1. はじめに
ついにたかの友梨が不適切な発言があったことを認めたようです。社として認めたのはこれが初めてになります。
労基法違反を内部告発した従業員を圧迫したこの事件は、従業員が録音を公開したことをきっかけに多くの人に知られることとなりました。
そうした社会的な注目もあって、今回の謝罪発表があったものと思われます。しかし、この事件の経過を追ってきた身としては、たかの友梨が自らの行為を反省して真摯な対応をしているとは俄には信じられませんでした。そう考えていた矢先に、当事者の支援をしている組合が、今回の謝罪じたいが非常に不誠実なものであったことを明らかにしました。
そこでこの記事では、たかの友梨がこれまでこの事件についてどのような対応をとってきたのか事実関係を整理してみます。それがたかの友梨の不誠実さの最良の証左になると思われるからです。
2. たかの友梨はいつ「不適切な発言」を認めたのか?
今回の謝罪発表を受けて最初に私の脳裏をよぎったのは、「たかの友梨は「不適切な発言」を認めていただろうか?」ということでした。
そこで、改めてこの事件の経過を時系列で整理することにしました。
- 8月5日 仙台労働基準監督署がたかの友梨に対して是正勧告・指導(※1)。
- 8月21日 突然高野友梨氏が仙台店を訪れ、従業員を召集して「食事会」を開催。ここで問題発言(※2)。
- 8月22日 当事者側がたかの友梨の労基法違反について記者会見。
- 8月24日 組合がたかの友梨に抗議文を送る。
- 8月28日 当事者側が公益通報者保護と不当労働行為の救済を申立。
- 8月28日 当事者側がたかの友梨の労基法違反と従業員に対する圧迫について記者発表。録音を公開。
- 8月29日 TBSニュースで、「音声が当社の代表取締役のものであることは確認しておりません。不当労働行為とされるような行為はしていないと認識しております。ユニオン側が開いた会見は、把握しているかぎりでは事実と異なるところが多々あります」との会社側のコメントが流れる(※3)。
- 9月6日 当事者側が労基法遵守の要望書を会社側に提出。会社側は「担当者の不在」を理由に対応を拒否。
- 9月30日 会社側はNETIBニュースの取材に「不当労働行為とされるような行為はしていないと認識している」とコメント(※4)。
ということで、謝罪発表の直前まで、たかの友梨側の見解は、「発言の存在は確認できていないが確認されれば悪意が無いことがわかる」というものだったことになります。録音が公開されたにもかかわらず、この姿勢を崩していません。
そこに、突然の「謝罪」があったわけです。これまでの「発言が無い」「不適切でない」という見解は、いつ、そしてなぜ変わったというのでしょうか。
3. 組合員に謝罪した、と虚偽の発表
続いて、今回の謝罪の経緯を整理してみましょう。たかの友梨のHPでは、次のように発表されています。
ところが、すでに各紙の報道でも指摘されているように、組合員はその場に参加していません。この発表は虚偽だということになります。
さらに、当事者を支援するエステ・ユニオンのブログによれば、今回の謝罪は以下のような形で行われたそうです。
10月2日の夜18時すぎ、同社から当組合にFAXにて連絡がありました。内容は、二日後の10月4日午前9時半から、たかの友梨ビューティクリニック仙台店において、「代表取締役高野友梨から、仙台店の従業員に向けて、同年8月21日開備の食事会の件等に関するメッセージをお伝えする」として、被害者である組合員にも出席するよう求めるものでした。
8月21日に突然呼び出して詰問したことを謝罪しようという人間が、謝罪の意思も示さずに同じシチュエーションで被害者を呼びつけるのです。これで被害者が急に予定を調整して参加すると考える方がどうかしています。パフォーマンスや懐柔であるにしても、もう少しやりようがあるはずです。
加えて、同ブログ記事によれば、組合役員も代理人の同席も認めず、被害者一人で参加せよというのが会社側の要求だったそう(※6)です。組合に属し、代理人をつけている当人を一人で呼び出して交渉しようということ自体が問題です。謝罪するつもりがあるなら、団体交渉の場で毅然とすればよいのです。少しでも現場経験のある支援者であれば、絶対に行かない方がいいと判断するでしょう。
以上のような経過のため、二度目の「食事会」に当事者は不在でした。にもかかわらず、たかの友梨は「組合員に謝罪した」と発表したわけです。せめて謝罪の場くらい、誠実であろうと努めてほしいものです。それができない(それをしようとしない)企業に、自発的にまともな労使関係を確立することを期待できようはずがありません。
4. おわりに:まともな労使関係の確立に向けて
そんなたかの友梨でも、「労働基準法を遵守せよ」という組合の要求には回答しました。これは、他の企業でもなかなか見られないまともな対応です。なぜこれが可能になったかといえば、たかの友梨が労働基準法の指導を真摯に受け止めたからでもなく、当事者の訴えに心を揺さぶられたからでもなく、そうしないとまずいと判断したからです。まともでない関係をまともなものにしようとするなら、強者の側に圧力をけかるほかありません。ネット署名などを活用してそれに一定成功した(※7)からこそ、組合が指定した期日に、回答を公開させることができたわけです。
したがって、まともな謝罪を要求するには、たかの友梨に「まともな謝罪をやり直さないとまずい」と考えさせる必要があります。ユニオンはすでに要望を出しているようです(※8)。今後の具体的な動きはまだわかりませんが、多くの方の注目で圧力を強めることができればと思います。
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註
※2 同上。
※3 前掲の上西記事を参照。
※5 「高野」の「高」は「はしごだか」である。
※6 ワタミの過労死事件をめぐって渡邉美樹会長(当時)が遺族に対してつきつけた「謝罪」の条件を彷彿とさせる。それは、代理人との交渉や組合の立会、録音を拒むものだった。