今回のテーマは、すり傷のその後です。

一口にすり傷と言ってもかなり状態には幅があります。

医学的にも明確な定義はありませんが、

私の経験に基づく浅い・深いの定義は次のような感じ。

①けがをしてから1~2週間以内に治ったら「浅いすり傷」⇒跡はほとんど残らない
②けがをしてから1カ月以上かけて治ったら「深いすり傷」⇒跡は残る

じゃあ、2週間から1カ月の間に治ったらどっちなの
という突っ込みが聞こえてきそうですが、
正直なところここの範囲は本当にグレーゾーンで、
どちらとも言えないなあという印象を持っています。

怪我をした部位や、治療の方法、
患者さんの生活状態や体質などによっても
傷が治るまでにかかる期間はある程度左右されるので、
一概には言えません。
なので、きずあとの経過を注意しながら見守っていく感じになります。


さて、①のような、浅いすり傷の場合は、それこそ従来のような
消毒ビシャビシャ、仕上げはガーゼ!なんていう旧式の方法で治療したとしても
結構きれいに治ってしまうことも多々。
もちろん、こんな痛いやり方、私はしませんけどね。
だって、どうせ綺麗に治るなら、ついでに痛みも少ないほうがいいじゃありませんか

で、1~2週間ほどで治った時には、うすピンク色の皮膚になっているはず。
この時点では、まだ皮膚はいわば赤ちゃんの状態です
角質も薄く、乾燥しやすい。
なので、ワセリンなどで保湿しておいたほうが快適なことが多いです。

また、紫外線による影響も受けやすいので、積極的に日焼けするのは厳禁
炎症後色素沈着という、黄色人種にはおこりやすい「くすみ」が生じる原因になります。

ただし、小さいお子さんの顔のように、ひじょーーーーーーに皮膚の代謝のいい場所では、
産生されたメラニン色素もせっせと排出されるのでしょう。うらやましい・・・
炎症後色素沈着を見ることはほとんどありません。

ですから、いとしいわが子が可愛い顔に、派手なすり傷をこしらえて、
ちゃんと治るかどうか心配した上に、
治った後まで
「きずあとは絶対日焼けさせちゃいけない」
とばかりに、外遊びを禁じたり、
帽子を外したら青筋立てて怒ったりというように
過剰反応する必要はありません。
そんな心配ばっかりしていたら、シワが増えますよ

次に②のような、深いすり傷の場合は、というと。
皮膚は、表皮のレベルを越えて、
真皮やその下の皮下脂肪層にまでダメージを受けていることも多いです
医学的には「挫滅創(ざめつそう)」と呼んでもいいくらいの状態です。

これらの皮膚深部の組織は、通常、皮膚のしなやかさや柔らかさを形成しています。
なので、このレベルで傷害を受けると、
傷がふさがってからもきずあとの組織は固くなり、
周囲の皮膚とは明らかに質感の異なる「瘢痕組織」を形成します。

特に、肘や膝などの関節部では、きずあとの組織が固く盛り上がり、
「肥厚性瘢痕」と呼ばれる状態に移行することも珍しくありません。
これはなかなか厄介で、
始めのうちは、ちょっとこすれたくらいですぐに皮がが薄く剥けて血が出たり、
痒みが出てきてつい引っ掻いてしまい、やっぱり皮が剥けたり、
組織が固いから、軽く膝をついただけでもやたらと痛かったりと、
「日常生活を送れなくはないけれど、とにかくうっとうしい」
という不快な状態になります。

加えて、何より見た目が悪い
肥厚性瘢痕になりたての状態だと、
色は赤黒いわ、ぺかぺかと変なツヤはあるわで
見ていて気分が下がりまくりです。
スカートで撮った写真を見ても、ストッキングを透かしてしっかり映ってるしさー…

・・・・・って、なんでそんなにアナタ、肥厚性瘢痕とともに過ごす時の感想がリアルなの
と、疑問を持たれた方、鋭い

実は、自分がやらかしたクチだからです。
3年ほど前左膝に、1か月ちょっとかかってようやく塞がるような、深いすり傷を作りました。
跡も、しっかり肥厚性瘢痕になり、上の症状はぜ~んぶ経験しました。

そして3年経過した現在、肝心の見た目はどうなっているか、というと、
少し茶色くくすんだような色と、
周囲の正常な皮膚とは異なる、きめの無さ(のっぺりした感じ?)が認められます。
これを「綺麗なきずあと」と思う人は、正直あまりいないでしょうね。

こんなことを書いたら、今深い擦り傷の治療中の人や、
治ったばかりのきずあとで不安になっている人は、さらに落ち込んでしまうかもしれません。

が、経験者だからこそ断言します。
深い傷を負ったら、どんなに上手に湿潤治療でそれを治したとしても、
やっぱりきずあとは残るのです。

湿潤治療は、魔法ではありません。
傷を負ったという事実を消すことはできません。

・・・・・・でもね、
「きずあとは消えないんだ・・・」
と、うつむいて欲しくはないのです。

私自身、当初は自分の膝を見るたびに嫌な気分がしました。
あの時慌てて出かけようとさえしなければ・・・と、自分の迂闊さを毎回思い出させられて。

けれど、ある時「ま、仕方ないか」と受け入れたら、急に気持ちが楽になりました。
そして、一生懸命治ろうとしている自分の傷に対して
「お、頑張ってるね~」と感謝したり、
「あとちょっと!」と励ましてみたり。
すると、治療をするのも楽しくなってきました。

3年経過した現在、きずあとは柔らかくなり、
皮が剥けることもなく、膝をついても痛みはありません。
お風呂でナデナデしながら
「よくここまで成長したね」
と、褒めてやりたい気分です。

怪我をしたときに大切なことの一つは、
怪我をしてしまった自分を、受け入れることなのかもなあ、と思う今日この頃です。

何だか今回も大きく話がずれてしまいましたが。
お母さんのための湿潤治療講座 きずあと編②~すり傷~、これにて終了!


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