製品関連

A.

リクシアナ錠は、第一三共株式会社が創製した低分子の経口抗凝固剤です。当社は、経口投与可能なFXa(活性化血液凝固第X因子)阻害剤の開発を目指して化合物の探索研究を行い、選択的なFXa阻害剤であるエドキサバンを見いだしました。
その後、臨床開発を開始し、良好な忍容性、経口吸収性、及び抗凝固活性を確認しました。国内外で実施した臨床試験により、下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制に対する本剤の有効性及び安全性が検証されたことから製造販売承認申請を行い、2011年4月にリクシアナ錠15mg、同錠30mgの承認を取得しました。
また、国内外で実施した臨床成績から、非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制、並びに静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制に本剤の有効性及び安全性が示されました。これら疾患での日本人患者の推奨用法・用量を裏付ける成績も得られたことから、効能・効果及び用法・用量に係る承認事項の一部変更承認申請を行い、2014年9月に承認を取得しました。さらに、この効能・効果及び用法・用量の追加に伴い、リクシアナ錠60mgの剤型追加申請を行い、承認を取得しました。

A.

(1) FXa(活性化血液凝固第Ⅹ因子)を選択的、可逆的かつ直接的に阻害する国内初の経口抗凝固剤です。
(2) 経口投与後速やかに吸収され(Tmax 1~3時間)、半減期は10~14時間です。また、用量増加に伴いAUC、Cmaxの上昇が認められます。
(3) 3つの適応症*1を有する唯一の国産経口FXa阻害剤です。
(4) 国際共同第Ⅲ相試験ENGAGE AF-TIMI 48試験は、日本人を含む心房細動患者を対象として実施され、エドキサバンの1日1回の経口投与で脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制効果について対照薬に対する非劣性が検証されました。
(5) 国際共同第Ⅲ相試験Hokusai-VTE試験は、日本人を含む静脈血栓塞栓症患者を対象として実施され、エドキサバンの1日1回の経口投与で静脈血栓塞栓症の再発抑制効果について対照薬に対する非劣性が検証されました。
(6) 承認時の臨床試験における副作用の発現状況は以下のとおりです。
<非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制>
 国際共同第Ⅲ相臨床試験において、7,012例(国内症例336例を含む)中、2,024例(28.9%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められました。主な副作用は、鼻出血434例(6.2%)、血尿247例(3.5%)、挫傷149例(2.1%)等でした〔承認時〕。
<静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制>
 国際共同第III相臨床試験において、4,118例(国内症例106例を含む)中、1,029例(25.0%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められました。主な副作用は、鼻出血134例(3.3%)、月経過多85例(2.1%)、肝酵素上昇82例(2.0%)等でした〔承認時〕。
<下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症発症抑制>
 国内、並びに国内及び台湾で実施した第III相試験において、総症例716例(国内685例、台湾31例)中、278例(38.8%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められました。主な副作用は、出血(尿中血陽性35例、皮下出血35例、創傷出血20例等)120例(16.8%)、γ-GTP上昇71例(9.9%)、ALT(GPT)上昇46例(6.4%)等でした〔承認時〕。
 なお、重大な副作用としては、出血[消化管出血(1.24%)、頭蓋内出血(0.35%)、眼内出血(0.18%)、創傷出血(0.08%)、後腹膜出血(頻度不明)等の重大な出血があらゆる組織及び器官に生じることがあり、死亡に至った症例も報告されている]、肝機能障害(頻度不明)、黄疸(頻度不明)が報告されています。

  • *1:非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制
  •   静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制
  •   下肢整形外科手術(膝関節全置換術、股関節全置換術、股関節骨折手術)後の静脈血栓塞栓症発症抑制

A.

異常な心房興奮(250~350回/分)により心房収縮が減弱し、心房内では血流が低下し、血栓形成の原因になります。
心房細動の危険因子には、年齢、虚血性心疾患、弁膜症、高血圧、肥満などがあります。

A.

主な原因疾患は心房細動であり、心房内で生じた血栓が塞栓子となって脳動脈を閉塞する塞栓性の脳梗塞です。活動時に突然発症し、短時間で症状が完成します。梗塞巣が大きく、アテローム血栓塞栓症、ラクナ梗塞に比べて死亡率が高く、救命されても重篤な後遺症が残る場合が多いです。

A.

