クリニックQ&A特集
作者: ミルディス皮フ科院長:村上義之
【ニキビ】
Q1.ピーリングローションとはどんなものですか?また、抗生物質入りの外用剤との併用はどのようにすればよいですか?
A1. 当院のピーリングローションの主成分はグリコール酸(AHA;ケミカルピーリングによく使用されています)と安定型水溶性ビタミンCからできており、防腐 剤などは配合しておりません。使用目的はグリコール酸によって皮膚表面の不要な古い角質を剥離させて、毛穴の出口で少しでもつまりにくくさせるとともに、 ビタミンCの抗酸化力によって脂質(皮脂)の酸化を抑制させることです。古い角質が除去されることによって、その他の成分も浸透しやすくなります。使用順 序としては、洗顔後にピーリングローションを顔全体に軽く擦り込むように(ふき取り化粧品の要領)使い、そのあとに炎症性ニキビ(赤ニキビ)の部位へ抗生 物質入りの外用剤を局所的に使用します。その後で、ご自身が普段からお使いの化粧水、乳液、クリーム、メークアップ化粧品を上乗せしてゆきます。
参照:マイルドピーリングローションの使用方法
Q2.ニキビ治療で、ダラシンTゲル?を処方される時とダラシンローションが処方される場合がありますが、どのように使い分けるのですか?
A2.ローションの方が患部への薬剤浸透性がよいのですが、逆に基剤のエタノールによって刺激を感じる方がおられます。その場合にはゲルあるいはアクアチムクリーム?などを使用します。
Q3.ニキビ治療で、抗生剤(ミノマイシン?、クラリス?など)を内服する際に赤ニキビが少なくなった後では、自己調節をするように指導されますが、具体的にはどのように内服すればよいのでしょうか?
A3. ニキビ自体が、コントロールする疾患です。時にニキビができるのは仕方がない(特に思春期など)ことだと考えています。その際に症状が軽くすんで、ニキビ 痕(瘢痕:でこぼこ,シミ:色素沈着 など)を最小限に抑えることができればよいのではないでしょうか?そして痕を残すようなニキビはひどい炎症性ニキビ です。そのようなニキビの出き始めには先ず皆さんが誰よりも最初に予兆(ひどくなる予感:痛み、張った感じなどの違和感)を感じますから、その予兆を感じ た時に早めに抗生剤の内服を始めてもらい、痛みなどの自覚症状がなくなれば中止してもらっています。アクネ菌などは皮膚の常在菌ですから、どんなに続けて 内服しても決していなくなることはありません(細菌の数を元の数くらいまで減らす、あるいは炎症を軽くするのが抗生剤投与の主目的です)。またブドウ球菌 などの細菌もニキビの発生に関連しますし、むやみに連用すれば薬剤耐性菌をつくることになってしまいます。
参照:ニキビ:ざ瘡(Acne)
Q4.ニキビ治療の一環として、時にメサルモン-F?を内服することがありますが、どうしてですか?また、どのような飲み方をすればよいのでしょうか?
A4. メサルモン-F?は男女性ホルモンとその前駆物質、甲状腺末からなる薬剤で、卵巣機能減衰・欠落、更年期障害に適応を有している薬剤です。女性ホルモンは 脂質代謝にも多くの役割を担っていますので、女性の方で生理前にニキビが悪くなる方に皮脂分泌抑制を目的に投与されることがあります。月経周期の変化など をきたす場合がありますので、主に生理前2週間で内服することが多いようです。
Q5.ニキビ予防で、洗顔方法など日常生活での注意点はどのようなことですか?
