痛みや、かゆみなどを伴う「ものもらい」。原因によって症状や治療の方法が変わってきます。通常、自然治癒していくものですが、どのようにすれば早く自然治癒していくのでしょうか。原因、症状、治療法などを解説しつつ、うつるのかなどの疑問点も解消していきます。

    更新日:2017年06月17日

    ものもらいとは

    目の周辺に痒みや違和感があって鏡を見てみたら、まぶたが赤く腫れて、目のふちにイボのようなものができていた・・。

    このような経験は、誰にでも一度くらいはあるのではないかと思います。

    これは、いわゆる〝ものもらい〟と言われる症状ですが、そもそもその〝ものもらい〟って何?と思う方もいらっしゃるかも知れません。

    ものもらいというのは、主に関東で使われている言い方で、各地方によって呼び方が異なるのです。

    例えば、次のようになります。

    • 関西では「めばちこ」
    • 京都では「めいぼ」
    • 北海道では「めっぱ」
    • 宮城では「ばか」
    • 熊本では「おひめさん」
    • 沖縄では「おともだち」

    ちょっと変わった呼び方もありますね。

    ちなみに、ものもらいという呼び方は、その昔、目の周辺が腫れたりできものが出来た時に、他人から物をもらうとその病気が治るという迷信から来ていると言われています。

    勿論、これらはあくまでもその地方における呼び方の違いであり、正式な医学名ではありません。

    私達が通常、ものもらいと呼んでいるものは、「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」と「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」という、2種類の目の疾患を総称したもので、その中でも特に発症が多いのが麦粒腫となっています。

    そのため、「ものもらい」といえば一般的に麦粒腫と認識されています。

    ただし、麦粒腫と霰粒腫は発症原因や症状、治療法が異なりますので、ものもらいの症状が現れた時に、それが全て麦粒腫だと思い込んでしまうことがないように注意する必要があります。


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    種類

    ものもらいには、麦粒腫と霰粒腫の2種類がありますが、さらに麦粒腫はそのできる場所によって、2つに分けられます。

    1. 麦粒腫(ばくりゅうしゅ)
      • まぶたの外側に出来る「外麦粒腫(がいばくりゅうしゅ)」
      • まぶたの内側に出来る「内麦粒腫(ないばくりゅうしゅ)」
    2. 霰粒腫(さんりゅうしゅ)

    多くの場合は麦粒腫で、そのうちの「外麦粒腫」が最も多いと言われています。

    霰粒腫にもいくつか種類がありますが、ここでは一般的な「ものもらい」である麦粒腫の説明をしていきますので、霰粒腫は細かく分類しないこととします。

    原因

    麦粒腫と霰粒腫に分けて、原因を詳しくご紹介していきます。

    麦粒腫の原因

    麦粒腫は、まぶたにある皮脂や汗の分泌腺、毛穴に細菌が感染することによって発症します。

    原因となる細菌の多くは黄色ブドウ球菌ですが、黄色ブドウ球菌自体は特に珍しい細菌と言うわけではなく、私達の皮膚や髪、鼻の穴や喉などの粘膜などにいる常在菌です。

    しかし、次のような場合に発症しやすいと言われています。

    • まぶたを擦る癖がある
    • 前髪が目に掛かっている
    • 手入れの悪いコンタクトレンズを着用している
    • 濃いアイメイクを入れたり、まぶたのキワにまでメイクをしている
    • 汗をかいたまま放置している

    麦粒腫は、お酒やアルコールなどの刺激物を大量に摂取した時や、風邪を引いた際や、季節の変わり目などで体の抵抗力が弱っている時、ストレスや疲労によって免疫力が下がっている時など、体の調子が下がっている時ほど細菌の感染や増殖が活発になって発症しやすくなると言われています。

    霰粒腫の原因

    霰粒腫は、まぶたの生え際にある「マイボーム腺」という皮脂を分泌する部分が何らかの原因で詰まることで発症します。

    麦粒腫のように、細菌の感染が原因ではないため、通常は炎症などは起こらないと言われていますが、マイボーム腺が詰まる際に細菌が入り込んでしまうと、中で増殖して麦粒腫と同様に炎症を起こすことがあります。

