今回のFILE:04では「ワンオフ作品的でアーティスティックな塗装法に基づくペイントマスターがマスプロダクトでほぼ完全に再現されてしまった」という驚愕の事実をいち早くお伝えしたかったため、彩色サンプル以前に手元に到着していた形状サンプルの話をすっ飛ばして話を進めてしまいました
よって今回もまたまた時計の針を巻き戻して、形状サンプルの詳細について記してみたいと思います。

彩色サンプルがグッスマさんへ到着したのが5月12日。それより16日前の4月26日に、形状サンプルのトライ1=T1(※グッスマさんの中国工場が自発的に一度リテイクを出していたそうなので、実質的にはT2)がグッスマさんに届きました。
T1は製品版と同じ成型色で成型されていたのですが、グッスマさんはその仕上がり具合を詳細にチェックするためすぐさま全面にグレーのサーフェイサーを塗布。こうしてディテールを確認しやすいグレー1色の状態にすることにより、上手く成型できていない箇所やこまかな傷などが丸裸状態と化します

▲グッスマさんの開発担当Y氏から届くデジカメ画像は大抵きちんとピントが合っているのですが、この日届いた画像は「ちょっとピンボケ」by ロバート・キャパ状態。それゆえに成型具合が把握しづらく、ちょっともどかしい気分に……

 

▲同日に届いた画像の中でいちばんピントが合っていたのがこの上半身のアップ画像。髪の毛の成型がかなりザラついていることと、口の右上に原型にはなかったニキビというか吹き出もののような突起が生じてしまっていることが確認できます


そして形状T1が日本に届いた翌日、グッスマさんのY氏はすぐさま形状T1の修正指示書を作成。下に12点の修正指示書をまとめて掲載しますが、実際には19点にも及ぶ大量の修正指示書が作られました
さすがはグッスマさん、この手のチェックも異様にこまかい!

▲まあ、見てのとおりなので1点1点の修正指示書をじっくり眺めてみてください。形状T1でかなり具合がよろしくなかったのはやはり髪の毛のパーツの成型と、バックパックの歪みやバックパック付属パーツにパーティングライン(※金型での成型線。修正指示書内では“PL”と表記)が目立ったこと。でも過去の経験則から言って、このあたりは次の形状サンプルではほとんど修正されてくるであろうことは分かっていたため、この大量の修正指示書を見ても立ち眩むようなことはまったくありませんでした


ちなみにこうして形状T1の表面にサーフェイサーを吹いてしまうと「金型作成と成型が甘い!」というようにしか感じられないのですが、じつはグッスマさんの修正指示書が作成されたのと同日、海洋堂の開発スタッフサイドにも形状T1が送られてきたのです。
その形状T1にはサーフェイサーが塗布されていなかったのですが、……確かにコレにサーフェイサーを吹くと粗が見えてしまうのでしょうが、サーフェイサーを吹いていない状態だと抜群の完成度としか思えず、文句を付ける余地などほとんどないんですね。
「ここだけは絶対に直してもらわないとな」と思ったのは、先述した「口の右上に原型にはなかったニキビというか吹き出もののような突起が生じてしまっていること」ぐらい。

下に掲載する画像がその「サーフェイサーを塗布していない形状T1」なんですが……なんと言うか……「この成型色のままの状態が抜群に格好よい」んですよ!
彩色はされていなくとも、これだけでも充分オブジェ然としておりこの状態で部屋に飾っておきたくなるというか。

▲原型製作を担当した戸田 聡さん(夢のカグツチノ公国)がわざわざジャケットを別パーツで造形したため、上着やスカートは紺にて成型されることに。別に紺で成型しなくてはいけない理由はないのですが、金型のパーツ配置を割り付けていった際に「紺で成型するとその後の仕上げに調子がよいパーツ」をひとつの金型内にまとめたのでしょう

 

7月11日の当ブログに掲載した「2月24日にグッスマさんのY氏が提示してきたパーツリスト」が、形状T1の状態でどう変化していたか検証してみました。当初の予定ではクリアー成型によるABS樹脂パーツはバックパックの赤色灯のみでしたが、結果的には計6パーツに変更。赤色灯だけのためにABS樹脂用の金型を起こすのは費用対効果が低く、結果的にコストがかさむがゆえの仕様変更だったのでしょう。また、前述したように上着とスカートの計4パーツは紺の成型色に。そして「傾くようであればABS希望」とされていた下半身のパーツは、他のパーツとは硬度の異なる固めのPVC樹脂にて成型されるに至りました

 

そして形状T1が届いてからわずか19日後の5月15日、形状T3がグッスマさんに到着します。
「案の定」とでも言うべきか形状T1で問題視されたポイントはことごとく改善されており、形状サンプルの改良作業はこれにて早くも完了と相成ったのでした。

 

▲これもちょっと画像のピントが甘いですね……グッスマさんのY氏より5月15日に送られてきた形状T3の画像。翌日の5月16日には海洋堂側開発陣に同形状T3が届けられ、形状T1での改善すべきポイントがことごとくほぼ完璧に修正された事実を目の当たりにすることになります

 

▲形状T1では存在した「口の右上に原型にはなかったニキビというか吹き出もののような突起」がきちんと消されると共に、髪の毛のパーツの成型クオリティーが大幅に向上している様子が見て取れるはずです


さて。
こうして彩色サンプルと形状サンプルの開発秘話もいよいよ書き尽くしてしまったので、次回は“3DテキストVer.(レジンキャストキット)”の話にでも言及しましょうか。

そんなこんなでワンフェス開催まであともうわずか9日! 当ブログはワンフェス開催までのあいだにあと2回更新を行う予定です。
というわけで次回もよろしくお願いいたします!

いいね!した人

ワンダちゃんNEXT DOORプロジェクトさんの読者になろう

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります