芽吹く
全て 動詞
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- 幹は伐られて姿はないが、見えないところで根は生きている。 ひこばえが芽吹き、それが育って新しい幹となるかどうかはわからない。 その切株のようなもののために、友田は女たちとの関わりを深めることを避けてきた。 … 勝目梓『媚薬』より引用
- 久秀は我が目を疑ったが、この寺に薄絹の衣を着るような女は一人しかいなかった。 祥子は驚くばかりの速さで、芽吹き始めた雑木林の中に駆け入っていく。 久秀は刀の鞘鳴りを押さえ足音を消し、その後を尾けていった。 … 安部龍太郎『戦国秘譚 神々に告ぐ(下)』より引用
- 復活祭と聖霊降臨祭は春に芽吹いた自然への喜びと結びつけられている。 ゲルハルトは動物と植物をも親しんでいる。 …
- 葉を落とした細い枝先がわずかに桜色と化している。 木が雪の中にあって、早くも芽吹きはじめているのかもしれない、と思う。 そのことが結子の胸を熱くさせる。 … 小池真理子『虚無のオペラ』より引用
- そこは矢場跡の空地のはずれで、振りむいても組屋敷の通りがひっそりとのびているだけで、ひとの姿は見えなかった。 芽吹いた雑木林の奥からかすかに遊ぶ子供の声が洩れて来るだけである。 文四郎の放恣な物思いをじゃまする者も、咎める者もいなかった。 … 藤沢周平『蝉しぐれ』より引用
- 一枚ガラスの向こうに中庭のダケカンバの林が見える。 芽吹いたばかりの柔らかな葉に、林全体が蒼みを帯びた緑に煙っている。 そのみずみずしく美しい光景に、東野は重い吐息をついた。 … 篠田節子『ハルモニア』より引用
- セーターを着ていないと少し寒い。 今日から五月になるというのに、あたりの木はまだほとんど芽吹いていない。 冬枯れの木立という感じだ。 … 川本三郎『ちょっとそこまで』より引用
- 疑念についた火は怒りとなって燃え盛るが、それが消えた後には確信という名の燃えカスが残る。 ノーラの中で、教会権力に楯突く行為を正当化する種が芽吹いたはずだ。 ロレンスは、ゆっくりと伝えるべき事柄を言葉にした。 … 支倉凍砂『狼と香辛料Ⅱ (電撃文庫)』より引用
- 四月の朝の光線が、窓から一ぱいさし込んで、デスクから床の上へ雪崩のやうに落ち散らばつてゐる西原氏の詩稿の書き屑を目眩しく見せた。 座敷のさういふ白いものや少女の白い顏に庭樹の芽吹きが薄青く反射した。 西原氏の顏へ向けた少女の凝視があまり續くので、母親が口を切つた。 … 岡本かの子『狂童女の恋』より引用
- センセイとわたしが敷物をしいてまわりの人々に挨拶を一通りし終わってからも、次々に人がやってきては、持参の敷物を広げた。 芽吹いては葉を広げてゆく植物のように、花見客はどんどん広がっていった。 そのうちにセンセイとわたしの間に「摂津先生」という老人が入り込み、さらに摂津先生とわたしの間に「牧田先生」という若い女性が入り、牧田先生の隣には「柴崎さん」と「恩田くん」と「歌山さん」が来て、そのうちに何がなんだかわからなくなってきた。 … 川上弘美『センセイの鞄』より引用
- 花壇の向こう側には桜の木々も見える。 彼岸の墓参に人々がやって来るころには、桜も芽吹いていることだろう。 墓地は古く、卒塔婆が倒れかけているものや、墓石が黒ずんでしまっているものも多かったが、その陰惨さも木々や草花、それに遠くに拡がるビルの群れなどをとり混ぜて眺めてみると、ただの小さな汚れ、染みのようにしか見えなかった。 … 小池真理子『墓地を見おろす家』より引用
- 共に枯れたのが芽吹こうとしていたり、既に芽吹いてしまっていたりする。 死の原野が必死に生きようとしている感じである。 … 井上靖『私の西域紀行(下)』より引用
- 共に枯れたのが芽吹こうとしていたり、既に芽吹いてしまっていたりする。 死の原野が必死に生きようとしている感じである。 … 井上靖『私の西域紀行(下)』より引用
- 木々はまだ芽吹いてはいなかったが、生きものの懐しみを与えてくれた。 そして、枝に葉が一枚もなくて有難い。 … 児玉隆也『ガン病棟の九十九日』より引用
- 春は2月頃に始まり植物が芽吹くが5月頃まで雪が突然降ることもある。 土壌はほとんどが砂質で、ツルヴェニツァと呼ばれる赤土の部分が広く占めておりこれは多くの割合で鉄分が含まれていることを示している。 …
- それでも、一連のできごとは一過性の自然災害のようなもの、彼らはそれを楽しみさえし、憎悪を種子の形にして胸にしまいこんでいた。 しかし、この三十分ほどで、憎悪の種は芽吹き、大きく成長しつつあった。 … 森岡浩之『星界シリーズ 星界の紋章 03 異郷への帰還』より引用
- 早速行動を起こし、渡辺プロダクションの東京音楽学院大阪校に通い、ボイストレーニングを受けるようになる。 早い段階から元来の才能が芽吹き、磨きがかかり実力と自信をつけていった。 歌唱力に加え、容姿も良かったため、渡辺プロダクションから正式に事務所に所属し、アイドル歌手としてデビューするよう打診があった。 …
- けれど一度芽吹いた疑念というものは、なかなか消せるものではなかった。 冴木忍『カイルロッドの苦難 7 微笑みはかろやかに』より引用
- そんな彼が「サボテンの花は二人で見るもの」などと不可思議な法律を自己に制定してしまったのは、賢三の中でまた新たな感情が機能し始めたからだ。 美甘子と出会ったことで賢三にさまざまな感情が芽吹き始めたことを以前にも書いた。 「不条理なほどほとばしってしまう抑えようのない激情」というスイッチもまた、美甘子の細くしなやかな指がグイッと押してしまったのだ。 … 大槻ケンヂ『グミ・チョコレート・パイン チョコ編』より引用
- 騎士はゆっくりと顔を上げ、エラナの若い、透きとおるような顔を見やった。 子供のころに芽吹いていたものが、今では見事に花開いていた。 ほかの若い女性たちと違って、エラナはただ可愛いというだけではなかった。 … エディングス『エレニア記1 眠れる女王』より引用