ダイエット治療

1. はじめに

近年、食生活、運動習慣の変化から肥満者が急増し、その結果、2型糖尿病、脂質代謝異常症、高血圧などの生活習慣病が著増しております。これらの病態をまとめてメタボリックシンドロームと呼びます(世間でいわれる、いわゆるメタボです、以下メタボ)。メタボを放置いたしますと動脈硬化が進行し、脳梗塞、心筋梗塞などの致命的な疾患をもたらします。
現代医学では高血圧、糖尿病、脂質代謝異常症の個別疾患に対して薬を使った対症療法は可能であり、ある程度のメタボの進行を抑制することが可能です。しかしながら、根本的な治療は、薬では困難で肥満の改善つまり「ダイエット」が必要不可欠であります。
当院内科では、メタボ改善を目的としたダイエット外来、入院を2010年7月より開始いたしまして、2012年5月現在150人程度の患者さんが治療を受けられております。
以下に、ダイエット治療の流れ、当科における臨床データ等を述べさせていただきます。

2. ダイエット治療の流れ

予約
特に予約は必要ありません。内科外来にそのまま受診して下さい(毎日受け付けております)。可能であれば、健康診断の結果をお持ちいただければ幸いです。
外来初診
身長、体重測定、問診、血液検査
外来検査
腹部エコー、75gOGTT検査、尿検査等
外来再診
結果説明。この時に入院の可否を判定いたします(保険診療で行うため、美容目的の単なる肥満の方の入院はお断りしております)。遠方の方は再診を省略可。
入院
7泊8日(詳細は後述)
退院後
退院後6か月間は1ヶ月に1回の外来通院。6か月目以降は3ヶ月に1回程度の外来通院。

*単なる「肥満」と治療が必要な「肥満症」の違い
Body mass index (BMI)が25以上肥満と判定します(BMIとは体重÷身長÷身長)。肥満のうち下記の10疾患群のいずれかが1つ以上認められる場合を肥満症と診断します。
10疾患;耐糖能異常、脂質代謝異常、高血圧、高尿酸血症、脂肪肝、冠動脈疾患、脳梗塞、骨関節疾患、睡眠時無呼吸症候群、月経異常

肥満症治療ガイドライン2006より

3. ダイエット入院について

ダイエット治療の一環として、7泊8日の入院を皆様にしていただいております。外来通院のみで行って欲しいとの希望もあったのですが、肥満症克服には患者さんご本人の学習も非常に大切であり1週間の集中学習期間として皆様に入院していただいております。
入院後、食事療法、運動療法、行動療法、薬物療法の4つの柱に従って減量していただきます。減量目標は患者さんそれぞれで異なるため、主治医の先生との相談の上で決めさせていただきます。
以下に入院してからの流れを述べさせていただきます。

入院1日目(木曜日)*基本的に木曜日入院です

10時
入院 資料配布、配本、オリエンテーション、体重測定
12時
昼食
13時30分
栄養士より集団食事指導
14時30分
医師によるスライド講義、ビデオ学習
18時
夕食

*なお、空いた時間には、ウォーキング、読書(こちらでお渡しします)をしていただき、境界型糖尿病または2型糖尿病の方には血糖測定があります。特に、読書に関しては、減量、メタボ改善にはある程度の医学的、栄養学の知識も必須なため患者さん自身に勉強をしていただいております。

体重測定

講義風景

読書していただきます

エアロバイクでの運動

※クリックすると再生します

入院2日目(金曜日)

7時
採血、朝食
8時30分
運動、理学療養士による運動指導
12時
昼食
18時
夕食

体操、ウォーキングを音楽にあわせてやっていただきます。膝、腰が悪くて歩けない方には個別指導を行っております。

*空いた時間に薬剤師による内服薬についての説明があります。医師の回診は朝、夕の1日2回程度です。適宜、回診し指導いたします。

体操

ウォーキング

個別指導

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入院5日目(月曜日)

基本的な流れは金曜日と同じです。午前11時頃より、簡単なペーパーテストがあります。

入院6日目(火曜日)

基本的な流れは金曜日と同じです。昼の12時頃より医師、栄養士と食事会があります。ここで様々な議論、質問をしていただいております。

食事会の風景

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入院7日目(水曜日)

基本的な流れは金曜日と同じです。最後のまとめをしていただきます。水分の影響もありますが、1週間で平均して2~3kg減量される方が多いです。翌日退院です。

担当される栄養士さんから
ダイエット入院をきっかけに食習慣を振り返ってみましょう。
自分に合った食事を一緒にみつけましょう。

担当される理学療養士さんから
燃やそう余分な脂肪!!
運動を楽しく効果的に続けられるようにお手伝いします。
適度な運動を上手に取り入れ快適な毎日に変えていきましょう。

4. ダイエット治療成績

当科における現在までの治療成績について簡単に示します。

上記の様に平均して1年間で-11.95%の減量を得ており20%近く減量する方もおられます。肥満治療ガイドライン2011によると体重を5%減らすことで様々な生活習慣病の改善が得られることから、「5%」の減量の維持がひとつの目標とされております。われわれの施設ではこの5%はクリアしており、必ず起こりうるであろうリバウンドの予防に力を入れているところです。
また減量に伴って、他の糖尿病、脂質代謝異常症、高尿酸血症といった生活習慣病の数値も改善しており、現在飲んでいる薬の減量、中止が可能な方もでてきております。

5. 最後に

当院でダイエット治療を始めて、2年弱ですが近隣の肥満症患者さんを中心に、遠くは佐渡などからも患者様が来院され好評を得ております。ただし、肥満の改善、体重の維持は患者さん自身の一生の課題であり、患者さん自身の病気に対する知識、理解および前向きな姿勢が非常に重要になってきます。医療機関にすべてお任せの姿勢では肥満症の治療は非常に困難であります。われわれとしてはいかに皆様の健康維持をサポートしていくかに重点を置き、皆様の努力を促す方向で診療を行っております。肥満改善にやる気のある方は是非ともお越しください。