電源基板への入力電圧の印加時の注意点 Part 1/2電子回路では様々な種類の電圧が必要となるために数多くのDC/DCコンバータを使用して基板への入力電圧を必要な電圧に変換しています。多くの場合、基板への電源供給はAC/DCの絶縁型電源から行われますが、電源基板の評価を行う時には安定化電源を使用して電力供給が行われる事が多くあります。安定化電源を評価基板に接続するその瞬間に思いもかけないトラブルが発生する事があり、最悪ケースでは接続した瞬間に電源ICを破壊してしまう可能性が有るので注意が必要な場合が有ります。 電源投入時の突入電流による高電圧の発生前回、電源回路の負荷短絡試験を行う時に発生する問題について書きましたが、同じような事象が安定化電源を使用して電源回路に電力供給を行った時に発生する事があります。電源回路の評価基板に電源を供給する時にどのようにして安定化電源を接続しているでしょうか。 大容量の積層セラミックコンデンサの使用が一般的になり、低電圧で動作する高速動作の電源回路では図1の様に出力コンデンサだけではなく、入力コンデンサにもセラミックコンデンサを使用している事が多くなっています。 電源ICではなく、低ESRのセラミックコンデンサが原因動作状態の安定化電源にセラミックコンデンサだけを単独に接続した場合を考えてみます。出力電圧が5Vの状態で、22uF/6.3VでESRが3mΩのセラコンを接続してみます。もし、接続に使用した配線の抵抗とインダクタンス成分が0で、安定化電源の内部インピーダンスが0の図2の状態だった場合、スイッチをONした時にはコンデンサの電圧は0Vなのでこのループには5V÷3mΩ=1633Aの尖頭電流が流れ、コンデンサが5Vまで充電された時点で充電電流が0Aまで減少するという計算になります。この時のCR時定数は 22uF×3mΩ=66nsec なので理論的には1usec未満でほぼ満充電となる事になります。 5Vに設定された安定化電源の出力に各々30cmの電線を使用して放電状態のセラコンに接続した時の電圧と電流を測定します。2本の電線による総長60cmの1ターンのループは0.5uH程度のインダクタンスを持つために電流には大きな影響を与えます。 図4に示すように、接続直後に、電源側のVoは5Vを維持しますが、コンデンサ側のVinでは電圧0Vで3mΩのESRのコンデンサにより短絡状態となって0Vとなり、配線の両端に5Vの電圧が印加されている状態から始まり、電流は0Aから徐々に増加を開始します。 この現象は入力コンデンサに電解コンやタンタルコンが使用されていた時には、高いESR値によるピーク電流の抑制とESRが共振回路でのダンピング抵抗として動作することにより共振が抑制されるので大きな問題とはなりませんでした。しかし、セラコンを入力コンデンサとしている電源基板に安定化電源の電圧を印加した時にも同様な共振電圧が発生します。低電圧動作用の電源ICの多くは耐圧が7V程度しか無いので、短時間とはいえVinにピークで8.4Vの電圧を印加してしまうという事になりますので電源ICにダメージを与え、最悪では製品の破壊に至る可能性があります。
オーバーシュート電圧の軽減化安定化電源と評価基板の接続にはバナナ・プラグやみのむしクリップの付いた30cm程度の電線を2本使用して接続している事が多く、+・-の電源ラインが大きなループを構成してしまっていることが多くあります。ではこの2本の電線をよって、ツイステッドペアとして給電するとどうなるでしょうか?同じ長さの電線2本をツイステッドペアにすること、配線の持つインダクタンス値を半減する事ができます。インダクタンス値が小さくなると突入電流は増加しますが共振によるピーク電圧は減少します。 (Part2 に続く) |