生物基礎

Eテレ 毎週 火曜日 午後2:40〜3:00
※この番組は、昨年度の再放送です。

今回の学習

第4回

代謝を進める酵素

  • 生物監修:東京都立武蔵高等学校教諭 山藤旅聞
学習ポイント

1.食べたものは どうなるのか  2.化学反応を進める酵素  3.酵素の性質

    今日のテーマは、「代謝を進める酵素」
    そして、キーワードは「どんな酵素が どんなはたらき?」です。

    「代謝」とは、生物の体の中で行われる化学反応のこと、
    そして、その化学反応を進めるはたらきをしているのが「酵素」です。

    どんな酵素が、どのように代謝を進めているのでしょうか?

    ポイント1 食べたものは どうなるのか

      食べたものは、口の中で細かく砕かれ、胃で分解され、腸でも分解され吸収されます。
      この一連のはたらきを、「消化」といいます。
      この消化を進める酵素が、「消化酵素」です。

      いくつかの例を挙げると
      口の中のだ液に含まれているアミラーゼという酵素は、デンプンを分解するはたらきをしています。
      胃液に含まれるペプシンという酵素は、タンパク質を分解します。
      すい臓から出てくるすい液には、リパーゼという酵素が含まれていて、小腸で脂肪を分解します。

        消化酵素ペプシンのはたらきを、実験で見てみましょう。

        2つのビーカーのお湯の温度は、およそ40℃。体温と同じくらいです。
        ここに少量の塩酸を入れて胃と同じように、酸性にします。
        消化酵素・ペプシンを、片方のビーカーにだけに加えます。
        それぞれに魚の切り身を入れ、温度を体温程度に調節しながらようすを見ると・・・

        1時間後、ペプシンを加えた方は、ほとんど魚の身が分解されました。
        魚のタンパク質が、ペプシンによって分解されたのです。

        ポイント2 化学反応を進める酵素

          生物の化学反応は、細胞の中でも行われています。

          細胞小器官の「ミトコンドリア」の中には、呼吸に関係する酵素がたくさんあります。
          また、細胞の「核」の中には、DNAなどをつくることに関係する酵素があります。
          植物細胞の「葉緑体」には、光合成に関係する酵素があります。

          このように、生物の体の中には多くの種類の酵素があり、様々な化学反応を進めて生命活動を支えています。

            酵素は、生物の体内で「触媒」としてはたらき、化学反応を進めています。
            触媒とは、自分自身は変化しないで、他の物質の化学反応を進めるはたらきをする物質のことです。

            酵素が触媒としてはたらいていることを実験で確かめてみましょう。

            カタラーゼという酵素が含まれているブタのレバーを過酸化水素水に入れます。
            激しく反応して酸素の気体が発生します。
            酸素の発生が終わったところでレバーを取りだします。液の中にはレバーから出たカタラーゼが残っています。
            そこに、過酸化水素水を追加するとまた、激しく酸素が発生します。
            更に酸化水素水を追加すると、また酸素が発生します。

            カタラーゼは、自分自身は変化しないで、触媒としてはたらき、化学反応を進めていたのです。

              マルとマルタの実験コーナー 

              光を出すときは、物を燃やしたり、電流を流したりして温度を高くしなければなりません。
              しかし、酵素を利用すると普通の温度でも明るい光を出すことができます。

              ルシフェラーゼという酵素とルシフェリンという物質を混ぜると光が出ます。
              しかし、温度は上がっていません。
              ルシフェラーゼが触媒としてはたらき、光が出たのです。

              ホタルが光るのも、この、ルシフェラーゼとルシフェリンの反応です。

              ポイント3 酵素の性質

                酵素には、いままで見てきた性質の他に、もう1つ大切な性質があります。
                それは、相手を選ぶ「基質特異性」です。

                パイナップルには、タンパク質を分解する酵素が含まれています。
                パイナップルを、ゼラチン(タンパク質)と寒天(炭水化物)の上にそれぞれ乗せると、タンパク質のゼラチンは溶けていきますが、炭水化物の寒天は溶けません。
                このように、酵素は特定の相手にしか触媒作用を示しません。
                これが、「基質特異性」です。
                「基質」とは、酵素の相手の物質のことです。

                この酵素特異性によって、必要なところで、必要な反応が行われるのです。

                  今日の生物案内人は、東京都立武蔵高等学校の山藤旅聞先生です。

                  ● 酵素には基質特異性があるということですが、どうやって基質を見分けているのですか?

                  酵素は、基質の分子の形や大きさで、相手を見分けているのです。

                  模型で説明しましょう。
                  青いのが酵素、丸い穴が空いています。
                  ここに、四角い物質がやってきてもはまりません。
                  しかし、サイズが同じ丸いは物質はピッタリはまります。

                  酵素は、このように、形や大きさで基質を見分けているのです。

                    もう少し実際の分子の形に近いCGで見てみましょう。

                    左の図は、アミラーゼというデンプンを分解する酵素です。
                    赤いのがアミラーゼの基質、つまりデンプンの分子です。
                    デンプンがアミラーゼの分子のすき間にピッタリ入り込んでいるのがわかります。

                    真ん中の図は、先ほど実験で見た、ホタルが光るときにはたらく酵素=ルシフェラーゼです。
                    表からは見えませんが、中を見ると、右の図の右のように、やはり、基質のルシフェリンはピッタリはまりこんでいます。

                    酵素は、分子の形がピッタリはまることで、基質を見分けているのです。

                      これだけは覚えておいてほしい「実になる一言」

                      今日の一言は、「○○○ーゼ(なんとかーゼ)」

                      酵素には、ペプシンのように、「なんとかーゼ」ではない酵素もありますが、逆に、「なんとかーゼ」という名前の物質は、すべて酵素と考えられます。
                      例えば、アミラーゼ、ルシフェラーゼ、カタラーゼ、マルターゼなどです。