深部静脈血栓症(DVT)と肺血栓塞栓症(PTE)を併せた疾患概念です。
PTEの9割がDVT起源と言われており、DVTとPTEは一連の病態と位置づけられ、併せて静脈血栓塞栓症(VTE)と総称されています。

DVT:深部静脈に血栓が生じて炎症を起こす病態で、その発生要因としてVirchow(ウィルヒョウ)の3徴(血流停滞、血液凝固能亢進、血管内皮障害)が知られています。
PTE:下肢深部静脈などで形成された血栓が血流に乗り、肺動脈へ到達して肺動脈を部分的もしくは完全に閉塞することにより発症します。

治療関連

A.

○非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制
○静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制
 通常、成人には、エドキサバンとして以下の用量を1日1回経口投与する。
 体重60kg以下:30mg
 体重60kg超:60mg なお、腎機能、併用薬に応じて1日1回30mgに減量する。
○下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制
 通常、成人には、エドキサバンとして30mgを1日1回経口投与する。

A.

投与のタイミングについて規定はなく、1日1回投与です。
食事の影響について、健康成人男性を対象にした検討の結果、Cmaxは空腹時投与に対して食後投与で13%上昇しましたが、AUCに影響は認められませんでした。

A.

人工股関節全置換術施行の患者さんを対象にした第Ⅱ相試験において、同一の1日用量で、投与回数を1回とした場合と2回とした場合のVTE発現率に明確な差は認められませんでした(外国人データ)ので、服薬遵守がより徹底しやすいと考えられる1日1回投与が適切であると判断しました。
また、心房細動患者(n=1,126)を対象とした第Ⅱ相試験での出血性イベント評価において、エドキサバン4用量(30mg1日1回、30mg1日2回、60mg1日1回、60mg1日2回)を12週間投与し、30mg1日2回、60mg1日2回はワルファリン群より大出血または臨床的に重要な非大出血、全ての出血性イベントの発現率が高いことが示されました。出血リスクとCminの相関が見られ、1日2回投与することによるCminの上昇が考えられ、効能追加を目的とした臨床試験でも1日1回投与を選択し、承認を取得しました。

A.

指示された時間に飲むのを忘れた場合は、気がついた時点で1回分を飲んでください。ただし、次の服用時間が近い場合は忘れた分を飲まないで、次の服用時間に1回分を飲んでください。絶対に2回分を1度に飲んではいけません。患者さんには、次の服用まで12時間以上空けるよう指導してください。
<参考>
リクシアナ30mgを単回投与した時のプロトロンビン時間(PT)は、投与12時間後で投与前値付近まで低下しました。(インタビューフォーム)

A.

手術後12時間を経過し、手術創等からの出血がないことを確認してから投与を開始してください。
なお、硬膜外カテーテル抜去あるいは腰椎穿刺からは、少なくとも2時間を経過してから投与を行ってください。穿刺部位に血腫*が生じ、神経の圧迫による麻痺があらわれるおそれがあります。
*血腫とは;出血により局在性に相当量の血液が組織内に貯留していることをいいます。

A.

術前からの投与は行わないでください。
リクシアナの初回投与は、手術後12時間を経過し、手術創等からの出血がないことを確認してから行ってください。

A.

リクシアナに特有の薬効をモニタリングする指標は現時点では知られていません。添付文書に記載のとおり投与中は臨床症状を十分に観察いただき、出血等が見られた場合には投与を中止するなど適切な処置をお願いします。

A.

健康成人男性6例にエドキサバン60mgを単回経口投与したマスバランス試験*において、投与後168時間までに投与された放射能の35.4%及び62.2%が、それぞれ尿中及び糞中へ排泄され、その大部分(それぞれ23.8%、49.1%)はエドキサバンでした。血漿中にも主にエドキサバンとして存在しました。
*マスバランス試験とは;14C-エドキサバン溶液を単回投与した際の、血漿中、全血中、尿中、および糞中の総放射活性を検討し、リクシアナが体内でどのように吸収され、代謝・排泄されるかを把握する試験。

A.

