多くの男性にとって毎日の習慣になっているヒゲそりだが、自己流で知らず知らずのうちに皮膚を傷めている人も少なくない。器具に合った正しいそり方を知っておけば、ヒゲそり後の肌のヒリヒリや炎症を抑えることができる。
カミソリと電気シェーバーではヒゲをそる仕組みが根本的に違う。「時間がない時は電気シェーバー、余裕がある時はカミソリ」という使い分けもできるが、ヒゲと肌の性質や状態をみて選ぶとより効果的だ。
カミソリは肌に直接刃を当ててヒゲをそり落とす。根元から「深ぞり」ができ、ヒゲが濃い人に向く。肌の表面の古い細胞も取り除き、新陳代謝を促す効果もある。ただ、刃先を肌に当てるため、間違った方法でそると肌を傷める危険が大きい。
電気シェーバーは網目状の刃(外刃)を肌に当て、網目の間に入り込んだヒゲを高速で動く内側の刃(内刃)で切り落とす。ヒゲを「刈る」ようなものだ。刃先を直接当てないので肌への負担は比較的軽く、肌が荒れやすい人に向く。外刃の厚みの分だけヒゲが残り、ヒゲが濃い人は物足りないかもしれない。
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そる順番にも注意
カミソリでヒゲをそる時に最も気をつけたい点として、シック・ジャパン技術本部の蜂谷隆マネジャーは「ヒゲに水分を与え、十分に柔らかくしてからそること」をあげる。乾いた状態だと同じ太さの銅線並みの硬さで、硬いままそると肌に無理な力がかかり傷める原因になる。
そる前にヒゲを湯でぬらし、2~3分待ってたっぷり水分を含ませる。シェービング剤やせっけんを使えば、皮膚の表面の脂を取り除け、ヒゲに水分が浸透しやすくなる。肌と刃の間の摩擦を減らし、肌にかかる力を小さくする効果もある。
そり方はヒゲの生えた方向に沿ってそる「順ぞり」が基本。生えた方向に逆らう「逆ぞり」は順ぞりではそりにくい口の回りなどにとどめる。
そる順番にも気を配りたい。あごや口の回りのヒゲは硬くそるのが難しい。十分にヒゲを柔らかくしてからそるのがよい。平面的でそりやすいほおやもみあげ、首回りを先にそろう。
焦らずゆっくりそるのも大事で「肌の弱い人でも、肌荒れが起きにくい」(蜂谷氏)。
電気シェーバーを使う場合はヒゲをぬらさずにそる。「外刃と内刃でヒゲを挟むため、ヒゲが柔らかいと切りづらい」(P&Gジャパンの日高貴洋ブランドPRマネージャー)からだ。
電気シェーバーの場合はカミソリとは違って「逆ぞり」が基本だ。肌に直角に当てて逆ぞりでそると、外刃の網目の間に効率よくヒゲが入る。強く押し当てすぎると網目に皮膚が入り込み、皮膚を内刃でそぎ落としてしまう。肌がわずかにへこむ程度の力にとどめよう。
どうしても肌を傷めたくない人は、シェービング剤などでヒゲを柔らかくし、防水型でそる方法もある。切れ味はやや劣るが、肌への負担は最も軽い。
シック・ジャパンの調査によると、日本では電気シェーバーを主に使う人が52%でカミソリを使う人が44%と、わずかに電気シェーバー派が多い。欧米ではカミソリ派が多数で、短時間でそるのが電気シェーバーの利点と考えると、日本人は欧米人よりも慌ただしく朝を過ごしているといえるのかもしれない。
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起床後すぐは禁物
一日のうちでひげが最も伸びる時間帯は午前6時~10時ごろで、朝そるのがよい。ただ、起きた直後は肌がむくんでいる場合もあり、刃を当てると傷ができ出血しやすい。起床後15~20分ほどたってからにしよう。
カミソリだと、もともとヒゲがたっぷり水分を含んでいる入浴時にそるのも理にかなう。ヒゲが薄く翌日になっても気にならない人や、肌の弱い人にはおすすめだ。
ヒゲそり後の肌の手入れも忘れずに。東京医科大学皮膚科の坪井良治教授は「乾燥肌やアトピー性皮膚炎など、肌の弱い人は湿疹(しっしん)を起こしやすい」と指摘する。「保湿剤やクリームなどを塗り、肌を保護するのがよい」と話す。
一年で最もヒゲが伸びる季節が秋。ヒゲそりの必要性が増すこれからに備え、ヒゲや肌の性質、ライフスタイルに合わせて、自分なりのそり方を探してみてはいかが。
(柏原康宏)
[日本経済新聞朝刊2010年8月29日付]
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