泌尿器科

前立腺肥大症

前立腺は膀胱(ぼうこう)の下部、尿道括約筋(にょうどうかつやくきん)の奥にあり、クルミ大(約15g)の臓器で、男性生殖器官のひとつです。ほぼ中央を尿道が貫いています。前立腺部の尿道には精巣から精子を運んでくる精管が開いています。
射精の際には、精管、精嚢(せいのう)、前立腺からの液体が混ざり合った精液が、まず前立腺部尿道に流れ出してきます。次いで膀胱側へ精液が逆流しないように膀胱頸部および前立腺部尿道が閉じ、尿道から外尿道口に向けて、精液が射出されます。
前立腺肥大症は前立腺の内側の部分が腫大(しゅだい)(前立腺腺腫(ぜんりつせんせんしゅ))する病気です。前立腺腺腫は数十gのことが多いのですが、なかには100gを超す大きなものもあります。前立腺が腫大すると尿道が圧迫されて尿道抵抗が高まり、尿の勢いが悪くなります。また閉塞に伴う膀胱機能の変化により、排尿困難以外に頻尿、尿意切迫感、夜間頻尿などのいわゆる刺激症状も出現します。最悪の場合には尿がまったく出なくなってしまいます。この病態を尿閉(にょうへい)と呼びます。

過活動膀胱

過活動膀胱とは、頻尿(ひんにょう)や尿失禁(にょうしっきん)の分野における新しい診断名です。主に自覚症状に基づいて診断されますが、尿意切迫感(排尿したくて我慢がきかない状態)を自覚する場合、過活動膀胱の状態にある可能性があります。
過活動膀胱の患者は、日本で約810万人にのぼると推定されています。その頻度は加齢とともに増加し、70歳以上では3割以上の方がこの病気にかかっていると考えられています。
しかし、実際に治療を受けている人は70~80万人と、推測される実数よりかなり少なく、多くの人が誰にも相談できずに諦めたり、我慢したりして悩んでいると思われます。生命的な危険はありませんが、生活の質(Quality of Life:QOL)を著しく低下させる、きわめて一般的で重要な健康問題であるといえます。
原因としては排尿筋が過剰に活動してしまうことで、神経因性(しんけいいんせい)と非神経因性に大別されます。神経因性とは、神経に障害がある時にみられ、神経因性膀胱の一種ともいえます。非神経因性とは、前立腺肥大症(ぜんりつせんひだいしょう)などの下部尿路通過障害や加齢変化、骨盤底筋障害などで生じます。しかし、病因が特定できない場合も多いのです。

夜尿症

生まれたばかりの乳児は、自分の意思で排泄(排尿、排便)をコントロールできず、膀胱(ぼうこう)や直腸がいっぱいになると、反射的にその内容物が排泄されてしまいます。この時乳児は、排尿や排便の感覚は感じていますが、それが何であるかわかりません。
こうした状態はおむつをしている間続きますが、トイレトレーニングが始まって初めて、排泄の感覚とその結果を理解するようになります。そして膀胱や、直腸括約筋(ちょくちょうかつやくきん)を自分でコントロールできるようになります。
こうした排泄をするという自己抑制機構が、睡眠中もはたらくようになる年齢には個人差があります。8歳ではまだ7%の子どもが完成していません。その後1年ごとに1%ずつ減っていくといわれています。が、15歳でも1~2%の子どもに夜間の排尿がみられます。
このように夜間排尿してしまう状態を夜尿症、また昼間にも1ml以上の尿をもらしてしまう状態を昼間遺尿症(ちゅうかんいにょうしょう)(昼間のおもらし)といいます。

尿失禁

生簡単にいえば自分の意思に反してトイレではないところで尿が漏れてしまうことです。こんな症状に悩んでいるのは自分だけではないか、恥ずかしくて誰にも言えない、などと思い悩んでいる人も多いのではないでしょうか。しかし、実は尿失禁に悩む女性は20代、30代の若い人から中高年に至るまで、かなり多いのです。40歳以上の女性の場合は3人に一人。調査によっては半数を越える人が尿失禁を経験していると報告されています。尿失禁は、決して高齢者だけのものでもなければ、珍しい症状でもないのです。
ただ、尿失禁が一般の病気と異なるのは、本人の「自己申告」によって治療が行われるという点です。尿失禁と一口に言っても、原因もさまざまならば、失禁の程度もいろいろです。そして、本人の受け止め方にも個人差があります。「昨日、生まれて初めてクシャミをした拍子に尿が漏れてしまった」と驚いて病院に駆け込んでくる人もいれば、「何年もパッドを使って我慢してきたけれど、もう限界です」と病院を訪れる人もいます。少しぐらい下着が汚れてもあまり気にならないという人もいれば、仕事やスポーツをやめ、外出を控えるなど日常生活を変えてしまうほど悩んでいる人もいるのです。

性感染症

ウイルス、細菌、原虫などが、性器、泌尿器、肛門、口腔などに接触することで感染します。しかし、症状が軽かったり、なかったりすることもあり、知らぬ間に進行していることがありますのでもし気になることがございましたら早めに受診されることをおすすめします。

膀胱炎

主に大腸からの細菌が膀胱内に侵入し、増殖して炎症を起こす細菌感染症です。
急性膀胱炎は、10代後半から20~30代の女性に多く発症します。女性は外尿道口が腟の付近に開口して汚染されやすいうえに、尿道が男性と比較して短いため細菌が膀胱内に侵入しやすく、全体として女性の頻度が高くなります。
一方、慢性膀胱炎は、あまり自覚症状が強くなく、膀胱機能が低下している場合や前立腺肥大症などの病気が原因で発症することがあります。

慢性前立腺炎

前立腺に細菌の感染を生じ、発熱とともに前立腺が大きく腫脹(しゅちょう)(はれる)して排尿困難、残尿感、頻尿(ひんにょう)、排尿時痛を生じます。尿閉(にょうへい)(前立腺がはれて尿道を圧迫し、まったく排尿ができなくなってしまうこと)になることもまれではありません。38~40℃の高熱を伴うことがあります。