皮膚科ステロイド療法

ステロイドの使用について

ステロイドは皮膚科診療において欠かせないお薬の一つです。ですが、ステロイドの使用が皮膚病を悪化させたり、長期間の服用が副作用を招くこともあるため、使用には適切な判断が必要となります。
そのためステロイドの副作用の情報が独り歩きし、「ステロイドは悪い薬」というイメージが先行した結果、「脱ステロイド」という言葉が生まれ、魔法の言葉のような魅力を持ってしまう歪な情報氾濫さえあります。
それでも当院は「ステロイドを使いこなしてこそ皮膚科診療である」というスタンスで診療しています。
ここでは「本当の脱ステロイド」と必要な「ステロイドテクニック」を紹介します。

脱ステロイドにより改善した症例

症例1 パグ 女の子(名古屋市港区)
【解説】

全身の痒みから、他院にて1年半に渡りステロイドを処方され、肥満、脱毛を起こし、全身の膿皮症が悪化していた症例です。ステロイドを休薬し、数カ月かけて皮膚機能が改善されました。また、肥満と脱毛も改善しています。

症例2 アメリカン・コッカー・スパニエル 女の子(愛知県みよし市)
【解説】

数年前から他院にて1日2回のステロイドを処方され、全身性の膿皮症になっていた症例です。ステロイドを完全に中止し、適切な抗菌療法を行うことで改善されました。

ステロイドを使用して改善した症例

症例1 フレンチ・ブルドッグ 男の子(名古屋市熱田区)
【解説】

当院の症例の中でも、最も強いアレルギー体質を持つ症例で、ステロイドと免疫抑制剤を使用して症状をコントロールしています。症状は季節性があるため、初診時と治療後の写真は同じ8月に合わせて比較しています。

ミニチュア・ピンシャー(愛知県豊明市)
【解説】

典型的な犬アトピー性皮膚炎の症例で、梅雨~秋に発症します。この時期を副作用がでないようにステロイドを使用して乗り切るような治療管理を行っています。

症例3 柴犬 女の子(名古屋市緑区)
【解説】

柴犬に多く認められる典型的な犬アトピー性皮膚炎の症例です。強いアトピー体質のため、1年を通して治療が必要です。完治を目標とするのではなく、ステロイドを使用しながらも副作用がでないように治療計画を立てて痒みのコントロールを行っていきます。

症例4 ミニチュア・ダックスフンド 男の子(名古屋市天白区)
【解説】

非常に珍しい「非感染性好中球性皮膚疾患」で、抗菌療法がまったく効果を示さない膿疱が多数認められます。治療はステロイドを主とし、免疫抑制剤を併用して症状を抑えます。長期に渡る治療管理の中では、ステロイドと免疫抑制剤の減量から起こる再発と、ステロイドと免疫抑制剤の副作用から起こる感染症の二つがありますが、小さな病変を適切に判断し、軽症の状態で投薬を変更しながらコントロールしています。

他院によるステロイドで悪化し、当院でステロイドを使用しながら改善した症例

症例 シーズー 男の子
【解説】

痒み止めとして他院から約2年間ステロイドを処方され、医原性クッシングを発症し、重度の脂漏性皮膚炎を起こしていた症例です。当院では週1回のスキンケア治療を行い、わずかなステロイドを使用しながら5カ月かけて全身の皮膚機能を改善させました。

間違ったステロイドの使用は皮膚病の悪化や皮膚機能の低下を招きますが、的確な使用は皮膚を改善させる有効な治療になります。この症例は、過去にステロイドの重度な副作用を経験しましたが、それでもなおステロイドを併用しながら大きく改善させることができました。ステロイドを否定するのではなく、適切に使用することが重要と判断できる症例です。

ステロイドを使用する多くの症例では、完治を目標とせず症状のコントロールを最大の目的としています。そのため根本的な治療とならない点や、長期管理におけるステロイドの副作用の心配点を問題視する見方もあるのは事実です。ステロイドを否定した「脱ステロイド」を謳う治療は、このステロイドによる副作用のみを過剰に伝え、ステロイドの使用を心配する飼主さまに魔法のような魅力を抱かせてしまいます。ですが医療の世界にステロイドが存在するには理由があります。ステロイドにしかない治療効果があり、ステロイドをなくしては治せる病気も治せなくなることさえあります。確かに不必要なステロイドを使用することはあってはなりませんが、安易な脱ステロイドを謳いステロイドを必要とする皮膚疾患に適切に使用することまで否定してはならないと考えています。

2017/07/29

※7月から診察時間が変更となっております。
詳細は診察時間案内をご覧くだいさい。
<8月休診日のご案内>
毎週、火曜日・水曜日:午前・午後休診
毎週、日曜日:午後休診
8/11(金・祝):午後休診
8/13(日)~8/16(水):休診
※その他、セミナー参加等で急遽変更になる場合もございますのでご了承ください。

2017/06/30

7月から診察時間が変更となります。
それに伴い、薬浴最終受付時間も変更となりますので、詳細はHPの診療時間案内または、院内掲示にてご確認ください。

2017/06/30

<7月休診日のご案内>
毎週、火曜日・水曜日:午前・午後休診
毎週、日曜日:午後休診
7/17(月・祝):休診
(7/16正午~7/19休診)
※その他、セミナー参加等で急遽変更になる場合もございますのでご了承ください。

2017/06/01

<6月休診日のご案内>
毎週、火曜日・水曜日:午前・午後休診
毎週、日曜日:午後休診
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2017/05/04

<5月休診日のご案内>
4/30(日)正午~5/3(水):休診
5/4(木):午後休診
5/5(金):休診

毎週、火曜日・水曜日:午前・午後休診
毎週、日曜日:午後休診
※その他、セミナー参加等で急遽変更になる場合もございますので、ご了承ください。