前編では、キシリトールなど健康食品ブームの仕掛け人であるインテグレート代表取締役CEOの藤田康人氏に、日経ヘルス プロデューサーの西沢邦浩が、これまでのヒットの流れと藤田氏が考えるこれからのヒットの条件について聞いた。後編では、機能性表示食品がスタートし、大きく変化しそうな健康食品業界の将来をまとめた。
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企業責任が問われる機能性表示制度の注意点
1964年、東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。味の素に入社し、低カロリー甘味料アスパルテームの開発・営業を担当。92年、ザイロフィンファーイースト(現ダニスコジャパン)設立。97年、虫歯予防効果のある甘味料キシリトールを輸入し、大ブームを起こす。05年、日本PRアワード・グランプリ受賞。07年、インテグレートを設立。著書に『99.9%成功するしかけ』(かんき出版)など
西沢邦浩(以下、西沢): いよいよ2015年6月から「機能性表示食品」が登場し、話題になっています。この制度が生まれた背景の一つには、もっと病気予防に力を入れて年間40兆円にもおよぶ医療費を削減しなくてはいけないという、のっぴきならない状況があります。また、これまでもトクホ(特定保健用食品)制度はあったけれど科学的根拠を得る臨床試験などを行い国の許可を受けるのに何億もの費用が必要で、開発費にそれほどの金額を投じることが難しい中小企業には敷居が高くて使えないという事情もありました。
藤田さんはこの制度をどう見ていますか。
藤田康人氏(以下、藤田): とても大きな一歩だと思います。今の日本の医療財源を見ても、これからは消費者みずからの手で健康を守ってもらわなくてはいけないですから。だけどこれから効能データを取得しようとする企業には、やはりある程度のハードルがありますね……。
西沢: そうですね。安全性の評価にしても食経験がない食品や成分の場合、結局はトクホ並みの試験をやらなくてはいけない。また、今回の制度を利用して販売される商品は、「クレームが来てもすべて企業の責任です」と言っているわけですからね。
藤田: 特に今はインターネットの時代で、誰もが発言できる環境になっています。安全性、有用性に対してさまざまな意見が出てきたとき、企業側は非常にリスクが高い。トクホのように国が守ってくれないわけですから。
西沢: そうですよね。「あそこはアコギな販売方法をしている」とか「対応が悪い」とか、1人の消費者がカチンと来たとして、その人のリテラシーが高ければ、その会社が機能性表示の根拠にしている論文を徹底的に読み込んで問題点をネットに公表するということが、個人でもできてしまう時代です。
藤田: サイエンスには正解がない。日々くつがえっていくわけです。そんな中、今までの医薬品やトクホは、国がある時点で「これでよし」とディシジョン(決定)していた。だけど今回の制度はそういうディシジョンをしてくれない。例えば、A、B、Cという見解があったと仮定すると、それぞれに根拠があって、それを公の場で公表するための必要条件を満たせば披露できる、という制度だといえるかもしれません。
こう考えると、企業と消費者の2者間だけで、機能性表示食品に関してスムーズなコミュニケーションを成立させるのは難しいのではないかと思います。だから大学の研究者やメディアの人など、専門家をうまく巻き込んでいく必要がある。こうした役割を担い、商品が売れていくことのお手伝いをする。それが我々の役目かなと思っています。
西沢: この制度の中で、ズバリ、ヒットを生むためのポイントは何だと思いますか?
藤田: トクホでは言えなかった「目」「肌」「膝」など体の部位に対する作用が言えるようになるというのが大きなポイントです。この利点を上手に伝えることは大切ですよね。
西沢: 体の部位、臓器に関して「病気を防ぐ」とは言えないけど、「健康な状態を維持する」とは言えるようになった。それから、主観的な評価でもいいんですよね。「疲れが取れた」というような機能性でも、しっかりした研究で評価した結果があれば表示して構わない。
藤田: 今はまだ様子見で、トクホで使われる成分をベースにトクホと同じような機能性を表示している商品が多いように思います。でも、トクホで言えなかったところにチャレンジしていくチャンスがある。あとは流通がどんな売場を作っていくのかも楽しみです。
「機能性表示食品制度」の可能性と留意点
本セミナーは、新制度を大きなビジネスチャンスにつなげるマーケティング戦略立案の貴重なヒントが得られる機会になることでしょう。機能性食品市場のローンチと発展を担う食品メーカー、素材メーカーのマーケティング担当者・研究開発担当者・広告宣伝担当者や、 流通関係者の皆様の参加をお待ちいたします。
詳しくは、こちらをご覧ください。