脱毛エステ大手会社の任意整理に関する報道です。
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脱毛エステ大手の「ミュゼ・プラチナム」を運営するジンコーポレーションが多額の負債を抱え、銀行団との任意整理に入っていることがわかった。高橋仁社長が6日、都内で会見して明らかにした。事業は継続したうえで、債務返済に向けた再建計画をまとめ、来年3月までに銀行団の同意を得る、と説明している。
ミュゼは全国に脱毛エステサロン約190店を展開し、会員は約270万人。8月下旬から9月上旬にかけて解約件数が増加し、前もって支払ったエステ代金を顧客に返済する費用などがかさんだという。昨冬以降、スタッフが不足気味にもかかわらず宣伝広告を打ち続け、予約が取れないなどの苦情が出ていた。主要取引銀行のほか、広告会社にも負債があり、支払い猶予の交渉をしている。負債額は明らかにしていない。
( 朝日新聞 2015.10.6 配信より抜粋 )
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任意整理とは「法的手続きには依らず、債務者と債権者との合意により自主的に負債を整理していく私的整理の一種で、倒産処理の一形態」です。今回のケースは事業を継続する再建型ですので、私的整理ガイドラインに沿ったものではないかと思います。なな、私的整理ガイドラインでは「会社更生法や民事再生法などの手続によらずに、債権者と債務者の合意に基づき、債務(主として金融債務)について猶予・減免などをすることにより、経営困難な状況にある企業を再建するためのもの」と私的整理を位置づけています。
「ミュゼ・プラチナム」の経営危機説は、2015年初めごろから一部メディア媒体で囁かれはじめ、2015年8月には
・2015年5月頃より大手広告代理店への支払いが滞り始めている
・銀行団は、同社が前受金を全額売上計上し、未消化分が簿外負債となっていることを問題視
・7月中旬より、、9月末まで前受金の実態把握と再建計画立案のためのDDが実施されている。
・簿外負債の金額は5百数十億に上り、前受金を計上した場合は債務超過に転落する。
等々、具体的報道も目立ちました。8月下旬から9月上旬にかけて解約件数が増加したとあるのは、これらの「ミュゼ・プラチナムの経営危機説」の報道による影響ではないかと考えられます。
前受金を全額売上計上している点が問題になるのは、経営破綻した旧・英会話NOVAと同じ理由です。エステや英会話のように、チケット回数券を顧客に販売している場合、売上となるのは使われたチケット分相当のみであって、未消化分は顧客から預かっているお金(前受金)でしかありません。旧・英会話NOVAの経営破綻時には、この未消化分相当の顧客返金について明確な規制がなく、返金金額も旧・英会話NOVAの契約によって制限されていたため、全額売上計上が容認されていました。現在は、旧・NOVA経営破綻の教訓から、特定商取引法によって中途解約のほぼ全額の返金が義務付けられるようになり、旧・英会話NOVAのような会計処理は認められなくなっています。
【 特定商取引法によって中途解約のほぼ全額の返金が義務付け 】
特定商取引法により規制される「特定継続的役務提供」(法第41条・・・・ 指定役務:エステ、語学教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介の6役務)における中途解約(法第49条)
全額売上計上する・しないに関わらず、会社側にとって、この前受金相当の威力は絶大です。役務提供の前に、先に纏まった資金が会社に入ってくるため、キャッシュフローは極めて潤沢になり、この資金を使って宣伝広告を実施し、新規顧客を呼び込めば更に潤沢なキャッシュフローを産んで行きます。旧・英会話NOVAがTVのCM等、突出した宣伝広告が実施できたカラクリはここにあります。
一方で、これらの先取りした資金(前受金・・・顧客からの預かり金)は、売上ではないので、解約があれば返金しなくてはいけないですし、サービス提供時には後からコストが発生するので、そのコストに充当するためプールしておくべきものです。(ちなみに、上記記事では「顧客に返済する費用」とありますが、これは間違いです。費用ではなく資金ですね。) 目の前のキャッシュフローが潤沢だからといって、これらを過大な宣伝広告や他の支出に回せば、新規契約数の伸びが鈍化するとキャッシュフローはマイナスに陥るビジネスモデルなので、自転車操業のようになってしまうのです。
ミュゼ・プラチナムの場合、前受金相当額を全額売上計上しているので、外部から見れば売上の急拡大・急成長のように見えるでしょうし、またCMを始め多額の宣伝広告費を投入している姿も、旧・英会話NOVAの経営モデルとそっくりです。
今回のケースでは、事業継続とあるので、金融機関のみを支払猶予・債務カットの対象とした任意整理のように思われます。旧・英会話NOVAの場合は、救済支援に手を上げた企業が複数ありましたが、常に「医師法違反」というグレーゾーンを指摘されている脱毛エステ事業では、ビジネス・リスクが高く、救済支援を同業種以外の他企業に求めるスキームは難しいと思います。会員数が270万人、前受金相当が500億円以上と、破綻して事業がストップすると社会問題化しそうな規模です。うまく再建計画がまとまって欲しいと願います。
( 一条かづき氏のペン画『Blue』。女性にとって「美」に関するテーマは永遠のテーマです。)
【 掲載作品は弊社購入イラストです。無断転載は固くお断りします。】
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