    これは、化膿性霰粒腫と呼ばれるものですが、霰粒腫と比べて症状が強く出るのが特徴なものの、霰粒腫と化膿性霰粒腫を見た目だけで判断するのは難しい場合もあります。

    症状

    麦粒腫の症状

    麦粒腫を発症すると、最初はまぶたの痒みや違和感で気付くことが多く、やがて痛みを感じるようになります。

    そして、次のような症状が現れてきます。

    • まばたきをすると異物感がある
    • まぶたが赤くなる
    • 腫れる
    • 目が充血する
    • 目がゴロゴロする
    • 目やにが出る
    • 光が眩しく感じる

    また、炎症が強くなると、目の近くにある耳のリンパ節が腫れたり、頭痛を伴ったりすることもあります。

    なお、まぶたの外側にできる外麦粒腫と比べて、内側にできる内麦粒腫の方が症状が強く出る傾向にあり、炎症が悪化すると発熱などを伴うケースもあります。

    霰粒腫の症状

    霰粒腫は、麦粒腫のように細菌による感染が原因ではなく、皮脂の詰まりが原因のため、痒みや痛みといった症状は出ませんが、皮脂が溜まって膨らんでくると白っぽいイボのようになり、触るとコリコリとしてはっきりとわかるようになります。

    ただし、霰粒腫でも、細菌が入り込んでしまった場合は麦粒腫と同様に炎症や化膿が起こることもあり、そうなると麦粒腫との区別がつきづらいこともあります。

    癌の可能性も?

    高齢者で、ものもらいと思われる症状が現れた場合は、自己判断で「ものもらい」だと決め付けてしまうことは危険です。

    特に、炎症などが起こらずにイボだけが大きくなるケースでは、霰粒腫とよく似た症状が現れる癌の可能性もあるため、早めに病院で診てもらうようにしましょう。

    ものもらいは感染しない!

    ものもらいは、その名前からして人に移すもの、というイメージを持っている方も少なくないのではないでしょうか。

    結論から申し上げると、ものもらいは人には移りません。

    麦粒腫の場合、発症の原因の多くは黄色ブドウ球菌と言われており、黄色ブドウ球菌は人の体に常在する菌だということは上記でご紹介した通りです。

    元々、自分も持っている菌のため、例え人からもらったとしても、体調不良などで体が弱っていなければ、ものもらいを発症することはまずありません。

    霰粒腫の場合は、元が細菌による感染が原因ではないため、最初から人に移りようがないと言えるでしょう。

    麦粒腫の治し方や治療期間

    麦粒腫は、特に治療をしなくても、発症から10~14日程度で自然治癒すると言われています。

    まぶたに細菌が感染して炎症が起こるとそこに膿が溜まりますが、皮膚が破れて膿が排出されれば、そのまま完治してしまうことが多いのです。

    しかし、炎症や化膿があるとつらいですし、見た目も気になるため、少しでも早く治したい場合は、きちんと病院へ掛かるのがよいでしょう。

    病院での治療

    麦粒腫の病院での治療は、症状の度合いによって異なります。

    軽度であれば、抗菌の点眼薬や軟膏が処方されることが多いでしょう。

    炎症がひどい場合は、抗生物質や抗炎症薬の服用することもありますが、このようなケースでも、治療によって一週間程度で完治すると言われています。

    なお、これらの治療を用いても症状が治まらない時は、切開手術を行いますが、麦粒腫において手術が行われることは稀と言われています。

    自然治癒するための方法

    また、麦粒腫を自然治癒で治す場合には、毎日の生活習慣を見直すことで完治への時間を早めることができます。

    では、具体的にどのようなことに気を付けるのがよいのでしょうか。

    ①清潔を心掛ける

    麦粒腫がある目に、指などで直接触れないことは勿論ですが、タオルで擦ったり、前髪が目に掛かった状態にしておくのは避けましょう。

    また、コンタクトレンズ自体が直接、麦粒腫の原因にはなりませんが、衛生状態が行き届いていないものを使うと、治療の妨げになるだけはなく、症状を悪化させることにもなります。

