男性更年期障害 DHEA(医療用ホルモン補充剤)
DHEAとは
DHEAとはDehydroepiandrosterone(デヒドロエピアンドロステロン)の略称です。主に副腎皮質や生殖腺で産生されるテストステロンやエストロゲンの前駆物質で、いわば「ホルモンの原料」です。
DHEAは思春期になるとその分泌量が急激に高まって20代後半で分泌量はピークを迎えます。しかし40代になるとDHEAの分泌量が50%、60代になると30%にまで減少し、80代になるころにはほとんど分泌されなくなってしまいます。
DHEAが減少すると意欲の低下や精力減退、免疫力の低下、筋力の衰えや代謝の低下による肥満といった症状が出やすくなってしまいます。DHEAを補うことでこれらの症状改善が期待できます。DHEAは性ホルモンに関係しているため、不妊治療にも用いられています。
またDHEAの減少は人間の老化に関係しているともいわれています。海外では「若返りホルモン」などと呼ばれ、FDA(米国食品医薬品局)も更年期障害に対してDHEAの服用を勧めたため、アメリカでは一大ブームとなりました。
現在でも数多くの方が服用していますが、大きな副作用の報告もなく安全性の高いものとなっています。女性の不妊治療にも用いられており、妊婦や授乳中でなければ女性が服用しても問題ありません。
DHEAの効能・効果
ED症状の改善
DHEAの服用はED(勃起不全)の改善に有効であったとされています。24週間の摂取で勃起機能や性欲、性行為の満足感が改善したという米国での報告があり、ED治療薬であるバイアグラ(シルデナフィル)・レビトラ(バルデナフィル)・シアリス(タダラフィル)と併用することで高い相乗効果が期待できます。米国ではDHEAを長期服用している方の多くがEDなどの性的機能の維持や回復を目的としていることがわかっています。
DHEAには精子の形成を促す作用もあるため、精液の原料である亜鉛と併用することで性欲を高めることができますし、亜鉛に加えてビタミンBも同時に摂取するとテストステロン値を維持する作用が強まります。
更年期障害に伴う意欲低下やうつ症状の改善
女性の更年期障害は有名ですが、男性にも更年期障害が起こります。男性更年期障害は加齢性腺機能低下症、別名LOH症候群 (late-onset hypogonadism)と呼ばれ近年注目を集めています。
男性ホルモンのテストステロンは精子形成や性欲を司ったり、筋肉や骨格の形成など男性の特徴を表すような働きをしています。加齢によりテストステロンが減少すると性欲が落ちて朝立ちの回数が減少し、ED(勃起不全)や早漏・遅漏といった症状が目立つようになり性的な機能が低下します。またストレスなどによりコルチゾールが過剰に分泌されると、精神的症状として意欲の減退、うつ症状や不眠といった症状が現れます。体力的には筋力の衰えや体のだるさ、ほてりといった諸症状が起こります。
DHEAはテストステロンなどの性ホルモンを増加させコルチゾールを抑制することで、男性更年期障害のほてりや意欲減退やうつ症状などの精神症状に対して効果を発揮します。また補中益気湯などの漢方製剤も血清テストステロン値を上昇させコルチゾールを低下させるため、男性更年期障害(LOH症候群)には有効との報告がありますので、DHEAと漢方製剤の併用は効果的です。
不妊治療に対する効果
加齢により性ホルモンのバランスが崩れると、精子や卵子の老化を招いたり精子や卵子が十分に成長しなかったりすることがわかっています。
DHEAにはテストステロンやエストロゲンといった性ホルモンの分泌を促す作用があるため、精巣や卵巣の機能を回復させる効果が期待できます。DHEA服用により精子や卵子を若返らせ、成長を促すことで不妊治療に有効である可能性があります。
ただし不妊の原因が性ホルモンのバランスの乱れではない場合にはDHEAを服用しても効果がありません。
基礎代謝の改善
DHEAには、脂肪を分解し筋肉量を増やすことで基礎代謝を上げる作用があります。これはコルチゾールの働きを弱めることで生じる作用です。基礎代謝が上がることで、ダイエット効果が期待できます。
DHEAの飲み方・服用方法
1日1錠(25mg)を朝食後に服用してください。40歳以上の方はDHEAの分泌量が低下している場合が多く、特にDHEAの効果が期待できます。
DHEAの副作用・その他注意点
副作用として報告されているものは倦怠感、脂性肌、不眠、興奮などですが、これらの副作用が生じる確率は100~300分の1程度ですので過剰な心配は不要です。特に不眠の副作用は朝に服用することで防ぐことが可能です。
DHEAを夜に摂取した場合、副腎皮質の活動性を高めて不眠を起こすことがありますので注意が必要です。
小児や妊婦、授乳中の女性は服用できません。
DHEAの服用が他のホルモンの分泌に影響を及ぼす、といったことはありませんのでご安心ください。
IOC(国際オリンピック委員会)はDHEAを筋肉増強剤としてドーピング薬物に指定しています。スポーツ選手が服用する場合には注意が必要です。
DHEA摂取とがんのリスクについて
ホルモン注射は前立腺がんや乳がんなどのホルモン感受性のがんのリスクを高める危険性があるため、DHEAの摂取でもホルモン注射と同様にこれらのがんのリスクが高まる可能性が一部で指摘されていますが、大規模な調査においてもDHEA摂取によりホルモン感受性のがんの発生率が高まったという報告はございません。また、栄養学の専門家の多くもDHEA摂取によるがんのリスク増加について否定的です。
DHEAはホルモンそのものではなくホルモンの前駆物質、いわばホルモンの原料ですので、ホルモン注射のように無理やり体外からホルモンを補充するものではありません。体内で分泌するホルモンと体外から取り入れるホルモンとでは危険性がまったく異なりますので、過剰な心配は不要です。