リクシアナはアンチトロンビンを介することなく、FXa*を選択的、可逆的かつ直接的に阻害し、血液凝固を制御します。
*FXa(活性化血液凝固第X因子)とは;内因系(接触因子系)と外因系(組織因子系)の合流点に位置し、血栓形成において重要な役割を果たしています。
血液凝固経路におけるFXaの役割は、プロトロンビンを活性化してトロンビンを生成することであり、生成されたトロンビンはフィブリノゲンをフィブリンに変換します。

安全性関連

A.

〔症状〕
リクシアナを過量投与した場合、出血性の合併症を引き起こす可能性があります。
〔対処法〕
リクシアナの抗凝固作用を選択的に中和する薬剤は知られていません。また、本剤は血液透析により除去されにくいです。出血が認められた場合には、症状に応じて、外科的止血、新鮮凍結血漿輸注、血漿交換等の適切な治療の開始を検討してください。

A.

リクシアナ投与中の出血に対する処置は、出血の部位、程度、凝固・線溶能の状態により異なります。一般的には、投薬中止または中断の後、必要に応じて外科的止血、新鮮凍結血漿輸血、血漿交換を行います。なお、リクシアナの抗凝固作用を選択的に中和する薬剤は知られていません。
〔異常を発見するために〕
必要に応じて血算(ヘモグロビン値及び血小板数)および便潜血検査などの臨床検査を実施することが望ましいです。

A.

代謝部位は主に肝臓です。
主代謝経路はカルボキシルエステラーゼ(CES1)を介したM-4(N,N-ジメチルカルバモイル基の加水分解によるカルボン酸体)への代謝、CYP3A4を介したM-5(テトラヒドロチアゾロピリジン環5位のN-オキシド体), M-6(テトラヒドロチアゾロピリジン環5位のN-脱メチル体), M-7(N, N-ジメチルカルバモイルのヒドロキシメチル体)への酸化的代謝、及びM-1(脱クロロピリジニルアミン体)への加水分解です1)。

引用文献:

  • 1) Bathala MS ; Matsumoto H ; Oguma T ; He L ; Lowrie C ; Mendell J :Drug Metab Dispos:40(12)、2250-2255(2012)

A.

エドキサバンのCYPによる代謝は10%未満です。
なお、エドキサバンは臨床用量で想定される血漿中濃度で主要なヒトCYP分子種を阻害あるいは誘導しませんでした。

A.

■抗凝固剤、血小板凝集抑制作用を有する薬剤、血栓溶解剤
これらの薬剤との併用は、相互に抗血栓作用を増強すると考えられます。これにより、出血の危険性を増大させるおそれがあるので、本剤との併用には注意が必要です。

■P糖蛋白阻害作用を有する薬剤
P糖蛋白阻害作用を有する薬剤との併用は、P糖蛋白を阻害することにより、本剤のバイオアベイラビリティを上昇させると考えられます。これにより、本剤の血中濃度が上昇し、出血の危険性を増大させるおそれがありますので、本剤との併用には注意が必要です。併用する場合には、半量に減量又は減量することを考慮してください。

<参考>
P糖蛋白:P-glycoprotein(P-gp)
細胞膜上に存在して細胞毒性を有する化合物などの細胞外排出を行います。腸や肺、腎臓の近位尿細管、血液脳関門の毛細血管内皮細胞等に発現しています。

A.

承認時までの調査において、ビタミンK含有食品との相互作用の報告はありません。
<参考>
ワルファリンカリウムの相互作用の一つに、ビタミンK含有食品(納豆、クロレラ食品、青汁ほか)摂取による、薬効の減弱が知られています。
ワルファリンカリウムはビタミンK拮抗作用により、肝でのビタミンK依存性凝固因子(プロトロンビン、第Ⅶ因子、第Ⅸ因子、第Ⅹ因子)の合成を抑制し、抗凝固作用を発揮します。一方で、リクシアナはFXa(活性化血液凝固第X因子)に直接作用する薬剤であり、ビタミンKには依存しません。

特別な背景を有する患者さん

A.

添付文書の重要な基本的注意に以下の記載があります。
本剤の投与中に手術や侵襲的処置を行う場合、本剤の投与後24時間以上経過した後に行うことが望ましい。手術や侵襲的処置の開始を遅らせることができない場合は、緊急性と出血リスクを評価すること。本剤の投与再開は、手術や侵襲的処置後、患者の臨床状態に問題がなく出血がないことを確認してから、可及的速やかに行うこと。なお、必要に応じて代替療法(ヘパリン等)の使用を考慮すること。

A.

