尋常性白斑とは
尋常性白斑とは、皮膚色素をつくる部位の損失を不規則に引き起こす、慢性的な皮膚疾患です。後天性疾患で、境界明瞭な一部の色素が白く抜けるといった症状が出ます。稀に環境的要因で生じる可能性もあるといわれています。尋常性白斑は大きく分けて「限局型」「汎発型(はんぱつがた)」「神経分節型」の3つに分類されています。
■ 限局型
身体の一部に1個~数個の白斑が認められるものが「限局型」です。数㎝までが大半だが、大きいものになると10cm以上になるケースもあります。限局型は、白斑部位への機械的な刺激や皮膚の炎症、精神的ストレスや肉体的ストレスがきっかけで発症することが多いといわれています。
■ 汎発型(はんぱつがた)
汎発型(はんぱつがた)は、皮膚の神経の通り道と関係なく身体のあらゆる所に白斑が現れる、尋常性白斑の中でも最も多いタイプです。限局型の白斑の経過中に、メラノサイト(色素細胞)に特有の蛋白質に対する自己免疫ができてしまい、 全身のメラノサイトが破壊されてしまうため、全身の皮膚に白斑が発生して汎発型となります。汎発型の場合は、マイケル・ジャクソンのように自己免疫疾患が隠れているケースもあります。汎発型は、年齢に関係なく症状が表れます。
■ 神経分節型
皮膚の神経に沿って体の片側だけに白斑が発症するのが「神経分節型」です。白斑ができた白斑部から白い毛が生えてくることがあったり、汎発型に比べて治り難い傾向にあると言われており、原因は不明ですが、自律神経の異常が関連しているとの説があります。神経分節型は、発症から1年ほどで白斑が急激に広がりますが、1年を過ぎた頃から停滞し、その後はあまり広がることはないといわれています。神経分節型は、赤ちゃん~30代の若い世代に症状が表れやすいです。
なぜ発症する?尋常性白斑の原因
尋常性白斑は何が原因で発症してしまうのでしょうか?残念ながらまだはっきりとした原因は分かっていませんが、いくつか説があるので紹介します。
■ 自己免疫説
過度のストレスにさらされた事がきっかけとなり、自己免疫に何らかの異常が起こってしまうことがあります。自己免疫に異常が起こってしまうと、本来自分の体に必要な細胞を邪魔なものと判断して攻撃してしまうのです。尋常性白斑の場合、この異常な自己免疫がメラニン色素を形成する細胞を自分で攻撃したり、 機能低下を引き起こすことで色素の脱失が起こり白斑が発症するという説があります。また、尋常性白斑の患者さんには甲状腺疾患など自己免疫系の持病を持つ人が多いことも、尋常性白斑の原因が自己免疫の異常なのではないかと考えられる要因のひとつです。自己免疫説は尋常性白斑の中でも、汎発型や限局型の原因と考えられています。
■ 神経説
自律神経の異常が白斑の原因だという説です。神経分節型の白斑が、神経の通り道に目立って現れる事や、白斑が出来ている部分に異常な発汗など自律神経系に異常をきたしていると考えられる現象が認められる事から自律神経と白斑の関連性が指摘されています。近年では、皮膚の神経とメラニン色素をつくるメラノサイトが繋がっている事も分かりました。また、培養色素細胞において神経蛋白であるカルチトニン遺伝子関連蛋白などが、 正常なメラノサイトや分節型白斑のメラノサイトに影響を及ぼす事も分かってきています。こうした事から、自律神経の乱れが神経分節型の白斑の要因ではないかと考えられてます。
■ 遺伝説
同じ家系の中で複数の人に白斑が発症するケースが確認されています。白斑の患者さんの遺伝子を調べてみると、HLA-DR4という特殊な遺伝子を持っている人の割合が高く、このHLA-DR4が遺伝していることから遺伝性とする説が考えられています。
肌の一部が白くなってしまうメカニズム
正常な皮膚だと、日差しを浴び、肌が紫外線の刺激を受けるとメラノサイト(色素細胞)がメラニン(色素)を生み出します。するとその生産されたメラニンは、「ケラチノサイト」と呼ばれる表皮の大部分を占めている細胞内に留まり、紫外線からその細胞の核を守る働きをするのです。このメラニンは通常、新陳代謝によって消えていき、残ってしまったものがシミとなります。尋常性白斑の場合、このメラニンを作り出すメラノサイトが減少したり、消失したりすることで皮膚の色が白く抜けていきます。
これが、尋常性白斑のメカニズムになります。
放置はNG!合併症を引き起こす可能性があります
痛くも痒くもないのでそのまま放置していることが多いようですが、尋常性白斑は合併症を発症するケースが多く見られます。
尋常性白斑によくみられる合併症は以下の通りです。
・自己免疫性甲状腺機能異常
・膠原病
・シューグレン症候群
・慢性C型肝炎
・糖尿病
・円形脱毛症
・悪性貧血
・アジソン病
・重症筋無力症 など
また、放置していると尋常性白斑はどんどん拡大するだけでなく、新たな場所に次々と出てくるようになります。 こうなってから治療を始めても、なかなか治りませんので、発症したらできるだけ早く病院を受診しましょう。