A5. ストレスによっても男性ホルモンの分泌が高まり、結果として皮脂分泌増加につながりますし、紫外線を浴びることによって皮脂分泌が高まるばかりか皮膚の ターンオーバーの乱れにもつながります。よごれやメークをしっかり落とすためにもクレンジングと石鹸によるダブル洗顔を行いましょう。そしてその後には化 粧水などにて十分な保湿を行います。また、食べ物に関してはナッツ類やチョコレートなどがニキビの増悪因子として一般には知られていますが、未だ医学的に は証明されていないようです。但し、ご自身でニキビの増悪を実感されるようでしたら、控えましょう。
参照:ニキビ:ざ瘡(Acne)
【多汗症】
Q1.汗止めの塗り薬(制汗剤)にパウダーと液がありますが、どのように使いわけるのですか?また、主成分の塩化アルミニウムの作用について教えてください。
A1. 塩化アルミニウムは、皮膚の成分と一塊になって結晶を作り、汗の出口を塞ぐのが主な作用と考えられています(長期使用による汗腺組織の萎縮も報告はされて います)。そのため、1日の中でも交感神経が落ち着いて少しでも発汗の少ない夜に濃度の高い液剤(20%濃度が基本で、基剤には水とエタノールの2種類を 用意しています)を使用していただきます。発汗の減少が実感できれば、使用頻度を数日に1回などと減らしてゆき、最小限度で維持することを目的としていま す。一方、パウダーにはごく低濃度の塩化アルミニウムが含まれているため、症状の軽い方はこれだけでコントロールされますし、朝使用することによって、タ ルクが発汗した水分を吸着してくれます。また、わきが(腋臭症)の方の臭いを少しでもカモフラージュする目的でベルガモット(光線過敏を起こす成分を除去 したもの)を配合しています。
参照:制汗剤について、塩化アルミニウムの使用法
Q2. ボトックス?などのボツリヌス菌製剤による多汗症での効果はどれくらい持続しますか?また臭いにも有効なのでしょうか?
A2. 平均すると約ワンシーズンです。多くの方は発汗量が多く、薄着になり汗ジミが気になる夏の間をボトックスで対処し、自然と発汗量も低下する冬などには市販 品か医療機関から出される塩化アルミニウム溶液ですませているようです。中には、1年中ボトックス?の効果を持続させるべく、年に複数回(ほとんどは2 回)施術される方もおられます。また、ボツリヌス菌毒素製剤の基本はエクリン汗腺からの発汗を抑制し、その結果として腋窩で水分が少ないために細菌の繁殖 が妨げられて臭いが少しは軽減するものと考えます。腋窩の発汗量ではなくて、臭いの軽減を主目的に施術することはありません。あくまでも補助的効果との認 識しています。
参照:多汗症のボトックス治療、体臭とスキンケア、多汗症について
【アトピー性皮膚炎】
Q1.ステロイド外用剤の塗り方や使い分けはどのようにすればよいですか?全体に使用するのですか?それとも患部だけなのでしょうか?アトピー性皮膚炎の場合、よい部分とひどい部分などいろいろ混じっていますが...。
A1.
Q2.アトピー性皮膚炎の治療について、どのような基本方針でしょうか?
A2. 基本的にはいかに症状を最低限の薬剤でコントロールできるかということを柱にしています。症状には波があります。良いときもあれば、悪いときもあるだろう と思います。出来るだけよい状態を長く維持し、悪い時期を最小限にすることを考えます。症状や部位に応じてステロイド外用剤を使用し、よくなるに従って保 湿剤などのスキンケアを治療の中心に移行してゆきます。外用剤による治療が主軸であり、抗アレルギー剤などの内服は治療の補助であると考えています。内服 を併用してご自身でかゆみが軽くなるのを実感される方や、引っかき傷が少なくなるなどの目で見える効果が得られる方には処方しています。確かに背中の手が 届く範囲に一致して皮疹が悪くなっていて、背骨付近はきれいな皮膚をされている患者様もおられますので、引っ掻くという行為は悪くする因子だと思います し、ご自身で自覚されている方もおられます。引っ掻くという行為が続くと、皮膚が苔癬化(皮膚がゴワゴワになる)や痒疹(1個1個の皮疹が虫刺されの痕の ように固く盛り上がる)、夏には容易に「とびひ(伝染性膿痂疹)」を引き起こします。ご自身の皮疹の状態がどれくらいの強さのステロイド外用剤でコント ロールできるのか、ということを少しずつでも覚えていただいて、ご自身やご家族の方にもある程度の薬剤の選択が出来るように指導してゆきたいと考えていま す。いずれにせよ、医師だけではなく患者様との二人三脚でアトピー性皮膚炎がコントロールできればよいと思います。
Q3.ステロイド外用剤の使用についてどのような考えですか?また、副作用はどのようなものでしょうか?
