エイジングケアインフォ2014.02.19
高齢者のスキンケア対策
- 年齢を重ねるにつれて、「全身の皮膚がカサカサして、かゆくてたまらない……。」このような症状を実感されている方は多いのではないでしょうか。実際、毎日の診療の中でもそのような悩みで皮膚科を受診されるかたはたくさんおられます。では、なぜ高齢になるほど皮膚が乾燥してかゆくなりやすくなってしまうのでしょうか。
- 高齢者の皮膚トラブルの代表「老人性乾皮症」
- 皮膚というのは本来、絶えず新しいものに入れ替わる「皮膚のターンオーバー」を繰り返しています。それが、歳を取るとターンオーバーの速度が低下していきます。また加齢によって皮膚は次第に薄くなっていき、真皮内の細胞成分であるコラーゲンや弾性線維の量が減少するなどで、皮膚は脆弱になって張りもなくなります。
そして、皮膚の乾燥は、もっとも外側にある表皮内の角層に含まれる水分量と関連しています。角層は外部からの異物や抗原の侵入や、体内の水分喪失を防ぐ重要なバリア機能を担っています。若い人の皮膚がうるおっているのは、角層内に水分がしっかりと保持されているからです。歳を取ると、角層表面まで水分が届きにくくなり、水分保持のために必要な皮脂、角質細胞間脂質、天然保湿因子の3つの物質も加齢に伴ってすべて減少していきます。
その結果、角層内の水分量は低下して、皮膚は乾燥しやすくなるのです。やがて皮膚のきめが粗くなり、表面に細かい粉(鱗屑)が付着した状態になります。これを「老人性乾皮症」と呼びます。若い人でも角質内の水分量が低下することで乾燥肌になる人はいますが、こうした複合的な要因が重なるという意味で、高齢になると乾皮症にはいっそう気をつけなければなりません。 - 乾皮症でさらに留意したいのは、「かゆみ」です。乾皮症ではかゆみに対して敏感になり、そのために掻いてしまうことが原因で、皮膚に炎症が生じていきます。地割れのような紅斑ができて激しいかゆみを伴った状態を「皮脂欠乏性皮膚炎」といい、放っておくと別のタイプの湿疹に発展して重症化することもあります。そのようになる前に、早めにクリニックへ受診されることをおすすめします。
- 皮膚の乾燥やかゆみを防ぐためには?
- 日常生活において、できるだけ皮膚の乾燥やかゆみを防ぐ主なポイントとしては、次の3つが挙げられます。
1)入浴
入浴は高齢者の皮膚を清潔に保つ一方、間違った入浴をすると皮膚にダメージを与え、乾燥を促してしまうこともあるため注意が必要です。
ナイロンタオルでゴシゴシ擦ったり、脱脂力の強い石鹸やボディーソープの使用による過度な洗浄は皮脂を取りすぎるだけでなく、刺激による湿疹の原因になります。しっかりと泡立てて、綿などのやわらかいタオルや手でやさしく洗うことをおすすめします。
また、熱すぎる湯船につかることも皮脂の取りすぎによって乾燥が進んでしまいます。高齢者は熱いお湯を好む方も多いですが、体感よりややぬるめの39℃くらいがおすすめです。
2)部屋の湿度
特に秋から冬にかけては空気が乾燥しやすく、エアコンなどの暖房の効かせすぎも皮膚の乾燥を助長します。加湿器を用いて、適度な湿度(40~60%)を保つようにしましょう。コタツや電気毛布の長時間の使用も注意が必要です。
3)衣類・食生活
肌着など皮膚に直接ふれるものは、チクチクしない、刺激の少ないものを選びましょう。また、アルコールや香辛料などの刺激物の摂りすぎは、体温が上昇してかゆみがひどくなるために控えるようにしましょう。 - 保湿剤の選び方と塗り方は?
- 乾皮症の予防・治療に欠かせないのは「保湿剤」といわれる外用剤です。保湿剤は皮膚の水分が逃げないように皮膚表面をコーティングしたり、皮膚に水分を与える役割を持っています。
保湿剤には、ローションやクリーム製剤のもの、軟膏といったさまざまな種類があります。いずれも効果に大きな違いはありませんが、製剤によってべたつきや使用感などが異なります。
たとえば、夏はさっぱりとして使用感が良いローションを選んだり、冬は皮膚を保護する効果の高い軟膏やクリームのタイプを選ぶといった考え方でも良いと思います。部位や症状を考えながら、季節に合ったタイプを選びましょう。
基本的な塗り方は、手を清潔にして保湿剤をとり、1ヶ所ではなく数か所に点在して塗布してから、指先ではなく手のひら全体を使ってやさしく丁寧に、できるだけ広範囲にのばします。軽く皮膚がテカる程度が使用量の目安です。
保湿剤は季節に関係なく、できれば毎日朝夜2回の塗布をおすすめします。1年中塗る習慣をもっても良いくらいです。特に夜は、入浴後に早め(できれば入浴後5分以内)に保湿剤を塗ると効果的です。
- 松田 芳和 先生
- さぎのみや皮膚科クリニック 院長
東京大学医学部卒業。東京大学医学部付属病院皮膚科、東芝病院皮膚科、社会保険中央病院皮膚科などを経て、2013年にさぎのみや皮膚科クリニックを開院。日本皮膚科学会認定専門医。
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