【第132号】 熱傷の初期治療について ・やけどに使用されるお薬
くす通信 第132号 2012.2.1
【熱傷の初期治療について】
やけど(熱傷)は文字通り皮膚に熱が作用したために起こる傷害で、日常の生活の中で多い外傷のひとつです。家庭では熱い液体に触れて起こる熱傷が最も多く、沸騰したやかんのお湯をひっくりかえす、熱いコーヒーやカップラーメンをこぼしたり、熱いお風呂に落ちたりして熱傷になることがあります。特に小児ではポットや炊飯器の蒸気に触れる事故が多く見受けられます。炎による熱傷では、調理中の引火や仏壇の火が衣服に燃え移ったりすることもあります。また火事になると広範囲の熱傷になったり煤を吸って気道損傷をともなうこともあります。
熱傷は受傷直後の応急処置が非常に重要で、熱傷になってしまったら、まず水で十分に冷やしその程度にあった治療をする必要があります。初期治療が遅れると熱傷は深くなり、治療期間もしばしば長くなります。局所の熱傷であれば流水、シャワーなどで痛みを感じなくなるまで十分冷やします(目安として10分以上)。部位によっては氷嚢やアイスノンも有用です。熱傷の程度が軽いⅠ度では皮膚の発赤、腫れ、疼痛がありますが、十分に冷やして水ぶくれ(水疱)ができてこなければ自宅で様子を見ていて大丈夫です。中等症のⅡ度では熱傷部位の著明な疼痛に水疱ができてきます。水疱は皮膚表面の表皮の下に体液が貯留したものなので、つぶさずにおきます。水泡がつぶれてしまった場合や皮膚がむけてしまった場合は、ワゼリンなどの軟膏をたっぷりと塗ってガーゼが傷口につかないようにするか、ラップや非固着性ガーゼ(ナースバンなど傷につかない加工をしたもの)をあて、新しくできてくる表皮をガーゼ交換の時にはがしてしまわないようにします。
またガーゼが傷についてしまっているときは無理にはがさず、水道水などで十分湿らせてからゆっくりとはがします。傷に膿がついたり自宅での処置が不安であれば医療機関を受診しましょう。お湯をかぶってしまったり、衣服に火がついた時など広範囲の熱傷や重度熱傷(Ⅲ度:皮膚全層の損傷)になった場合は、流水で冷やし続けると体温が下がりすぎるので、ぬれたバスタオルなどで全身をくるみ、その上から毛布で保温し、病院を受診するか救急車を要請する必要があります。
熱傷の症状は皮膚症状が中心ですが、熱傷を受けた面積が広ければ脱水、炎症などによるショック症状などさまざまな全身症状があらわれます。体表面積の10%以上の熱傷面積では輸液が必要とされており、専門医療機関での加療が必要となりますので時間外でも救急来院して下さい。
(形成外科医長 大島 秀男)
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やけどに使用されるお薬は、
- バイ菌の感染を予防する薬
- 傷の治りを助けてくれる薬
- 傷ついた組織をきれいにする薬
- 傷が深く潰瘍となってしまった時に使われる薬
などがあります。これらはやけどの深さや広さに合わせて使い分けられます。
下記に代表的なお薬を示します。
- 感染予防
ゲーベンクリーム、抗生剤軟膏(ゲンタ シン軟膏など)、ポピドンヨードゲル - 創傷治癒促進
ワセリン軟膏、ステロイド(リンデ ロンVG軟膏、ケナコルトAG軟膏、
テラ・コートリ ル軟膏、フルコートFなど)、フィブラストスプレー、
エキザルベ、創傷被覆材 - 壊死組織除去
ブロメライン軟膏、ソルコセリル軟膏
4. リフラップ軟膏、プロスタンディン軟膏、アクトシン 軟膏、ユーパスタ軟膏
お薬を使う時は手を清潔にして患部に塗りますが、必要以上に多く塗って
も効果に変わりはなく、体内に吸収されて副作用がでることもありますので、
医師に指示された用法、用量を守ってご使用ください。
軟膏は保湿性が高く、皮膚を保護する作用があります。かさかさした肌に
適しています。
クリームは軟膏ほどベタつかず、薬が皮膚へ浸透しやすいのが特徴です
が、傷に塗ると刺激になることがあります。硬く、厚くなった皮膚に適してい
ます。
同じお薬でも軟膏とクリームの両方を取り揃えていることもありますので、
使用中気になることがありましたらご相談ください。
お薬のことでわからないことや気になることがありましたら医師・薬剤師に
ご相談ください。
(薬剤師 塩田喜美子)
診療科の特色
<形成外科>
救急医療の領域では熱傷、顔面外傷、顔面骨折を主に担当しております。熱傷の治療では初期治療から関わり、創部の面積・重症度などを評価し必要に応じて植皮などの手術を行っています。また手術後の瘢痕拘縮(傷痕のひきつれ)、ケロイドなど傷痕の治療も一貫して行っています。熱傷や創傷治療でご相談のある方は形成外科外来受診をお勧めします。
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