A3. 状態に応じて、ステロイドは適切に使用すべきだと考えています。保湿剤や非ステロイド外用剤だけで患者さま全員がずっとコントロール出来るものだとは考え ていません。但し、使用にあたっては症状や部位に応じてすてロイド外用剤の強さを変更する、あるいは保湿剤単独のスキンケアへと移ってゆきます。未だにス テロイド外用剤についての誤解されていることも多いようです。例えば、ステロイド外用剤を使用すると皮膚が黒くなる、ステロイド外用剤を中止するとリバウ ンドが起きる、などです。しかし、副作用があるのも事実です。ステロイド外用剤を使用すると、皮膚の炎症を抑えるとともに塗った皮膚の抵抗力(免疫力)が 低下しますので、細菌、カビ、ウイルスが付着したり増加してニキビやヘルペスをひどくする場合があります。今までと違う症状がでた場合には早めにご相談下 さい。中止、あるいは適切な薬剤の使用によって短期間で治療できます。また、クスリの吸収がよい部位(顔面:毛包脂腺系が発達している,陰嚢やご老人の皮 膚:皮膚が薄い など)に長期間にわたって強いステロイド外用剤を使用すると小さな血管が浮き出たり、皮膚が薄くなってくることがあります。病変の部位を 選んで適切な強さで外用し、クスリを休む期間を設けたり、免疫抑制剤(プロトピック?)などを使用することによって、これらの症状を避けることが出来ま す。
参照:院内にパンフレットをご用意しています
Q4.いわゆる民間療法については、どう思いますか?
A4. 現時点で、西洋医学的見地からみて有効性が実証されていないからといって、その有用性を完全に否定すべきものではないと思います。但し、あまりにも改善が 見られない場合や、高額なものはいかがなものでしょうか?中には民間療法で改善される方もおられるのでしょうが、その割合はどの程度のものなのでしょう か?私は医学的治療を優先し、スキンケアやサプリメントなどの一環として補助的に使用するものだと考えています。スキンケア製品として考えた場合に、使っ てもらうためには使用感というのも重要な因子だと思いますので。
【円形脱毛症】
Q1.円形脱毛症の際に、グリチロン?やセファランチン?といった内服薬とともにフロジン?液やトプシムクリーム?(ステロイド)などが処方されますが、朝と夜の使い分けはどのように行われますか?
A1. 円形脱毛症は一種の自己免疫疾患(自分のリンパ球が毛を攻撃して脱毛する)と考えられており、それを抑えるためにステロイドやシクロスポリンなどの免疫抑 制剤が使用されます。また、よく男性の育毛剤の広告にみられるように血流促進(毛への血の流れをよくする)作用も重要と考えられているために、フロジン? 液(塩化プロニウム:副交感神経刺激薬で血管拡張作用を有する)が使用されます。当院では主に患者様の使用感の観点から、朝にはべとつかないフロジン? 液、夜にはステロイドクリームを使用してもらっています。ステロイドにも液剤がありますが、髪などへ付着するなど多量に不必要に使用されるきらいがあるた めに、クリームを基本としています。
【シミ(肝斑)】
Q1. シミ(肝斑)の患者さんにビタミンCとともにトランサミン?(トラネキサム酸:抗プラスミン薬で線用系が亢進した際の止血剤であるが、湿疹,蕁麻疹,薬 疹,扁桃炎などの際にもよく処方されます。これはプラスミンによるアラキドン酸の遊離やプロスタグランディン産生を抑制するといった抗炎症・抗アレルギー 作用を期待したものです。)が処方されますが、どのような効果があるのでしょうか?また、使用できないのはどのような疾患があるときですか?