【非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制】
【静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制】
に用いる場合、凝血異常を伴う肝疾患の患者への投与は禁忌です。
また、適応症にかかわらず、高度の肝機能障害のある患者さんは慎重投与です。
肝障害の程度による投与量の目安はありません。

高度の肝機能障害のある患者さんでは、凝固因子の産生が低下し、出血の危険性が増大する可能性があります。高度の肝機能障害のある患者さんに本剤を使用する場合は、出血に十分注意しながら慎重に投与してください。

<参考>
リクシアナの臨床試験(承認時)では、AST(GOT)またはALT(GPT)が施設基準値上限の2倍以上、もしくは総ビリルビンが施設基準値上限の1.5倍以上を示す肝機能障害患者さんは除外したため、臨床的に明らかな肝機能障害を有する患者さんでの安全性に関する情報は得られていません。

A.

腎不全(クレアチニンクリアランス15mL/min未満)のある患者さんへの投与は禁忌、腎機能障害のある患者さんは慎重投与です。
クレアチニンクリアランスが15mL/min以上30mL/min未満の患者さんでは、リクシアナの血中濃度が上昇することが示唆されており、これらの患者さんにおける有効性及び安全性は確立していないので、本剤投与の適否を慎重に判断してください。
〈腎機能障害患者さんのリクシアナ投与方法〉
CLCR 50mL/min超:体重60kg超の場合は1日1回60mg(併用薬に応じて1日1回30mgに減量)、体重60kg以下の場合は1日1回30mg
CLCR 30mL/min以上~50mL/min以下:1日1回30mg
CLCR?15mL/min以上~30mL/min未満:本剤投与の適否を慎重に判断し、投与する場合は、1日1回30mg

クレアチニンクリアランス15mL/min未満の患者さんへの投与は禁忌となっております。そのため、透析患者さんに対する投与量の目安はありません。
血液透析による透析液への回収は、投与量の7%未満でした(社内資料)。

A.

高度の腎機能障害(クレアチニンクリアランス30mL/min未満)のある患者さんへの投与は禁忌、腎機能障害のある患者さんは慎重投与です。
腎機能障害患者さんでは、リクシアナの血中濃度が上昇し、出血の危険性が増大するおそれがあります。投与する際には、個々の患者さんの静脈血栓塞栓症発現リスクおよび出血リスクを勘案して投与量を検討してください。
〈腎機能障害患者さんのリクシアナ投与方法〉
CLCR 50mL/min以上:1日1回30mg(併用薬に応じて1日1回15mgへ減量を考慮)
CLCR 30mL/min以上~50mL/min未満:1日1回15mgへ減量を考慮
CLCR 30mL/min未満:禁忌

透析患者さんは禁忌「高度の腎機能障害のある患者(クレアチニンクリアランス30mL/min未満)」に該当します。

<参考>
国内、ならびに国内および台湾での下肢整形外科手術(膝関節全置換術、股関節全置換術、股関節骨折手術)施行の患者さんを対象とした臨床試験(承認時)において、リクシアナ30mg群での大出血または臨床的に重要な出血の発現率はクレアチニンクリアランス30mL/min以上50mL/min未満 9.3%(8/86例)、50mL/min以上80mL/min未満 5.0%(20/399例)、80mL/min以上 2.1%(9/419例)でした。

A.

一般的に高齢者では生理機能が低下しているので、患者さんの状態を観察しながら慎重に投与してください。

母集団薬物動態解析により年齢の影響を評価した結果、CLCRや体重の影響を考慮すると、エドキサバンの薬物動態に対する年齢の影響は認められませんでした。
そのため、加齢そのものがエドキサバンの薬物動態に影響することはなく、高齢者(例えば75歳以上)であっても、腎機能の指標であるCLCR によって用量調整されていれば、曝露量の上昇により出血リスクが著しく上昇する可能性は低いと考えられます。

A.

体重40kg未満の患者さんは慎重投与です。
体重が40kg未満の患者さんは、使用経験が少なく、低体重の患者さんでは出血の危険性が増す恐れがあることから慎重投与です。

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