国憂ふ泪のごとし竜の玉          傘汀        
  
侘助の咲きて庭の手入れかな        清七
  
 床の間の掛軸鶏頭の赤実南天に似たる
 傘寿の思い出膨らで行く去年今年
   

実南天竹座のありしむかしかな      京羅坊
   
 階や南天の実の雪の寺
実南天玉とりあそび母と猫
   

 赤い鳥 実南天をばこぼしけり        瞳夢
  
 冬草や振り まわす子の影踏みぬ
  
行く年や光の予兆ほのかにも

実南天今年も鳥に喰われけり                正己
  
冬草を避けつつ漕ぎて車椅子
行く年や点滴今朝もゆっくりと
   

実南天豪勢に活け備前焼                  洋光
   
 行く年やをのこもすなる厨ごと
  
 街路樹の根方冬草夫見舞う                 意久子
   
行年や一人離れて三世代 
   

古希という閑けさに在り実南天               遥
あてどなく歩く武蔵野冬青草
  

名ばかりになりし武蔵野実南天               有楽
   
 冬草や地球温暖ふさふさと
   
 日米の新佐渡情話年暮れる
   
   
 行く年や行間ゆったり書く日記               方江
 部屋明し遊びに描きし南天の実
    

 赤き鳥南天の実を食みしとか                         とみゐ
 懐かしき歌手の出演冬の草
   
年歩む何処まで行ける六十路かな
  
 絵手紙の色の滲みや冬の草                 天花
 行く年や絵筆にたっぷり金の色
冬草青し免許証の更新日
  

福呼ぶと派手に熟れたる実南天               吐詩朗
 冬草の青さ大地にへばりつく
  
 未解決世に満つるまま年歩む
   

 その青の寄宿舎跡や冬の草                あゆ
災いの年をたわわに実南天                 
 年惜しむ憂き世離れて田の煙 

 身の丈を越えて見えずや実南天               もとこ
 行く年やまた来る年のなに変ろ
年の末任せて立たん動く道 
  

余震なほ殊に紅濃き実南天                水の部屋 
   
逝く年の汽笛に応ふ汽笛かな
 冬草や創刊号に加はりて 

試歩の杖しっかり挿して冬の草                           亀山竜子
実南天に鳥を集める留守の庭
予知能力啓発されず年送る
   

南天の実を二つ付け兎の眼                           紫微
 飛石と蹲避くる冬の草
 行く年や災の年にも無事過ぎし
   

 主よと歌いはじめたる南天の実              だりあ
  
口外をしてはならじと実南天
冬草の雨の匂ひを放ちたり

冬の草海鳴りを聞く椅子ひとつ               美沙 
 行く年の弥撒の鐘の音天は遠い
 南天の実と空磨いて朝の眼鏡
  
ジャンボ籤買ひそびれけり実南天             のぼる
 家伝てふ鰤の照焼大晦日

 亡姑の里疎遠の門の実南天                陽湖
   
 安静のガラスは厚し冬の草

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定位置に皆の顔見て行く年や

 人形の窓越し見とれる実南天               さかもとひろし
行く年や貨物列車の疾く過ぎぬ
往ぬ女を送りて赤き実南天
   

折々の 風をもらひて 実南天               姥懐
   
冬青き 草にそそらる 日がなかな
 悪しきこと より善き事多く 年惜しむ

頬赤き少女帰るや南天の実                         あきのり 
   
からからと風の鳴る音冬の草
 怒涛の輪廻の中や年果てる


冬草や下校途中の子らの声               山野いぶき
 行く年やバッハを聞いて過ごしおり
 実南天実家も時の移りけり
  

行く年や 銀座の空に 風船ひとつ                河彦
  
 行く年や 災いの果てに 海怒る
馬を追う 夢ささやかに 冬の芝

実南天卒寿の母と撮りにけり                                章司
   
冬草や戀といふ字にある情(こころ)
 行く年の濠の白鳥飛行船
   
 次々と傷あと残る年は逝く                   二穂
冬草や這いつくばってなお生きる

南天をついばみしとり赤くなれ                 秋吉景子
  
 へばりつく冬草のあり道の辺に
   
 行く年に新しき目は入りけり
   

哀しみの白実南天りんさん逝く                 みどり
   
 路地裏の青き冬草輝きて
 行く年は泣きっ面にハチさようなら

路地裏に銭湯の匂い実南天                    弘子
 恋愛は本の中のみ冬の草
 行く年や架設住宅の窓明かり
   
冬草苛なまれし身の置き所                    美原子
  
 恋人が友人にかわり年流る
   
 国越えて祈る想いや実南天

 尋ねれば南天の実のキュートかな                竹雄
冬草の引くには惜しき萌黄色  
 行く年や地球の異変日本にも

 うつわ展 白布の上に 実南天                 花子
冬草や 気骨は孫に 受け継がれ
 行く年や 川の流れを 鼻唄で
 
背を丸め猫くぐり来る実南天                   萬坊 
 くす玉の紙吹雪のせ冬の草
 行く年や古電球の頑として
   
               
 行く年や我慢抱きしめ溶かし行く                 悠々