    そのため、麦粒腫がある時は、コンタクトレンズを止めて眼鏡で代用するとよいでしょう。

    同様にアイメイクも控えるようにし、目の周りは薄化粧を心掛けて下さい。

    ②食事に気を付ける

    麦粒腫は、体の抵抗力や免疫力が落ちている時に発症しやすいことから、食事にも十分気を配ることが大切です。

    特に、刺激物やアルコール、食品添加物を使った加工食品などは避けるようにし、目の粘膜を保護するビタミンAや免疫力を高めてくれるビタミンCやEなどを意識して摂るようにしましょう。

    ③ストレスを発散する

    ストレスは、緊張やプレッシャーといった心理的なものだけではなく、紫外線や気温差などの環境によるものも含まれます。

    そのため、麦粒腫がある時は疲労を溜めないように注意しながら、気分のリフレッシュをするようにしましょう。

    霰粒腫の治し方、治療期間

    霰粒腫の中でも、細菌感染によって炎症が起こる化膿性霰粒腫であれば、治療は麦粒腫と同様に行われます。

    炎症などがない時は、抗生物質・抗炎症剤の目薬、温湿布などを使用したり、そのまま様子をみることが一般的です。

    皮脂が詰まってイボ状になっているだけなので、破裂をすることによってそのまま皮膚に吸収されます。

    通常、霰粒腫は2~8週間程度で消失すると言われていますが、痛みがないからといって長い期間放っておくと、皮脂が固まってしこりになってしまい、吸収されなくなってしまいます。

    霰粒腫ができて、2ヶ月近く経過してもなくならない時は、病院へ行って治療を受けた方がよいでしょう。

    手術することも

    しこりが大きくなり過ぎたり、角膜などを圧迫して視力に影響が出たりする場合には手術を行うことがあります。

    霰粒腫の手術は、まぶたの裏側ないし表面、もしくは両方から切開してしこりを取り出します。

    まぶたの表面を切開すると聞くと、「人の目に付きやすい場所なのに、傷痕が残るのは・・」と思うかも知れませんが、二重まぶたのラインやシワに沿ってメスを入れるため、傷痕はわからなくなるように行います。

    手術の時間は、しこりの大きさによって異なりますが、通常は15~30分程度で終了します。

    また、手術ではなくしこりにケナコルトというステロイド注射を打つ治療法を行っている病院もあります。

    注射を打つことでしこりを小さくして目立たなくすることができますが、ステロイドを使うため副作用はゼロではないと言えることや、注射針がまぶたを貫通して目に刺さってしまうことも考えられることから、選択する場合は医師の技術力なども含めて十分な注意が必要です。

    なお、霰粒腫は脂肪の塊のため、温めたりマッサージをすることで血行を促すと、皮脂の詰まりが解消されてしこりが吸収されやすくなることがありますが、化膿性霰粒腫の場合は炎症を起こしているため、同様の方法を行うと返って症状が悪化することがあります。


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    市販薬の選び方

    ものもらいの中でも、細菌感染が原因の麦粒腫の場合は、病院へ行かずとも市販薬で症状が改善、完治するケースもあります。

    では、麦粒腫に効果のある市販薬は、どのような基準で選ぶのがよいのでしょう。

    ①ものもらい用の目薬を選びましょう。

    目薬は多くの種類が販売されており、症状によって選ぶ目薬が違います。

    そのため、いくら麦粒腫にドライアイ用の目薬をさしても効果はありません。

    目薬のパッケージに「ものもらい用」と書かれているものを選べば間違いはないですが、もし書かれていない場合は抗菌作用のあるものや抗炎症作用かゆみを抑えるなどの効果が期待できるものを選ぶようにしましょう。

    ②使い切りの目薬を選びましょう。

    ものもらいは、頻繁になってしまう方もいますが、多くの場合はその時一回限りです。

    せっかく目薬を買うのだから、次にまたものもらいになった時にも使えるように・・と長期保存が効くものを選びたくなりますが、そのような目薬には防腐剤が入っていることから、あまりお勧めできません。

