豚足
肉質の部分は少なく、大部分が皮と筋、軟骨から構成され、コラーゲンを多く含み、加熱によってゼラチン質となる。沖縄県を除く日本では、毛の処理や下茹での終わった状態で販売されることが多い。主に皮とその周りの肉を食べる。軟骨も柔らかく煮込まれていれば可食である。
豚足には前足と後ろ足があり、大きさや形状が異なる。前足は後ろ足よりもやや小さいが、こちらのほうが美味だという人もいる。後ろ足は面長で大きく、肉付きが良く柔らかい。
沖縄県、鹿児島県など以外の日本では、以前は酒場でつまみとして出される男性向けのやや特殊な食べ物(ゲテモノ)という認識であったが、近年は肌の美容に良いとして食する女性も徐々に増えてきている。ただしコラーゲンの経口摂取による美容上の効果については実証されておらず、高脂質高カロリーでプリン体を多く含むことから肥満や痛風の原因となる可能性もあるため、決して健康的な食品であるとは言えない側面もある。
豚足料理の例
豚足は、日本料理ではあまり馴染みのない食材だが、沖縄では足てびち(単にてびち、てぃびちとも)と呼ばれ、煮付けやおでん、沖縄そばの具などとして日常的に消費されている。
てびちとは「手引き」の転訛とされ、煮込み料理を意味する琉球方言である。本来は豚足そのものを指す言葉ではないが、この種の料理に豚の足が多用されたためか、現在は沖縄でも一般に「てびち=豚足」として認識されている。ただし、伝統的なてびちには足先ではなく中足骨の部分(人間の「足の裏」や「手のひら」に相当する部位)を輪切りにしたものが好んで使われることが多いため、他地域で一般的に豚足と呼ばれている部位は「ちまぐー(蹄を意味する琉球語)」と呼んで区別されることもある。
沖縄のてびちと同じく、黒糖や薩摩の甘い醤油を使って煮込んだ料理を鹿児島県の奄美地方でも奄美方言で「わんはぎ」(わんが豚、はぎが足)と称して、よく食べる。スーパーマーケットなどでも素材や調理済みのものが売られている。奄美でも沖縄と同様に古くから家庭で黒ブタが飼われていたので、足も無駄なく利用されてきた歴史がある。
静岡県の浜松や磐田などの県西部では、沖縄風に砂糖と醤油で甘辛く煮込んだ豚足のことを「おもろ」と呼んでいる。語源は定かではないが、琉球方言のおもろに由来するという説が有力である。
アジア諸国(日本以外)
韓国ではチョッパル(족발)と呼ばれ、酒肴として屋台などで定番である。
まず豚足を茹で、次に醤油、ニンニク、ショウガ、砂糖、清酒などを入れた煮汁で長時間煮込み、冷ましてからスライスして供する。表面は飴色になっており、しっかりと味付けされているのが特徴である。これをエビの塩辛の薬念につけて食べたり、サムジャンやニンニクなどと共にサンチュにくるんで食べたりする。店によっては桂皮や高麗人参などの漢方素材を入れてつくるところもある。
台湾では「猪脚」(中国語 豬腳、ジュージアオ、zhūjiǎo)と称して、煮込み料理の専門店も多くある。特に屏東県万巒郷には専門店が多く、名物料理となっている(万巒猪脚)。細かく分けると、前足は「猪手」、後ろ足は「猪蹄」というが、区別しない事も多い。脛は「元蹄」、「肘子」などと呼び、似た煮込み料理にされる。
醤油と砂糖で甘辛く煮た「紅燒豬腳」(ホンシャオ・ジュージアオ)と呼ぶものが多いが、醤油味の「醬香豬腳」(ジアンシアン・ジュージアオ)、香辛料を効かせた「香鹵豬腳」(シアンルー・ジュージアオ)、酢とショウガで煮た「姜醋豬腳」(ジアンツー・ジュージアオ)などもある。
広東省の客家料理でも、「紅燒豬腳」や「姜醋豬腳」などが供されている。生姜で豚足と鶏卵を煮た「豬腳薑」は、広東省などで産後の肥立ちによい料理として食べられている。広東料理では腐乳で煮込んだ「南乳炆豬手」(ナームユー・マン・ジューサウ)も飲茶の点心の一つとなっている。
鄧城葉氏猪蹄
ベトナム語ではゾーヘオ(giò heo)といい、ベトナム料理ではスープを取る材料の一つとしても用いられ、フォーやブンなど麺料理のスープの味に広がりを持たせている。また、煮込み料理として食べられるほか、麺料理の具としても用いられ、フォー・ゾーヘオ、ブン・ゾーヘオなどとして食べられている。
ヨーロッパでは豚足は大抵どこの国でも、ワインおよびトマトや野菜と一緒に煮込む、(そのような下煮込みあるいは下茹でをしたものを)衣をつけてフライにする、オーブンでグリルにする、このいずれかのパターンで供される場合が多い。その上で各国風の味付けが凝らされている。
マニータス・デ・セルド・ギサーダス
ピエ・ド・コション・パネ
ピエ・ド・コション(フランス語: pied de cochon)は豚足のことを指す。パネとはパン粉をつけてフライにしたものである。下茹でないし、白ワインなどで下煮込みをしておいてから調理する。