加藤哲太(セルフメディケーション推進協議会理事)

ニキビ(尋常性痤瘡)

2017年04月 更新
(2015年03月 掲載)

 「ニキビ」は医学的には尋常性痤瘡(じんじょうせいざそう)と呼び、命にかかわる病気ではありませんが、罹患すると気分も優れず、日常生活に影響しQOLを低下させたり、対策が不十分だと痕が残ることもあります。症状が現れたら、放置せずにできるだけ早くから適切な処置をすれば退治することができます。そのためには「ニキビ」について知ることが大切です。

原因

 ニキビは、90%以上の人が経験し、思春期以降に発症します。
 思春期は、ホルモンのバランスが大きく変化します。特にテストステロンという皮脂生成刺激作用のあるホルモンの分泌が過剰な場合に、ニキビは生じます。皮脂の分泌量の増加は皮膚を角化し毛穴を塞ぎ、そのため皮脂が深部に溜まってしまいます。さらに常在菌(アクネ菌、ブドウ球菌など)により皮脂が酸化し、遊離脂肪酸が産出されます。その後、遊離脂肪酸は炎症を引き起こします。
 20代以降の大人のニキビはストレスによるホルモンバランスの変化や化粧などの刺激、不規則な生活などが原因となる場合があります。
 場所は顔面、胸背部の毛包・脂腺系です。

分類

 症状により、非炎症性と炎症性に分類され、白、黒、赤ニキビがあります。

■非炎症性ニキビ
 1)白ニキビ(閉鎖性面ぽう):
   毛穴が閉じていることで皮脂が内部に溜まり、皮脂が白く盛り上がった状態
 2)黒ニキビ(開放性面ぽう):
   開いている毛穴に古い角質や酸化した皮脂がつまり、皮脂が内部に溜まった状態

■炎症性ニキビ
 1)赤ニキビ・膿疱:
   ニキビが悪化すると毛穴につまった皮脂に細菌が繁殖し、炎症を引き起こす。
   膿を持つこと(膿疱)もある。
   その形態は、中心が白く、周囲が赤く盛り上がった状態に。痛みを伴うこともある。

治療

 ニキビの原因は、脂質代謝異常(内分泌的因子)、角化異常、細菌の増殖など、これらが複雑に関与する炎症性疾患なので、治療は時期に合わせた適切な対処が重要です。

 ニキビ治療薬の成分には、角化した皮膚を軟らかくさせ、深部につまった皮脂を除く薬剤や常在菌の繁殖を抑える抗菌作用をもつ薬剤、消毒作用のある薬剤、及び炎症を抑える薬剤などがあります。市販薬で使用される外用薬はこれらの成分を配合されたものが多く、それ以外は内服薬でビタミン剤や漢方薬などがあります。漢方薬は年齢、症状により適切な処置が異なるので漢方専門の医師・薬剤師に相談するほうがよいでしょう。

■非炎症性ニキビ

  • 白や黒ニキビの場合は図に示すように軽症で炎症が発生していない頃です。大切なことは、洗顔などのスキンケアをきちんと行い、改善しない場合は以下の薬品を用いて下さい。
    ・白ニキビ ⇒ 閉じた角質層やつまった皮脂の除去のため角質軟化剤を使用
    ・黒ニキビ ⇒ 脂質分泌が過剰の場合は皮脂分泌を抑制する薬を使用
  • 赤ニキビやうみをもつニキビは炎症があり皮膚が赤く隆起した場合や、痒み、痛みがある等、重篤な症状になっている頃です。
    ・うみを持っている(アクネ菌、ブドウ球菌)⇒ 抗菌薬、サルファ剤を使用
    ・炎症(発赤、腫脹)がある ⇒ 抗炎症薬を使用
    ・痒みがある ⇒ 抑ヒスタミン薬を使用

 近年、美容への関心が高いことからも、積極的に皮膚科を受診する人が増え、2008年からは日本でも尋常性痤瘡治療ガイドラインが作成され、外用レチノイドや抗菌薬の使用が推奨されています。

■外用レチノイドの特徴
 治療には3ヵ月以上を要します。使用後2週間で、ピリピリ感や赤くなったりすることがありますが使用を中止してしまうと、効果を発揮しません。個人差はありますが、1ヵ月程度で刺激がなくなり、ニキビの数も減少していきます。軽症であれば、約3ヵ月でほとんどの方は改善します。

  • 毛穴のつまりを除去する薬剤
  • ニキビの初期段階である微小面ぽうから白、黒、赤ニキビまであらゆる種類のニキビを治療することが可能
  • 抗菌薬の使用量を減らし、耐性菌発生を抑える可能性
  • 外用レチノイド治療はすべての医療機関で扱ってはいない(病院への問合せが必要)
  • 副作用の症状は軽度で一過性ではあるが、皮膚の乾燥、不快感(ピリピリ)、皮がポロポロむけたり、赤み、かゆみなど

■抗菌薬治療の特徴
  • 外用と内服のタイプがあり、主にアクネ菌に対する作用を持つ
  • 赤ニキビ治療に適応(微小面ぽうや白ニキビなどの初期段階には無効)
  • 耐性菌の発生のため、外用レチノイドと併用

その他
イオウ製剤;
 毛穴につまった角質をはがし、開きやすくする。初期の非炎症性ニキビに効果的
面ぽう圧出;
 専用の器具を使用。毛穴からつまっている皮脂や角質などを物理的に除去

 ニキビは炎症がひいた後も肌に色素沈着や赤みを残してしまうことがあります。色素沈着を残さないためにも軽症のうちに皮膚科を受診しましょう。外用レチノイドや抗菌薬、面ぽう圧出などは保険が適用されます。それに対し、ニキビ痕の赤み治療には保険適応は現在のところありません。赤みが自然に治るには数ヵ月以上かかります。それを防ぐためにも、炎症が大きく広がるまで悪化させないようにしましょう。レチノイド外用薬は重症化を防ぎます。気になっている人は早めに皮膚科でニキビ治療に取り組みましょう。

こどものニキビ

 こどものニキビは思春期における成長ホルモンなどのバランスが乱れていることが原因と考えられます。清潔にすることはもちろんですが、洗顔し過ぎたりすることが症状を悪化させます。また、栄養不足や睡眠不足で生活が乱れたり、習い事などストレスが溜まる環境が原因であったりもします。普段の洗顔の仕方を見直すことや、すぐに薬に頼るのではなく、普段の生活を見直すことも大切です。とにかく触らない、刺激しない(潰したりしない)ことを見守りましょう。

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