme/エンザイム)」という言葉は、「酵母の中 (in yeast)」 という意味のギリシア語に由来しています。そこから考えてみても、私達の体に必要な「酵素」とは、「食物酵素」そのものなのではなく、酵素反応を利用した「発酵」だと言うことが判ります。

 カリフォルニア大学バークレー校の科学と環境ジャーナリズムの教授であるマイケル・ポーラン氏は、最新著書『Cooked(邦題:人間は料理をする)』のEarth(土)の章の中で、「ferment(発酵させる)とは(火や水を使うことなく微生物の力を借りて)、野菜を“茹でる” (to boil)」ことを元々意味していたと述べています。

 ちなみに、発酵に関わる微生物には、酵母のほかに、バクテリア(細菌)とカビがあります。

 酵母はアルコールに、バクテリアはチーズやヨーグルト、お漬物や納豆などに、カビは麹(こうじ)を作ることに活用されています。そしてこの3つ、酵母、バクテリア、カビが全部関わって作られるのが、世界でも、日本の味噌、醤油、清酒くらいです。日本人の知恵って本当に素晴らしいですね。

 これらの酵素反応を利用して作られる発酵食品は、私達の消化を助けます。そして、私達の消化酵素に負けることなく腸まで届き、体内環境を整えてくれます。

 つまり、「酵素」を生活に取り入れるのであれば、生野菜の酵素が微生物と酵素反応を起こすのを待って、発酵させた後に食べる、または、発酵させたものを使って料理する、という方法が有効かつ理にかなっていると言えます。ポーラン氏風に言えば、「微生物で生野菜を茹でてから」食べることがお勧めです。

「デトックス効果」という観点から見ると…

 生の野菜には、調理した野菜よりもデトックス効果があることは確かです。

 でも生野菜は毒を排出してくれるだけでなく、体の熱も奪っていきます。ですから、春から夏に生野菜を多く食べることは理にかなっていますが、秋から冬に生野菜を多く食べることはエネルギーの低下を招きかねません。

 春から夏に自然に育つ野菜に生で食べられるものが多く、秋から冬に自然に育つ旬の野菜に、調理しなくては食べられないものが多いのも偶然ではありませんね。自然が与えてくれる恵みに従って、自然と調和した生活をすれば、私達は自分の体と心をその季節に適した状態に整えていくことができるのです。

 さて、野菜は生で食べる方がいいのでしょうか?調理した方がいいのでしょうか?

 生野菜にも、温野菜にも、それぞれ利点があります。その時々の体調や季節に合わせて、利点を活かす献立を考えることが大切です。ホリスティック栄養学では、目安として、生野菜と温野菜の量を半々に考えることから始めます。そこから、自分のバイオ個性(第一回 参照)に合わせて、今日の体調や季節や気候に合わせて、生野菜を多くしてみたり、温野菜を多くしてみたりと調整していくのです。

 その調整の塩梅は、自分自身の体に聞くことなくできるものではありません。1かゼロかでもなく、白か黒かでもなく、生か温かでもなく、ご自分の体との対話を通して、ホリスティックに食べ物とつきあう姿勢を大切にしてくださいね。

 他人が作ったマニュアルに頼ることから卒業して、ご自分の体のマニュアル(自分の心と体の取説)を見つけてください。そして、そのお手伝いをするのがホリスティック・ヘルスコーチです。

リアル『ホリスティック美女講座』が
楽しく開催されました。

日経ウーマンオンラインの読者の方も多数ご参加くださいました。
ありがとうございました。
6月26日のディナー&トークの様子は、こちらを、7月5日のワークショップの様子は、こちらをご覧ください。

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