A2. トラネキサム酸が肝斑に有効であることが報告されたのは1979年のことだそうです。その後、日本においては次第に広く皮膚科医の間では使用されていま す。本邦では自家製剤のハイドロキノン以外に有効な治療法が長らくなかったことも関係するのかも知れません。紫外線や妊娠、あるいは経口避妊薬の服用にて 皮膚局所のプラスミン活性が高まって、メラノサイトが刺激を受けてメラニン色素の産生が増加します。そこにトラネキサム酸の抗プラスミン作用でメラノサイ トを刺激する因子を抑えることによって効果を発揮するのではないかと考えられています。内服を開始して1~2ヶ月で効果が出始めることが多いようですが、 内服中止によって再燃してきます。また肝斑は紫外線によって悪化しますので、サンスクリーン剤を適切に使用することも重要です。ハイドロキノンやレチノイ ン酸の外用を併用することによって効果が高まることが知られています。最近では、日本の大手化粧品会社から医薬部外品(薬用化粧品)も販売されています。 高脂血症や心疾患などのために抗凝固療法を行っている方へは使用されません。その他、ビタミンCやビタミンEの内服も有効であることが知られています。
【レーザー脱毛】
Q1.エステの脱毛と医療機関での脱毛の違いは?
A1. 現在ではレーザー脱毛はエステでは行えません(医療行為にあたります)。エステで行われているのは「光」脱毛(フラッシュランプを使用した機器)です。出 力の問題もあり、不十分なことも多いようです。最近では医療機関での脱毛も広く普及しており、アフターケアのことを考えても医療機関での脱毛をお勧めしま す。
【ボトックス】
Q1.ボトックス?の小顔効果というのは、どのような作用によって出てくるのでしょうか?また、どのような人が適応になるのでしょうか?
A1. 歯を強く噛み締めた時に盛り上がるエラ(下顎角)部分の筋肉(咬筋)を痩せさせることによって効果を発揮します。ボツリヌス菌毒素製剤には神経終末からの アセチルコリンという物質が出されるのをブロックし、筋肉への指令が伝わらないために筋肉の動きが抑えられます。長い時間この状態が続くと、次第に筋肉は 動かさないことによる痩せ(廃用性萎縮と言います)を起こしてきます。注射すると数日後から1週間後くらいには噛み締めても咬筋が固く盛り上がりにくくな り、2~3ヵ月後から痩せを実感することが多く、その程度に応じて3ヶ月くらいの間隔で繰り返します。この注射によって物が噛めなくなることはありません が、多少固いものが噛みにくい、あるいは長く噛んでいると疲れやすいなどの症状を訴える方が時におられますが、数週間でなくなります。このように咬筋が発 達していることによってエラが張ったようにみえる方ほど効果的です。
Q2. ボトックス?によるシワ治療では、どのような部位が有効なのでしょうか?
A2. 筋肉の動きを抑えることによって効果を発揮しますので、筋肉の収縮によって出来る、いわゆる顔面表情ジワと呼ばれるシワの治療に使用されます。おもには額 の横ジワ、眉間の縦ジワ、目じりのカラスの足跡などです。その他に、下顎のオトガイ筋の緊張によって梅干のような凸凹なども適応になります。
参照:シワ・各種治療法について
Q3. ボトックス?というのはボツリヌス菌毒素だと聞きましたが、副作用が心配です。どのような副作用や合併症があるのでしょうか?
A3. ごく微量の毒素の局所注射ですので身体には無害です。ボツリヌス毒素の人体に対する致死量は筋肉注射の場合,3000~30000単位とされており,この 治療法での使用量は額や眉間で各20単位位ですので、心配は不要とされています。施術後に一過性(数日間)の軽い頭痛を訴える方がおられますが、ほとんど の合併症は針を刺すという行為に伴う軽い内出血など局所も問題です。