東京・代官山のメインストリートを入ると、今年でオープンしてから28年目を迎える、手ぬぐい専門店「かまわぬ」代官山店が現れます。
常時250種類の手ぬぐいが並ぶ店内は、見渡す限り色とりどりの手ぬぐいが並んでいます。値段も一枚1,000円前後とお手頃。一枚、また一枚と気に入った柄を手に取っては広げたくなります。
今こそ手ぬぐいの良さをもう一度見直し、使ってほしいという「かまわぬ」。手ぬぐいの使い方や「かまわぬ」のお店のこだわりを、Web企画を務める秋葉美保さんに伺いました。
「かまわぬ」ができるまで
「かまわぬ」の手ぬぐいは、昔ながらの注染(ちゅうせん)という染め方で染めています。型自体も手彫りのもので、ひとつの型でも染め方や使う色によって、いろいろな染めを表現することができます。
型紙は、柿渋を塗り固め燻(いぶ)した「渋紙」を用います。図案を写した渋紙を職人が小刀で手彫りをし、薄いメッシュのような絹糸でできた「紗(しゃ)」を張り、漆を塗って貼り合わせて型紙が完成します。渋紙は大変丈夫で水に強く、長く使い続けることができます。
黒く塗られた部分が漆で、ザラザラしている網目素材は紗。猫は一匹ずつ手彫り
「この猫の柄は、2回に分けて染めていますが、輪郭に合わせて染めるのが難いんです。プリントと違い、どうしても少しずつずれて色味が重なってしまうのですが、それが手づくりの証でもあります」
創業当時は、古くから使われている型紙を使って染めていたのだといいます。
タオルの登場により手ぬぐい離れが起こり「なんとかして手ぬぐいの良さを伝えたい」と、古典柄に加えて「かまわぬ」オリジナルのカジュアルな柄やデザインを増やしていきました。今では、毎年新しいデザインのものがいくつも発売されています。
一枚で何通りも使いみちがあるのが手ぬぐい
今では、手ぬぐいはハンカチの代わりとして使うのがイメージしやすいかもしれません。けれど、もともと手ぬぐいは、多目的な用途で使われていました。
頭に巻いたり、モノの下に敷いたり、水分を拭いたり、蒸し料理を使うときの布巾として使ったり、最終的には雑巾にしたり、割いて紐として使ったり……。昔は、工夫を凝らして一枚の布を使いこなしていたのです。
「猫三昧」二型の技法で染めたもの。色の重なりが味わい深い
秋葉さんに、タオルではなく手ぬぐいを使いたい理由をうかがうと、ポイントは4つあると教えていただきました。
- かさ張らないので、持ち歩きに便利。鞄から見えても、恥ずかしくない
- 繊維がしっかり織り込んであり、やわらかく毛羽立たないので、洗顔用や食器拭きに適している
- 価格帯は1,000円前後。季節ごとに模様を変えて、四季の移り変わりを感じられる
- 高温多湿の日本によく合う。縫製していない分、水や埃もたまらず、すぐに乾く
また、手ぬぐいは使うごとに吸水性が高まると同時に色はほんのり薄くなり、生地はふっくらとやわらかくなります。
「使えば使うほど、自分のものになり愛着が湧いてくるので、日常使いしていただきたいですね」と話す秋葉さんの手ぬぐいを見せてもらうと、真新しいものに比べて、とても柔らかい感触でした。
「何もお構いできませんが気軽にどうぞ」
店頭に並ぶ手ぬぐい全体の、色柄のバランスを鑑みつつ、季節感も楽しめ、加えて伝統柄から新作までこだわり抜いた手ぬぐいたちは、普段使いできることを重視しているそうです。
たくさんの雑貨や布製品が出回る今だからこそ、昔から日本人が使い続けてきた手ぬぐいの良さを広めるべく、オリジナル柄を開発したり、他の会社の商品とコラボレーションしたり、新しい手ぬぐいを追求し続ける「かまわぬ」。
店名の由来は、「なにもお構いできませんが、どうぞお気軽にお立ち寄りくださいませ」という姿勢から来ているといいますが、謙虚さの中に手ぬぐいへの愛を感じられるお店です。
店名の由来は、「なにもお構いできませんが、どうぞお気軽にお立ち寄りくださいませ」という姿勢から来ているといいますが、謙虚さの中に手ぬぐいへの愛を感じられるお店です。
次回、250種類の手ぬぐいから、季節やシーンに合わせた一押し手ぬぐいを紹介していきます。
お店のこと
- 店名:かまわぬ代官山店
- 住所:東京都渋谷区猿楽町23-1
- 電話番号:03-3780-0182
- 定休日:年末年始
- アクセス:東急東横線「代官山駅」北口より徒歩3分
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中條美咲
昭和64年1月3日 長野県生まれ。2014年 暮らしの中で出会ったものや人、そこから感じたことを文章で伝えていきたいと思い「紡ぎ、継ぐ」というブログを始める。” 見えないものをみつめてみよう。” ということをテーマに、書くことを通じて多くの出会いに触れながら、感じる力を育てていきたい。現在は「灯台もと暮らし」と「PARISmag」にてライターとして活動中。
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