金属アレルギー患者さんのための矯正歯科治療
金属アレルギーの患者さんが矯正歯科治療を受けようとするとき知っておくべきことを5つにまとめてみました。金属アレルギーをお持ちの方は参考にされてください。
金属アレルギーの原因
アレルギーとはある物質に対して免疫反応を過剰に起こすことです。もちろん遺伝要因もありますが環境要因も大きいのです。都会で育った人ほどアレルギーになりやすいと聞いたことはありませんか?都会は排気ガスや水道水の消毒薬が多く含まれています。このような環境で長い間暮らしているとアレルギーが成立して、ちょっとした塵にもアレルギー反応を起こすようになります。
金属アレルギーもアレルギーを引き起こしやすい金属が体内に取り込まれた結果、アレルギーが確立して金属アレルギーとなります。その主な原因は金属歯が口腔内から溶け出していることや紅茶やコーヒー、チョコレートなど金属を多く含む食品を普段良く食べることにあります。
金属が体を構成する蛋白質(例えばアルブミンとかケラチンなど)と一体となり"金属蛋白複合体"を形成し、金属蛋白複合体(抗原)に対して体は抗体を作ります。金属アレルギーが成立している患者さんはこの複合体の濃度が高まった部位にアレルギー症状が起きます。金属アレルギーの患者さんはネックレスやピアスなどで接触部位がかぶれますし、全身性金属アレルギーの場合には手の平や足の裏は汗腺が多いため排出された金属蛋白複合体の濃度が手の平や足の裏で高まり湿疹が出ます。
金属アレルギーがでやすい金属
ニッケル、クロム、コバルト、パラジウムは金属アレルギーになりやすい金属の代表です。これらの金属は歯科で使用されることの多い金属なのでアレルギーの原因としてまず疑わなければならないのは口腔内の金属歯です。長い間口腔内の酸や咀嚼などでこれらの金属が溶け出すとアレルギーが成立してしまいます。
金やプラチナ、チタンはアレルギー反応は非常に出にくいのですが、それでも金属アレルギー反応を示す方も少数ですが一部います。特にチタンはインプラントに使用されるため現代の歯科医療になくてはならない材料のひとつです。
しかし、ある金属でアレルギーが出ると他の金属でも後にアレルギー反応が出てきやすい交差反応がありますのでニッケルやクロムなどでアレルギー症状が出る方がインプラントを受ける場合はチタンで交差反応が出る可能性がないわけではないことも知っておくべきです。これが金属アレルギーがある患者さんの歯科治療は基本ノンメタル治療となる理由です。
日常生活で気をつけること
金属アレルギーの環境要因としてまず挙げられるのが口腔内の金属歯からの金属の溶出です。以下のことに気をつけましょう。
- 金属の歯の代わりにレジンやセラミックなどのノンメタルで治してもらう
- 酸性度を上げないよう日ごろの口腔内ケアをよく行う
- 歯軋りや咬み合わせを改善して金属が溶け出しにくい口腔内環境を作る
次に食べ物に含まれる成分で金属アレルギー症状が出るため次のことにも気をつけましょう。
- コーヒー、チョコレート、紅茶などのお茶を良く飲む人は控えめにする
- インスタント食品やファストフードを控えめにする
さらにストレスは免疫機能を不調にしアレルギーが出やすくなりますから日ごろのストレスの解消法を身に付けることも大切なことです。
金属アレルギーの有無の確認
まず自分が金属アレルギーかどうかを確認してください。
分かりやすいのはネックレスやピアスなど身に付ける装飾品で接触部位に湿疹が出たり赤くなってかぶれる方は局所性金属アレルギー(接触性皮膚炎)です。
全身性の金属アレルギーの方は体内に取り込まれた金属が汗でも排出されるため汗をかきやすい手足に湿疹が出ます。そのような方の口腔内にはたいてい金属製の差し歯やブリッジなどが入っています。そのため口腔内の局所性金属アレルギーも併発して金属歯が直接触れている頬粘膜や舌にも白い縞模様が出ていることがあります。
金属アレルギーが疑われる方は金属パッチテストを受けてみてください。金属パッチテストは健康保険が使えます。皮膚科でもやっているところとやってないところがありますのでパッチテストを行っているかを問い合わせてみてください。
金属アレルギーのある方の矯正歯科治療
通常、口腔内の矯正装置は1年半から2年程度で外れますので金属歯のように何年も口の中に入っているわけではありません。それでも金属アレルギーがある方の矯正治療では装置やワイヤーの材質をアレルギーが出にくいものを使用する必要があります。
金属アレルギーが出にくいものにはチタンをはじめセラミック、ジルコニア、プラスチック、ゴムなどがあります。金属アレルギーの患者さんには基本はチタン合金の装置やワイヤーを使用します。
矯正治療を始めるときにすでに手足に湿疹があったり口腔内の灼熱感、味覚異常などのアレルギー症状が出て苦しい場合にはまず金属アレルギー症状を緩和しなければ矯正治療どころではありませんので、皮膚科専門医院を受診し金属パッチテストを受けていただき口腔内の金属製クラウンやブリッジなどの原因除去を行います。金属を除去した後はプラスチック(レジン)製の仮歯を入れて3~6ヶ月程度観察し金属アレルギー症状が緩和したのを確認してから矯正歯科治療開始となります。
矯正治療期間中は金属を多く含むに挙げた食べ物を避けることも必要です。
矯正歯科治療終了後にそれらの仮歯をセラミックやジルコニアなどのノンメタル修復物で新しい咬み合わせに合わせて作り直します。
Atsuo Kudoh info@facetalk.jp
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