April 26, 2005
今日の言霊:
自分自身が「変わりたい」と思わなきゃ、
どんな救いの手だって届かないよ。
アクションを起こせるのは、
自分しかいないんだから。
最近、このブログでも「ピルを飲み始めました」という方をチラホラお見かけするようになりましたね。ちょっとずつだけど、確実な避妊や女性のQOLの改善にピルがとても有効だという事が拡がりつつあるのかなと思うと、こうやって地道に啓蒙していくのも無意味ではないなと実感できます。別に、ピルは万能薬ではありませんから、みんながみんな飲んだら楽になるって訳ではありませんが、確実に避妊したいのならやっぱり飲んでおくべきだし、月経に何らかのトラブルを抱えている場合は「ピルという選択肢もある」ということを知っておくだけでも意味のある事だと思いますよ。
ピルに限らず、婦人科ではいわゆる「ホルモン剤」をよく使います。ひとくちに「ホルモン剤」といっても、卵胞ホルモン(エストロゲン)だけを含むもの、黄体ホルモン(プロゲステロン)だけを含むもの、両方が混ざっているもの、など色々あるんですね。両方が混ざっているものを総称して「ピル」と呼んでおり、含まれているホルモンの量によって、高用量・中用量・低用量、に分けられます。卵胞ホルモンだけのホルモン剤にも、そこそこの強さのものからかなり弱いものまで、いくつか種類があって、これらは主に閉経後のホルモン補充療法をする時に、リスクや年齢に合わせてホルモンの強さを調節していくのに使います。
ホルモン剤を処方しようとすると、多くの方が「太るんじゃないか」ということを気にされます。確かに、女性ホルモンには本来の「女性らいしい体」を作ろうとする作用がありますから、痩せすぎの方などはホルモンを補う事によって若干ふっくらと丸みをおびることはあるんですね。医学的には太ったというより健康的になったといえるんですが、やせ願望の強い方にとっては一大事で、「太った!」と大騒ぎになってしまいます。また、昔使われていた高用量や中用量のピルでは、副作用として「体重増加」が認められています。今でも、月経不順の治療に中用量ピルを使う事もあるので、その場合は太る事もあるでしょうね。
低用量ピルの場合は、含まれているホルモン量が非常に少ないので、ピルのせいで太るという事はまずありません。ただ、ピルとの相性によってはむくみやすくなる方がいらっしゃるので、体に水分がたまって体重が増えることはあるんですね。たいていは増えても2キロ程度ですし、塩分を控えて汗をしっかりかくようにすればすぐに元に戻ります。ピルを飲んで「太った」という方は、よくよくお話を伺うと、食欲が増して食べ過ぎてしまっている方がほとんどなんです。食べ過ぎれば太るのは当たり前ですから、それはピルのせいで太った訳ではありません。体重コントロールに王道はありませんから、摂取カロリーをきちんとコントロールして、バランスのいいお食事を心がけるのが一番なんですね。
先日いらっしゃった患者様は、ピルを使ったわけではないんですが、無月経の状態だったのでホルモン剤の注射を打って生理を一度こさせる治療をしたところ「1ヶ月で4キロも太った!どうにかしてくれ!」と言ってこられました。でも、お話を伺ってみると、体重が増えたのは注射で生理が来た後からなんですよね。注射の成分が体から無くなることによって生理が来るので、生理が来た後に体重が増えたのだとしたらホルモンの影響はまず考えられません。その方は、受診される前に学校の先輩から「婦人科なんかに行ったらホルモン剤出されて太るわよ」と言われていたようです。なので、注射のせいではないとご説明しても「じゃあ何で太ったんですか!」と納得されません。
「忙しくてまともな食事を摂っていないのに太るのはおかしい」というのがご本人の主張でしたが、まともな食事を摂らなければ、栄養不足とカロリー過多と代謝の低下で、太りやすくなるのは当たり前なんです。「まともな食事を摂っていない」のと「全く何も口にしていない」のとは違います。前者はたいてい、一口がとても高カロリーなものをちょこちょこつまんでいる事が多いんですね。だから、本人は「大して食べていない」と思ってしまうんです。摂取カロリーが消費カロリーをオーバーしなければ基本的には太りません。本当に食べていないのに太るようなら、それは内分泌・代謝の異常か腎臓に異常がある可能性があるので、すぐに内科で調べてもらわなくてはいけませんよ。
ホルモン剤はお薬ですから、副作用が「0」ではありません。使わなくてすむのなら使わないで過ごせた方がいいでしょうけれど、3ヶ月以上生理がこなかったり、毎月寝込むほどの生理痛があったりするのであれば、ホルモン剤を飲むデメリットよりもメリットがはるかに大きいと思います。また、女性ホルモンが少ない状態が続くと、カルシウムがうまく代謝できなくなって骨粗鬆症の原因になります。生理が止まった状態を何ヶ月も続けると、将来骨粗鬆症になるリスクを高くすることになるので、この場合はとにかく必要なホルモンをまずは補ってあげる必要があるんですね。
どんな薬も、メリットとデメリットがあります。私は個人的に、不必要な薬をやたらと使うのは好きではありませんが、メリットがデメリットをはるかに上回る時は、早めに薬を使った方が楽になると思うんですよね。必要な時に的を絞って効率よく薬を飲む事が、結果として治療期間を短くしてくれるという事は往々にしてあります。風邪の初期に薬を飲んでいれば早く治ったものが、しばらく様子を見てこじらせてしまったために、結局飲む薬の量も増えて治療期間も長くなってしまった、ということはありませんか?どんな病気も、早期発見早期治療が一番です。そして、それ以上に大切なのが、日々の生活習慣の改善と、定期検診ですよ。
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