いまどきの日本人は汗かきベタになっている

 とにかく汗が多い、脇の汗ジミが恥ずかしい…。そんな悩みは多いですが、汗の治療にくわしい五味常明先生は「多汗な体質というのは、実はないんです。そう思っている人は、汗のかき方が下手な人なんですよ」と指摘します。
「汗とは、体が高温になりすぎないよう、温度調節のために出るもの。蒸発するときの気化熱で、体温を下げます。だから本来の汗は、かいたそばから蒸発する。汗っかきと思っている人は、汗が多いのではなく、蒸発しやすい”いい汗“をかけていないんです。また部分的に多くかく人は、働いていない汗腺が多いのが原因」
 代謝が低下するからこと世代は、こうした”汗かきベタ“が増えるそう。またこんな理由も。
「クーラーと運動不足で汗をかかないから、汗腺が退化している。また、暑い外から冷房の効いた室内にはいると、体は冷たく感じて毛穴を閉じる。でも体内に熱がたまっているので、脳は汗を出せと命令する。これがくり返され、発汗機能がどんどん乱れるんです」
 そんなダメ汗体質を改善するのが「汗腺トレーニング」。これで汗の悩みとさよならしましょう。

「汗かき体質」は汗がうまくかけない体!

ダラ汗をかくのは ネバネバ汗体質
汗は血液のミネラル分を濾過したもので、いい汗は水に近くサラサラしています。ひとつひとつの汗が小さく、すぐに蒸発するので肌に残りません。しかし、血液の成分が残った悪い汗は、大粒でネバネバするので、うまく蒸発せずにたまり、滝のように流れる状態に。

サラサラのいい汗は、発汗してすぐ蒸発。 ベタベタの大粒汗は、蒸発せず肌にたまる。

額など部分大汗は サボリ毛穴体質
人の汗腺は400~500万ありますが、働いている「能動汗腺」は半分ほど。しかし、それ以上に“サボリ毛穴”が多い人は、体全体で汗をかけないため、額や脇などの働いている毛穴でたくさん汗をかこうとします。部分汗が多い人は、怠けている毛穴が多いのです。

働かない毛穴があると、働いている「能動汗腺」から大量に汗が出る。蒸発しにくく肌に残る。

汗腺トレーニングで「いい汗体質」に

汗ととめる簡単テク
「人に会うのに、汗ボタボタで困っちゃう」そんなときに使える、速攻テクをご紹介。

ミョウバン水で制汗を
古代ローマ時代から制汗剤として使われていたという「ミョウバン」。水300ccにミョウバン10gを溶かし、スプレー容器に。汗の多い部分に吹きつけて。冷蔵庫で1カ月保存可能。効き目がいまひとつなら、少し濃度を上げて。

体を冷やすには首筋から
大きな動脈のあるポイントを冷やすと、効果的に冷たい血液が巡って、汗が引きやすくなります。「首筋」、「脇の下」、「手首」に、冷たいおしぼりや保冷剤をしばらく当てて。


いい汗をかくための汗腺トレーニング

手足を温めて汗腺機能をアップ
手足の汗腺は機能が低下しやすいため、ここを鍛えて、効率的に汗腺の働きをよくするトレーニング。次第に全身に熱が回り、湯に浸かっていない部分から、サラサラのいい汗が出ます。3週間ほど続けると、より汗が出るようになり、さらに続けると、どんどんいい汗体質に。

1 高温の湯で手足浴をする
浴槽に、43~44℃の熱めの湯を1/3から半分ほどためる。ひじから先と、ひざから下をつけ10~15分ほど手足浴を。皮膚の弱い人は1~2℃下げて。手浴と足浴を1日置きに行ってもOK。

2 ぬるい湯でリラックスする
手足浴の後は、温度36℃くらいのぬるい湯にし、リラックスして入浴を。高温浴とぬるま湯浴を行うことで、自律神経のバランスが調い、汗の調整が上手な体になります。

3 クーラーなしで体温を下げる
入浴後は、屋外の風やうちわで汗を蒸発させ、自然に体温を下げて。クーラーや扇風機を使うと自然な体温調整ができず、トレーニングの効果がなくなってしまいます。汗が引いたら衣服を身につけて。

胸を押すと上半身の汗が減る
汗には、体を圧迫している部分は汗が減るという性質が。胸の乳輪の上のあたりを強く押すと、顔や脇、手の汗も止まります。浴衣のひもなどでキツめに締めてもOK。

寝汗対策は硬いマットで
寝汗が気になる人は、敷布団やマットを硬いものに。背中が圧迫されると、上面のお腹側に汗がよく出ます。空気に触れている面は汗が蒸発しやすいので、汗が残りません。

わき汗パッドは時間を決めて
脇に直接貼る「わき汗パッド」は効果的ですが、脇に意識が向くことで、逆に発汗が増えることもあるとか。人と会う間だけなど、短時間に絞って使うほうが効果的です。

「吸水+速乾」の最新ウエアを
汗は蒸発させないと、次々出てきます。衣服は吸水性が高く、かつ速乾性がありムレない素材の服がベスト。両方の機能を備えた最新ウエアだと、汗が気になりにくく。

Column ボトックス注射、岩盤浴やヨガも
いい汗体質には、岩盤浴やヨガも有効。岩盤浴は、遠赤外線とマイナスイオン効果で汗がサラサラに。ヨガも体の巡りをよくして発汗を整えます。また「ボトックス注射」には、汗を抑える働きが。効果は半年ほどですが、そのまま汗が減る人も多いので試してみても。



からだにいいこと 2013年9月号 より


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プロフィール

医学博士・五味常明
1949年、長野県生まれ。一ツ橋大学商学部、昭和大学医学部卒業。昭和大学形成外科等で形成外科学、および多摩病院精神科等で精神医学を専攻。患者の心のケアを基本にしながら外科的手法を組み合わせる「心療外科」を新しい医学分野として提唱。ワキガ・体臭・多汗治療の現場で実践。わきがの治療法として、患者が手術結果を確認できる「直視下剥離法(五味法)」を確立。TVや雑誌でも活躍中。 99年からは、ケアマネージャー(介護支援専門員)として、デイケア事業や、高齢者介護の現場でのニオイのケアにも取り組む。

五味クリニック院長
流通経済大学 客員教授
日本心療外科研究会代表
体臭・多汗研究所所長

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