タマネギは、褐色に焼くことでオリゴ糖をはじめとする薬効成分が増し、ガンの予防効果もグーンとアップする
●焼いて甘くなると健胃整腸作用がアップ
最近は、血液をサラサラにしたり血糖値を下げたりといったタマネギの薬効が広く知られるようになりました。でも、皆さん、タマネギは生で食べないと健康効果がないと思ってはいませんか? そんなことはありません。それどころか、タマネギは加熱して食べることで、生のときには得られないすぐれた薬効を発揮してくれるのです。
たとえば、タマネギの有効成分は、切ったときに出てくる独特の辛味とにおいにあります。硫化アリルなどの成分がそれですが、実際は、この辛味やにおいが苦手で生のタマネギを食べると、胸やけを起こす人もいます。そういった人にこそご紹介したいのが、焼きタマネギという食べ方なのです。
ご存じのとおり、タマネギは、熱を加えると辛味が消えて甘くなり、食べやすくなります。これは、辛味成分がメルカプタンといううま味成分に変化したのが原因です。このメルカプタンには、胃の粘膜を保護し、胃の血流をふやす働きがあるので、胃炎や胃潰瘍を改善することができます。つまり、焼くことで、新たに健胃作用が強化されたというわけです。
ほかにも、タマネギの甘味成分では、フラクトオリゴ糖も忘れてはなりません。フラクトオリゴ糖は、野菜のなかでは、タマネギやキクイモなどに含まれる特有の成分で、コレステロール値を下げたり、血糖値を安定させる働きがあります。そのうえ、腸のなかにすんでいる善玉の乳酸菌のえさとなり、その働きを活性化してくれるので、腸の調子を整えてくれます。また、この乳酸菌はビタミンB群を生成する働きを持っているので、倦怠感や口内炎、皮膚炎の解消も期待できます。
さらに、フラクトオリゴ糖は、加熱すればより小さい分子に分解されるので、体内に吸収されやすくなるというメリットもあります。通常は、体内で酵素によって分解・吸収されるのですが、おそらくその何パーセントかは分解される前に体外に排泄されているでしょう。しかし、焼くというひと手間で、生で食べるよりもたくさんのフラクトオリゴ糖を消化吸収することができるのです。
●褐色に焼いたタマネギが動脈硬化やガンを抑制
タマネギを焼いて食べる利点はそれだけではありません。スライスしたタマネギをしばらく炒めていると、白色から褐色に変化してきます。これは、アミノ酸と糖質が結合して、メラノイジンという物質が生成したために起こる現象です。メラノイジンには、抗酸化作用という悪玉の活性酸素の働きを抑える力があります。活性酸素は、体内の細胞や血中のコレステロールなどをサビつかせて、ガン、老化、動脈硬化を招く要因となるのですが、メラノイジンがこれを防いでくれるわけです。
また、メラノイジンには食物繊維と似た働きがあるので、腸の働きを整えて便通をよくする効果があります。したがって、腰痛、肩こり、肌荒れなど、便秘が原因の不快症状、そして大腸ガンも予防することができるのです。
●スライスしたら15分以上放置するのがコツ
具体的な焼きタマネギの作り方ですが、これはいたって簡単。スライスしたタマネギをフライパンで褐色になるまで炒めるだけです。分量は1日1個のタマネギが理想的ですが、むずかしいようなら1日半個でもかまいません。焼きタマネギは、水分が飛ばされて有効成分が濃縮されているので、少量でも十分効果が得られます。一度に大量に食べるより継続して毎日食べることを心がけてください。
また、スライスしたあとは、15分以上放置してから炒めるのがポイントです。放置する間にタマネギの催涙性物質がしっかり有効成分に変化するので、そのあと炒めるようにしましょう。効果があらわれるのは、症状や体質によっても異なりますが、継続すれば数週間くらいで変化が期待できます。ぜひ、試してみてください。
焼きタマネギの疑問に答えます……回答:農学博士 田島 眞
Q1 焼きタマネギは1日にどのくらい食べたらいいですか?
A 血圧や血糖値など、何らかの症状を改善させたい人は、1日1個分食べるのが理想です。病気予防など、健康維持を目的とする人は半個くらいでよいでしょう。
Q2 焼きタマネギの食べすぎは害になりますか?
A タマネギは副作用のない野菜ですから、食べすぎて害になるようなことはありません。ただ、焼きタマネギだけをたくさん食べて、ほかの野菜を食べないような偏った食べ方は禁物です。
Q3 焼きタマネギはどのくらい保存できますか?
A 焼きタマネギは長く保存はできないので、その日のうちに食べ切るようにしてください。たくさん作った場合は、その日の分以外は冷凍にしておくとよいでしょう。冷凍したものは、料理用として使うのが便利です。これなら何カ月でも保存ができます。
Q4 タマネギはどんな種類のものを選ぶのがいいですか?
A 効能から考えると、辛味が強く黄色いタマネギがおすすめです。形は球形で、外皮はよく乾いてつやがあるものを選びましょう。芽が出ていたり、根が伸びすぎているものは避けてください。
Q5 焼きすぎるとタマネギの薬効成分が壊れてしまいませんか?
A タマネギの効能として考えられている成分は、焼いた程度の熱では全部壊れたりはしません。むしろ、新たな薬効が引き出されるのでより高い効果が期待できます。
Q6 焼きタマネギを食べてはいけない人はいますか?
A 焼きタマネギは食品ですから、基本的にはどなたでも食べることができます。ただし、タマネギアレルギーを持っている人は食べないでください。