2017.06.16

 

BAKE Inc.のミッションは「お菓子を、進化させる」ですが、研究開発チームのOPENLABでは、科学でお菓子を進化させることを目指しています。今日は、商品を開発する時に、実際にどのような実験を行っているかを紹介してみたいと思います!

 

先月の5月25日(木)、BAKE Inc.の新ブランド「DOU(ドウ)」が池袋駅・JR線中央改札出てすぐの場所にオープンしました。今回の商品は、生どら焼き。BAKEが得意とする洋菓子の技術を取り入れながら、ふわっととろけるような新しい食べごこちの一品に仕上げました。

 

DOUの特徴の1つは、スポンジケーキのような、ふわふわしっとりしたどら焼き生地です。生地を開発する過程で、OPENLABでもいくつかの実験を行いました。

 

DOUのふわふわ生地の作り方

 

DOUのふわふわ生地の秘密は、洋菓子のスポンジ生地作りを応用した独自の製造法に隠されています。ケーキのスポンジ生地を作る過程には、卵を泡立てる工程があります。卵の泡立て方には、卵白と卵黄を一緒に泡立てる「共立て法」と、卵白と卵黄を別々に泡立ててあとから混ぜ合わせる「別立て法」の2種類があります。

 

作る人の技術や配合にもよりますが、共立て法と別立て法では、仕上がりが変わってきます。この違いを、和菓子であるどら焼き生地にも応用し、DOUの生地を作るときには別立て法を採用しました。これにより、どら焼き生地をふわふわにすることに成功したのです。

 

それでは、実際どの程度ふわふわしているのかを、確かめてみましょう!

「ふわふわ」を目で確認するー顕微鏡観察

 

ふわふわしているということは、空気をたくさん含んでいることを意味しています。まずは、別立て法と共立て法で作ったそれぞれの生地断片を、走査型電子顕微鏡で観察してみましょう。別立て法で作った生地は、本当に空気を多く含んでいるのでしょうか。

 

 

左が共立て法、右が別立て法で、それぞれ倍率は50倍です。黒く空洞になっている部分が、空気を含んでいる気泡です。画像右の別立て法の方が全体的に気泡が大きいように見えませんか?気泡が大きい方が、よりたくさんの空気を含んでいますので、別立て法の方が空気を空気を多く含んでいる様子が観察できた、つまりより”ふわふわしている”言ってよいでしょう。

 

別立て法では卵白を単独で泡立てます。卵白には「起泡性」という、空気を抱え込みやすい性質があります。卵黄にはそのような性質がありませんので、全卵の状態で泡立てるよりも、卵白だけで泡立てたほうが、より空気を取り込みやすかったのではないかと考えられます。

 

「ふわふわ」を数字で確認するーナタネ法

 

さらに、見た目だけではなく、別立て法と共立て法によるふわふわ具合の違いを数字で表してみたいと思います。今回は、食品化学の世界でしばしば使われる「ナタネ法」という方法を用いて調べました。

 

まず、共立て法と別立て法で作ったどら焼き生地を用意し、それぞれ重量を測定します(n=3ずつ)。

 

 

次に、サラダ油の原料にもなる「菜種」を、容量MAXまで敷き詰めた容器を用意します。

 

 

容器から一部の菜種をこぼしてスペースを空けます。ここに、どら焼きを入れ込み、こぼした菜種を可能な限り戻し、容量MAXまで敷き詰めた状態に戻します。

 

 

 

容器に戻しきれなかった分の菜種をメスシリンダーに入れ、その体積を測ります。

 

 

こうして得られた体積=どら焼きの体積ということになります。この体積を、あらかじめ測っておいた重さで割ることで、生地1グラムあたりの体積、すなわち「比容積」がわかります。比容積が大きいほど、空気を多く含んだ軽い食感であると考えられます。

 

 

共立て法と別立て法それぞれで作ったどら焼き生地の比容積をこの方法で測り、比べてみた結果、別立て法で作った生地のほうが有意に比容積が高いという結果が得られました。別立て法の生地のほうが、より空気を含んだふわふわな状態であるらしいことが、数字でも確認できました!

 

DOUの生地がしっとりしている秘密

 

DOUの生地は、ふわふわしているだけでなく、しっとりしていることも大きな特徴です。生地をしっとりさせるために、提供前に生地を保管する温蔵庫に工夫を凝らしています。生地を焼いた後、そのまま提供するのではなく、さらに、高温・高湿の温蔵庫の中で蒸す工程をはさむことで、生地にしっとり感が付加され、よりおいしい生地が完成するようにできているのです。

 

「しっとり」を確かめるー乾燥重量法

 

そこで、この方法がいかにしっとりした生地を作り出すかを調べるために、「乾燥重量法」という方法を用いて調べてみました。

 

どら焼き生地を小さな断片に切り、その重さを計ります。それをアルミカップに入れ、105度に設定したオーブンの中で3.5時間乾燥させます。この間に、生地に含まれる水分をすべて蒸発させることができます。

 

 

その後、再度重さを計ります。最初に測った値からこの値を引いたものを、最初に測った値で割ることで、元の生地に含まれていた水分の割合が概算できるのです。

 

 

 

焼き上がり後、常温で保管、高温の温蔵庫で保管、高温+高湿の温蔵庫で保管、の3パターンで生地の水分の割合をそれぞれ測定したところ(n=20ずつ)、高温+高湿条件での水分の割合が有意に高いという結果になりました。つまり、DOUを蒸すときの高温+高湿条件は、よりしっとりしたどら焼き生地を提供するのに実際に役に立っていたことがわかりました。

 

このようにBAKE Inc.では、感覚に頼るだけでなく、おいしさの秘訣を客観的に示せるように研究開発を行っていくことで、お客様にこだわりを伝え、よりおいしく味わっていただければと考えています。このような取り組みを多くの人に伝えられればと思いますので、もし面白いと思っていただけましたら、ぜひとも記事をシェアしていただけると大変嬉しいです!


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