表面張力とは?

 

液体は、分子が比較的自由に動ける状態にあります。しかし、その表面積をできるだけ小さくしようとする傾向を持つので、重力などの外力の作用が無視できる場合は、球状になります。

いま、大気と接している液体を分子レベルで考えてみます。

バルク中のある1個の分子に着目すると、周辺分子との間には「分子間力」がはたらいています。このため、分子同士は互いに引き合っていますが、全体としては打ち消しあっており、バルクに存在する分子は比較的安定な状態になっています。一方、表面(厳密に言えば、液体と大気との「界面」)に存在する分子に着目すると、バルク側の分子のみならず、大気中の分子との間にも分子間力がはたらいています。しかし、バルク側の分子の密度が圧倒的に高いため、表面に存在する分子は、常に内部(バルク側)に引き込まれています。この結果、表面を縮めるような張力がはたらいているように見えます。これが「表面張力」(厳密には界面張力)です。

 
 

また、時間の経過とともに、平衡へ向かっていく表面張力を「動的表面張力」といいます。Wilhelmy法による静的表面張力よりも高く、ぬれにくい傾向にあります。

 

表面張力の測定

Wilhelmy法(プレート法、垂直板法)  -Wilhelmy method (plate method or vertical plate method)-

 

測定子(以下、プレートといいます)が液体の表面に触れると、液体が測定子に対してぬれ上がります。このとき、プレートの周囲に沿って表面張力がはたらき、プレートを液中に引き込もうとします。この引き込む力を読み取り、表面張力を測定します。

 

 

 

du Noüy法(リング法、輪環法)  -du Noüy method (ring method)- 

 

du Noüy法は、引き離し法による表面張力測定の代表的な方法として、もっとも良く知られており、JIS K2241でも採用されています。

du Noüy法ではリング状の測定子を用いて測定を行います。

du Noüy法での表面張力測定の特徴は、

 Wilhelmy法よりも早く普及した測定法で、各種規格に採用されていること

 表面張力値の他に「ラメラ長」の値も測定できること

が挙げられます。

反面、界面活性剤溶液のような表面張力値が経時的に変化する溶液の測定には向きません。

du Noüy法での表面張力測定方法は、

まず、液体に対して平行に吊り上げたリングを、液中にいったん沈めます。

次に、リングを鉛直方向に徐々に引き離していきます。

この時、リングと水面との間に形成された液体膜により、リングに力がはたらきます。

液体膜により加えられた力のピークを表面張力値として算出します。

リングを引き離すとともにこの力は変化しますが、この力の最大値を測定すると、次式により表面張力が算出できます。

 

 

上式のCは、Zuidema & Watersの補正項であり、du Noüy法による表面張力測定の算出を行うときに使用されます。du Noüy法にて表面張力測定の算出に補正項が必要な理由は、リングにはたらく力の向きや液体膜の形状が表面張力値の算出に影響を与えるため、その影響を補正するためです。

補正項C、Zuidema & Watersの補正項は、次式から求めることができます。

du Noüy法にて使用される補正項には、他に、Harkins & Jordanの補正などが知られています。

 

<ラメラ長測定>  -Lamella length measurement-

 

du Noüy法の引き離し法による表面張力測定の特徴の一つに、ラメラ長の値も得られることが挙げられます。

ラメラ長とは、液体膜がどれだけ伸びるかということを示す指標です。

ラメラ長の測定方法は、du Noüy法での表面張力測定と同じです。

ラメラ長測定は、引き上げ張力のピークから液膜が切れるまでの長さを測ります。

測定されるラメラ長はステージの下降速度によっても変化します。

またステージの下降速度が早い場合は、液体膜が伸びきる前に切れてしまうことがあります。

そのため、ラメラ長測定の場合は、ステージの下降速度は一定の遅い速度である必要があります。

 

 

 

 

液体膜が伸びた長さを測定し、液膜・塗膜の切れにくさ、泡の安定性や消泡性の度合を表します。

塗料、コーティング液のコーティングロールへのピックアップ性等を表す指標としても用いられています。

 

 

懸滴法(ペンダント・ドロップ法)  -Pendant Drop Method-

 

鉛直方向に向けた細管の先端から液体を押し出すと、細管の先端に液滴がぶら下がります。このぶら下がった液滴を「懸滴」(ペンダント・ドロップ)と呼びます。

この懸滴の形状は、押し出された液体の量、密度、表面・界面張力に依存するため、形状を解析すれば表面・界面張力を求めることができます。

プレートにぬれにくい粘稠(ちゅう)な液体、溶融ポリマーや、液体と液体の間の界面張力測定には、懸滴法(ペンダント・ドロップ法)が適しています。

 

 ds/de法>  -ds/de method-

懸滴の最大径(赤道面直径)de、および、懸滴最下端からdeだけ上昇した位置における懸滴径dsを実測して表面張力を算出する方法です。

 

 <Young-Laplace法>  -Young-Laplace method-

針先より作成した液滴の輪郭形状および密度差の値から画像処理によりYoung-Laplaceの式をフィッティングさせて表面張力を算出します。
輪郭曲線の多数の座標(数百点)とYoung-Laplace理論曲線とをフィッティングさせることにより、 精密な界面張力を求めることができます。

 
  
 

最大泡圧法  -Maximum Bubble Pressure method-

 

最大泡圧法(Maximum Bubble Pressure method)とは、液体中に挿した細管(以下、プローブといいます)に気体を流して、気泡を発生させたときの最大圧力(最大泡圧)を計測し、表面張力を算出する方法です。基本原理は、Young-Laplace式に基づいています。

 
 

液中のプローブから気泡を連続的に吐出させると、プローブ内の圧力は周期的に変化します。→①〜④
気泡の曲率半径 R とプローブ先端の半径 r が等しくなったとき、圧力は最大となります。→③
その後気泡は急激に膨張減圧します。→④
この最大圧力から表面張力を求める方法が最大泡圧法です。

①から③の時間をライフタイム(気泡の寿命)といい、プローブ先端内で新しい界面が生成した時点から
最大泡圧となるまでの時間を指します。
ライフタイムの間に吸着した界面活性剤が表面張力を左右します。

 
 
  表面張力計の応用事例〜液体の泡沫安定性および粉体の分散性の評価〜