乳酸のケミカルピーリング
AHAの中では、グリコール酸がおとなのニキビ治療の代表選手ですが、その次によく使用されるのは「乳酸」です。「乳酸」もAHAなので、グリコール酸とにたはたらきをします。
pH(ペーハー)と濃度
乳酸のピーリング液は、pH(ペーハー)と濃度によって、それぞれの症状にあわせた治療ができます。
pH(ペーハー)とは、酸性度をあらわす単位です。「pHが高い」といえば「酸性度が強い」と言い換えればわかりやすいでしょうか?
一方、濃度は、乳酸が配合されている濃度のことです。
この、pHと濃度のの組み合わせを、それぞれの肌の状態によって、医師の判断にもとづき、調節できるのが病院治療のケミカルピーリングのメリットのひとつです。その具体的な作用を説明します。
pHは、皮膚への浸透率を調整します。
pHが低いと浸透率がたかくなり、肌のより深くまで作用し、肌への負担が大きくなります。症状によって、表皮にのみ作用させたい場合や、より深く真皮に近い部分、または真皮まで作用させたい、などは、pHを調整することで実現できます。
そして、濃度はpHで決定した効果の強弱を決めます。
たとえば、表皮にだけ作用するようpHを高く設定した場合、表皮のいらない角質をより多く除去するには、濃度を高く設定します。
一般的には、美容目的やかるいニキビの場合、また、重度のニキビの方でも初めてピーリングをおこなうときなどは、pHを高く設定し、肌の様子を見ながら時間を調整して効果を出します。
ニキビの治療の場合は、肌がなれてきたら、徐々に濃度を高く、時間を長くしていきますが、美容効果のみをもとめる場合は、濃度は高くせずに、時間をのばしたほうが、なめらかな肌になるといわれています。
pHが高いピーリングは肌に負担が少なく、その他の乳酸の美容効果もあるため、軽いおとなのニキビは、この方法でなおすのが一番理想的だといわれています。
でも、効果がみられない場合や、男性の重度のニキビなどには、思い切ってpHを低くして肌の深い部分に作用させる必要があるときもあります。
ちなみに、pHが低ければ低いほど、感じる痛みが強くなり、ピーリング後に、ただれてかさぶたになったり、皮がむけてしまったりすることがあります。
このかさぶたは2週間程度でなおりますから、ニキビがうまく改善するのであれば、わるい治療法というわけではありません。
ただ、一時的であっても、確実に肌の状態がわるくみえる、ということから女性の場合、選択することがすくない方法です。
乳酸のケミカルピーリングの効果
- 色素にたいして高い効果を発揮し、にきび跡などの色素沈着を改善する
- 分子が大きいため、グリコール酸と比較して皮膚の浅いところに作用する
- 角質層のセラミドの生成を促成し、肌のバリア機能をアップさせる
- 蓄積された古い角質を溶かし、表皮の細胞は活性化し、新しい皮膚細胞をつくる働きを促し、肌のターンオーバーを正常にする
- 皮膚の新陳代謝を整え、健康な肌の生まれ変わるサイクルを取り戻し、おとなのニキビをなおす効果がある
- メラニン生成抑制し、しみ、くすみ、毛穴の黒ずみ、肌の色むらの改善
- 保湿効果
特徴のひとつとしてあげたように、「乳酸」は、グリコール酸と比較すると、分子が大きいため、皮膚のより浅いところに作用します。その分、肌への刺激や負担がかるく、施行後も炎症などをおこすことがすくないといわれています。
これらの特徴から、「乳酸」のケミカルピーリングは、角質除去効果を期待したニキビ治療よりも、くすみ、シミ、美白、老化予防などの美容目的につかわれることが多いのです。色素疾患などの治療にも「乳酸」ピーリングがおこなわれることがあるほどですので、ニキビ跡の色素沈着を改善する効果は期待できます。
『おとなのニキビ』治療に関してですが、「乳酸」は、肌にやさしいAHAとして、肌の弱い人やグリコール酸が肌にあわない人に使用されます。角質除去の効果については、ニキビ治療にはちょっとものたりないかもしれませんが、「乳酸」のケミカルピーリングも「pH」と「濃度」でその効果を調節することが可能だということと、「乳酸」のケミカルピーリングは、肌への負担がかるいので、ピーリング施行の間隔をせまくして回数をふやせるということの2つの点から考えて、『おとなのニキビ』にも充分効果があげられるAHAです。
また、通常の『おとなのニキビ』治療でも、グリコール酸と乳酸を調合した薬剤を使用したものが多くつかわれています。
グリコール酸で角質を除去し、乳酸でニキビ跡の色素沈着を改善する、という2つの効果を期待して、グリコール酸のピーリングの後に、乳酸のピーリングをおこなうダブルピーリングという方法もあります。
乳酸のケミカルピーリングの費用
保険がきかないので、1回6000円から15000円が相場のようです。1万円を超える場合、イオン導入やプラセンタパックなどプラスアルファがついていることがあるみたいです。
乳酸のケミカルピーリングに必要な回数、期間、時間
ニキビの状態によって異なりますが、どのケミカルピーリングも1回ではあまり効果がなく、1週間以上間隔をあけ、連続して5~10回施術する方が効果があるといわれています。ピーリングの間隔は薬剤の強さやニキビの重度、ピーリング後の皮膚の状態などによってきまります。
時間は、ピーリング液の濃度、酸性度、得たい効果によって異なりますが、薬をつけている間はだいたい5~30分ぐらいです。その後、薬の中和や肌の冷却などを行いますので、だいたい1時間を目安に予約をうけつけている病院が多いようです。
まとめ
pHが高く、濃度が低い乳酸のピーリング液をつかったピーリングの効果は、実は、グリコール酸配合の『ピーリング石鹸』などを使うと、費用と時間をかけずに自宅で実現できてしまいます。ですから、病院で乳酸のケミカルピーリングをおこなうのは、化膿したニキビが顔一面にできている重度の方や、グリコール酸が肌にあわない方だとおもいます。