生きていれば未来に行ける
──そのほかの新曲についても聞かせてください。まず1曲目の「Vive le Roi」。“国王陛下万歳”という意味を持つこのフランス語は、KAMIJOさんにとっても強い思い入れがあるとか。
そうですね。ルイ16世が亡くなった直後、マリー・アントワネットがルイ17世に向けて言った言葉なので。それを僕の音楽の世界の中にも取り入れたいという気持ちは強かったです。
──フランス革命にそこまで強く惹かれるのは、どうしてだと思いますか?
どうしてでしょうね。最初はきっと憧れだけだったと思うんです。そこからいろいろなことを学ぶことによって、歴史の裏側も知り、それを「Symphony of The Vampire」で描かせてもらって……うーん、うまく言えないな。放っておけないというか、他人事ではない気がするんですよね。そこには理由はないのかもしれないです。
──なるほど。ちなみにフランス革命を背景にした他の作品にも興味はありますか? 例えば「レ・ミゼラブル」とか。
「レ・ミゼラブル」は素晴らしい作品ですが、僕はそこまで感動しなかったんです。あの作品には貴族側のことはそれほど描かれてないですよね。僕が惹かれているのは、貴族の生き様なので。
──2曲目の「Rose Croix」には、「心を領土にする 美しき帝国」という歌詞があります。これはまさにアルバムの根幹を為すフレーズですね。
そうですね。このアルバムで表現する国家に名前を付けたかったんですよ。僕のマークは十字架のようであり、百合の紋章でもあり、ヴァンパイアの牙でもあり、さらに薔薇を表現しているんですね。そこから“薔薇十字団”という言葉が僕の中で浮かんで、このタイトルを付けたんです。薔薇というモチーフはもともと、僕の体の中に流れていますから。あと、この曲では僕が好きな「ダマスクローズ」(薔薇の種類)を初めて歌詞で使ってます。ダマスクローズは、花びらが多いので撮影のときにすごくいいんですよ。薔薇を床に敷き詰めて写真を撮ることが多いんですが、ダマスクローズは一輪でもバーッと花びらが散らばるんです。オススメですね(笑)。
──ダークゴシック的な世界観を持った「Death Parade」は、11月からスタートする全国ツアーのタイトル(「TOUR 2014“THE DEATH PARADE”」)にもなっています。
ヴァンパイアのパラードというイメージですね。曲の意味合いとしては、死者たちの視線から生きることの素晴らしさを表現しています。死んでいることが当たり前だと考えると、生きていることは奇跡ですからね。しかも生きていれば、未来に行けるんです。生きていること自体がどんな科学よりも素晴らしいんですよ。
バンド時代のファンも楽しんでもらえる
──アコーディオンの音色が印象的な「抱きしめられながら」は女性の視点から描かれたラブソングですね。
相手の男性が一線を越えてくれない、という状況ですね。禁断の愛だからこそ生まれるもどかしさ、切なさ。それを女性の側から書いてみたくて。ヴァンパイアと人間の女性に置き換えると、女性の側は「噛み付いてくれれば、自分も永遠に生きられるし、いつまでも一緒にいられる」と思っているわけです。でも、ヴァンパイアは女性のことを思いやり、噛み付くことはしない。ただ、この曲の中では、ヴァンパイアのことは一言も触れてないんです。さまざまな禁断の愛に当てはめて聴いてほしいですね。
──1曲1曲に奥深いストーリーが含まれているんですね。ヘヴィメタルとクラシックの融合を軸にしたサウンドメイクも、さらに進化していて。
ありがとうございます。今回のアルバムは歌謡曲の要素も含まれてるんですよ。特に「Romantique」は歌謡曲のテイストが強いと思います。僕の声とシンフォニックという土台があれば、どんなジャンルでもKAMIJOの音楽になるという確信もあるので。
──歌謡曲、J-POPもお好きなんですか? これまでの作品からは、あまりそういう要素は感じられなかったのですが……。
もちろん好きでしたよ。そのことをあえて言わなかったわけでもないし。「影響を受けたミュージシャンやバンドは?」という質問をされることも多いですが、ポール・モーリア、X JAPANといった名前を挙げると、それ以上のことは聞かれなかったので(笑)。ただ、しっかりとメロディを構築して、音楽的に優れた楽曲を作るためには、歌謡曲をわかっていないと難しいんじゃないかな、と。歌謡曲、J-POPは本当に優れたものだと思います。
──Mekuさん、根岸孝旨さん、IKUOさん、山崎慶さんなど、参加ミュージシャンも超豪華。さらに今回はVersaillesのメンバーのHIZAKIさん、MASASHIさんも参加されています。
ある日、HIZAKI、MASASHIとバーで飲んでるときに気持ちが高ぶってお願いしました。前からレコーディング参加の話は快諾してくれていたんですがなかなかタイミングが合わなくて。今回はバラエティ豊かなアルバムにしたかったし、2人にもぜひ参加してほしかったんですよね。HIZAKIのギターはビブラートがキレイで、まるで生きているみたいだし、MASASHIも一流のベーシストですから。2人に合った曲をチョイスしているので、バンド時代のファンも楽しんでもらえると思います。
──アルバムリリース後は、ファンとの交流の場も増えますね。
そうですね。ソロとして初めてのツアーもあるし、リリースイベントも並行して行う予定です。アコースティックライブも予定しているんですが、バンドサウンドとはまた違う形で僕の声を楽しんでいただけると思います。普段のライブではやらない曲も歌おうと思ってるんですよ。LAREINEが結成20周年ということもあるし、感謝の気持ちを込めてLAREINEの楽曲も歌おうかな、と。Versaillesの曲を歌うかどうかはわかりませんが、アコースティックライブはなんでもアリだと思っているので。
──12月13日にAiiA Theater Tokyoで行われるツアーファイナルは、ソロアーティストとしての最初の集大成になりそうですね。
「Heart」というアルバムをしっかり提示したいと思います。ファンの方々の思い=Heartを受け取りながら、自分の手でアルバムの世界を完成させたいですね。