ヘルスケア
2015/10/29

更年期のダイエット、 「食べてないのに痩せない」は本当だった!?

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Illustration / Yuko Inami

「ちょっと太ってしまった」と感じれば、食事制限をしたり、ハードな運動を試みたり、少し極端でも一気に体重を落としたいと、ダイエットに励んでしまうのが女性の心理。ただ、更年期脂肪が手ごわい40〜50代のダイエットは、20代の頃のように体重は減らないし、便秘やイライラなども重なって、思うように結果が出ないこともしばしば。この年代の女性がスムーズにダイエットできる方法について、アスレティックトレーナーの山本邦子さんに伺ってみました。

体重増の原因は、筋力低下とホルモン不足による内臓脂肪増加

「加齢による筋量低下に加えて、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が減るため、女性の筋肉量は男性に比べて大きく減りはじめます。さらに、エストロゲン不足は、内臓脂肪を蓄えるため、見た目も太っていくし、体脂肪率も一気に増える女性が多いのです」

年齢とともにダイエットしても痩せないとは良く聞きますが、体脂肪率も増えるのですね。

「私が見て来たお客さまでも、更年期に入ると一気に10%ぐらい体脂肪率が上がる方が意外と多いのです。食事量も運動量も変わらないのに、24%ぐらいだった方が34%ぐらいまで、数ヶ月で一気に上がってしまう。もちろん、中には変わらない方もいらっしゃいますが、体脂肪率が上がる人は多いですね」

大人のダイエットは食事か運動か?

健康的に美しくありたい女性は、体脂肪が一気に上がったら、相当ショック。何かしらダイエットを始めなければ……と思うのですが、そこで気をつけておくべきポイントはありますか?

「筋肉量が低下すると、体温も下がり、代謝も下がります。極端に太らないだけでなく、健康を維持する面でも、基本は運動で筋肉量を増やすことです。また、更年期前から身体を動かすことを意識的に行い、筋肉量を多く維持しておくことが大切です」

食事をコントロールすることも出来ると思うのですが、やはり運動習慣が良いのでしょうか?

「食事の量を全体的に減らすのは、良いと思います。ただ、ダイエットというと、食事制限をする方もいらっしゃいます。偏った食事制限は、逆に痩せにくいし、健康を害する要因にもなるので注意が必要です。たとえば、肉や魚を控えて、大豆や野菜で過ごしている方。たんぱく質は、筋肉を作る材料です。材料がなければ、どんなに運動をしても筋量は増えません。だから、運動しても筋量が増えない、代謝があがらないので痩せないのです。さらに、糖質をカットするのも危険です。脳は糖を大量に使う臓器です。ただでさえ、更年期でうつっぽかったり、イライラしたりする中で、脳への栄養補給をカットしてしまうと、脳の働きまで低下させることに繋がります」

40〜50代で少し太ってきたら、糖尿病のことも考えて糖質を控える人は多いと思うのですが、それは危険なのですね。

「脳に栄養(糖)が供給されなくなると、私たちの身体は筋肉を壊し、糖に分解して使います。ただでさえ低下している筋肉量がダイエットによりさらに減ったら、体脂肪率は増える一方です。痩せるための食事制限が逆効果になることもあることを知っておきましょう。もちろん、極端に摂る必要はありませんが、カットしないことをおすすめします」

上半身を動かすことで、 心拍数をあげていくこと

伺っていると、やはり運動で筋量を増やすこと、少なくとも減らさないほうが良いと感じるのですが、効率的に筋量を増やす方法はありますか?

「大きな筋肉がある下半身を鍛えることも大切なのですが、普通に動けている限り、下半身は使っている方が多いんですね。それよりも、上半身の筋肉を使うことが、より運動効果を上げてくれると考えています」

「体脂肪率を下げるには、心拍数をあげて、酸素の摂取量を増やす必要があります。下半身の運動だけでは、心拍数が上げにくい。腕を振る、重い荷物を運ぶ、腕立て伏せをやってみると、心拍が上がっていくのが分かるはず。ウォーキングやランニングの習慣がある方は、上半身も動かしていますが、スクワットなどの筋トレでは、上半身の動きが少ないんですね。ヨガのレッスンで見ていても、腕で床を押して身体を支えるポーズが出来ない方は、更年期以降の女性にとても多いんです」

酸素の摂取量を増やすために、呼吸を行うのも有効でしょうか?

「呼吸だけで心拍数はあがりませんが、しっかり酸素を取り込める身体を作るためにも呼吸は有効です。あばら骨が動くことで、肺が広がり、酸素を摂り込みます。このあばら骨が動かない方も多いのですが、そうすると、摂り込める酸素量も少ないんです。あばら骨を触って、息を吸ったとき、あばら骨が前にも横にも、背中にも広がる感覚があるのがベスト。ゆっくり呼吸を繰り返し、あばら骨の動きに意識を向けていると、動き出すのが分かります。その状態で日々を過ごせれば、少ない運動量でも体脂肪を蓄えづらい身体を作っていけるでしょう」

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山本 邦子先生

NATA公認アスレティックトレーナー 、フェルデンクライスプラクティショナー。「動作教育を通した人間形成のお手伝い」をモットーに、子どもからお年寄りまでが出来る、その人が持つ能力を引き出す『A-YOGA Mind and Body Movement Therapy』を考案。2009年より宮里藍プロの専属トレーナーを務める。アスリートだけでなく、発達障害児向けのプログラム開発やリハビリのためのヨガなど、幅広い分野で活動している。近著にはマインドフルネスについて書き下ろした『トップアスリートだけが知っている「正しい」体の作り方』(扶桑社新書刊)がある。

取材・文 坂本真理