糖質と脂肪の吸収を遅らせて、無理なくダイエットを実現!
アレルギー症状の改善も効果大

●解説してくれる人
熊本県立大学教授 奥田拓道先生
●先生のプロフィール
九州大学医学部卒業。医学博士。愛媛大学医学部助教授をへて同大学医学部医化学第2教室教授を務める。2001年より、熊本県立大学環境共生学部教授。日本におけるにがり研究の第一人者

食べ物の脂肪が肥満の大敵!

 いま、にがり水ダイエットがたいへんなブームになっています。私もにがり水を研究している者のひとりですが、たしかにダイエット効果が認められました。でも、人気ばかりが先行し、なぜ、にがり水でやせるのか、意外なほど知られていません。そのメカニズムを、できるだけ簡単に説明しましょう。

 肥満の原因となる脂肪は、脂肪細胞の中にあります。脂肪細胞は、細胞の中に脂肪をため込み、必要に応じてエネルギーを放出します。いわば、脂肪細胞とは、エネルギーの貯蔵庫といえるのです。
 ただ、貯金ならよいのですが、脂肪をためすぎるのはいただけません。脂肪細胞に脂肪がたまりすぎると、百害あって一利なし。皮下脂肪がたまって肥満になったり、内臓脂肪がついて生活習慣病の原因になったりするのです。

 ちなみに、脂肪細胞が集まったものを脂肪組織といいます。この脂肪組織が多く集まっているのが、女性はおへその下、男性はおへその上。そのため、女性は脂肪細胞に脂肪がたまってくると、お尻や足の太さに悩まされるようになってくるのです。
 では、憎き肥満の原因となる脂肪は、いったい何からできるのでしょうか。犯人は2人います。血糖(グルコース)と、食べ物の中の脂肪です。ただ、問題となるのは摂取量ではなく、体内での吸収速度。同じ量を摂取しても、吸収する速度が早いと、肥満は進んでしまうのです。

 まずは血糖について説明します。炭水化物など糖質を多く含むものを短時間でとると、血糖の急激な上昇を防ぐため、膵臓からインスリンが大量に分泌されます。じつは、インスリンは脂肪細胞のドアを開ける門番の役割を果たしています。そのため血糖は脂肪細胞にとり込まれやすくなり、その結果、肥満が加速してしまうのです。

 ということは、血糖の急激な上昇を抑えれば、インスリンの大量分泌を防ぐことができ、肥満もストップできるということになります。

 じつは、にがり水は糖質が血液に吸収される速度をおそくする作用があります。そのため、インスリンの上昇速度もゆるやかになり、肥満も予防できるのです。
また、血糖値の上昇がおそくなるので、肥満だけでなく、糖尿病の改善にも、にがり水は効果的です。


脂肪の分解速度をおそくしてくれる

 もうひとりの犯人、脂肪はどうでしょうか。じつをいうと、脂肪は糖質以上に肥満に直結しやすいのです。その意味では、肥満原因の大親分といえます。

 食べ物からとった脂肪は、膵臓リパーゼという脂肪分解酵素の働きによって、結果的にカイロミクロンという成分に変わります。カイロミクロンは、2つの運命をたどります。ひとつは骨格筋によって代謝され、呼気や尿となって排出される運命。もうひとつは、脂肪細胞にとり込まれて肥満の材料となる運命。じつは、食べ物から急激に脂肪をとると、骨格筋での代謝が追いつかず、カイロミクロンは脂肪細胞へととり込まれやすくなります。ですから、急激なカイロミクロンの上昇を抑えることが、肥満を予防するうえで大きなポイントになるのです。

 ここでも、にがり水は活躍します。にがり水は膵臓リパーゼによる脂肪の分解をおそくする働きがあるのです。にがり水を飲んで膵臓リパーゼによる脂肪の分解がおそくなると、カイロミクロンの上昇もおそくなります。そうなれば、骨格筋で代謝されるカイロミクロンがふえ、そのぶん、肥満予防につながるというわけです。

 では、にがり水のどんな成分が膵臓リパーゼによる分解を阻害するのでしょうか。それは、にがり水の主成分である、マグネシウム。そのほかの豊富なミネラル分との相乗効果によって、膵臓リパーゼによる分解をおそくし、結果的に脂肪の蓄積を防いでくれるのです。

 ひとつ、実験を紹介しましょう。マウスに牛脂40%を加えた高脂肪食を与えると、脂肪組織が増加して肥満体になっていきます。ところが、にがり水をいっしょに与えたマウスは脂肪がつきにくいという結果が出たのです。 このように、にがり水は肥満の二大原因である糖質と脂肪の吸収を抑える働きがあります。肥満を予防、改善するうえで、非常に効果的な飲み物だといえるでしょう。


免疫力を高めてアトピーも抑制

 にがり水には、アトピー性皮膚炎などのアレルギー症状を抑える効果もあります。
 たまごや牛乳などのアレルゲン(アレルギーの原因物質)が体内に入ると、体はこれを異物とみなし、IgE抗体という体の防御組織をつくり、排除しようとします。このIgE抗体はマスト細胞(肥満細胞)と結合し、「IgE抗体+マスト細胞」となります。そこにアレルゲンが侵入してくると、「IgE抗体+マスト細胞」は刺激を受け、ヒスタミンなどの炎症物質を放出し、さまざまなアレルギー症状が起こるのです。

 このようなアレルギー症状に対して、2つの対策が考えられます。ひとつはIgE抗体の生成を抑えること、もうひとつはヒスタミンなどの炎症物質の放出をストップさせることです。
驚くことに、にがり水にはこの2つの作用があることが判明しました。にがり水はダイエットや糖尿病だけでなく、アレルギー症状の改善にも効果的なのです。

 にがり水の研究はまだ始まったばかりで、今回紹介した以外にもさまざま効果があるのではないかと、期待しているところです。皆さんも、にがり水を飲み、健康に役立ててはいかがでしょうか。