    できるだけ目に負担を掛けないよう、使い切りのものを選ぶのがよいでしょう。

    子どもの「ものもらい」

    子どもも「ものもらい」になりやすいと言えますが、前述のとおり感染はしませんので、学校や幼稚園、保育園に行ってはいけないということはありません。

    ただし、目の炎症が悪化しないように、プールなどは控えた方がいいでしょう。

    なお、目の病気では、流行性角結膜炎、急性出血性結膜炎などのウイルス性の結膜炎については、学校安全保健法で第三種の感染症に指定されています。

    こちらは容易にうつりますので、学校、幼稚園、保育園などへは、「病状により学校医その他の医師において伝染のおそれがないと認めるまで」出席してはいけないこととなります。

    赤ちゃんの「ものもらい」

    赤ちゃんは、ものもらいになりやすいと言われています。

    その理由としては、汗をかきやすいことや、汚れたままの手で目をこすってしまうこと、大人と比べて抵抗力や免疫力が低いため、黄色ブドウ球菌による感染が起こりやすいことなどが挙げられています。

    また、赤ちゃんは大人のような自然治癒力が備わっていません。

    そのため、放置しておいても治るということは、あまり考えない方がよいでしょう。

    何より、赤ちゃんの場合は、痒みや痛みに対して「触ってはいけない」と自分を抑えることができないので、症状が悪化してしまいがちです。

    赤ちゃんがものもらいになった時は、早めに病院へ行って対処することが大切です。

    治療に関しては大人と同様に行われますが、抗菌薬などを目薬でさす場合、赤ちゃんによっては嫌がってなかなかさせてくれない、ということが起こり得ます。

    そのような場合は、赤ちゃんが寝ている時にそっとまぶたを開けてさすのがよいでしょう。(起きてしまう可能性はありますが)

    また、目の真正面に目薬を持ってくると、恐怖心で赤ちゃんが暴れてしまうことがありますが、視界に入りづらい目尻からさすようにすると、案外気付かれずに目薬をさすことができます。

    是非、試してみて下さい。

    赤ちゃんにとってもお母さんにとっても、ものもらいにならないことが一番よい状況と言えます。

    そのためには、汗をかいたらこまめに拭くようにし、爪や前髪は切っておく、シーツやタオルなどは清潔なものを使うようにするなど、身の周りの衛生状態を綺麗に保つようにすることが大切です。

    なお、赤ちゃんがものもらいになった場合は、小児科で対応可能な場合もありますが、まず眼科に行くようにしましょう。

    まとめ

    ものもらいについて、説明してきました。内容を簡単にまとめておきます。

    麦粒腫

    種類

    まぶたの外側にできる「外麦粒腫」と内側にできる「内麦粒腫」があります。

    原因

    まぶたにある分泌腺や毛穴に細菌が感染して起こります。

    症状

    目の違和感などで気づいて、そのうちに目が充血したり、まぶたが腫れたりしてきます。

    治療

    2週間程度で自然治癒していくのが一般的ですが、ひどい時には病院へ行くようにしてください。

    また、自然治癒するためには、食生活を見直したり、ストレスのかからないような生活が大切です。

    霰粒腫

    原因

    まぶたにある皮脂を分泌する部分が詰まることで起こります。

    症状

    痒みや痛みなどの症状はありませんが、皮脂が溜まることによって起こるため、イボのように膨らみ、触るとわかるようになってきます。

    治療

    こちらも基本的には自然治癒していきますが、なかなか治らない場合は、病院を受診した方がいいでしょう。症状によっては手術することもあります。

    目薬について

    市販の目薬を購入する基準は次のとおりです。

    • ものもらい専用の目薬を購入すること
    • 使い切りのものにすること

    赤ちゃんのものもらい

    赤ちゃんはものもらいになりやすいです。ものもらいにならないよう、汗を拭いてあげることや、清潔にしてあげることが大切です。

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