「あ、どうも。Teamサバイブの慎平です」
「同じく中島です。そういえば、しんぺいさ、この前名刺交換してたの見た時に思ったんだけど、爪とか手のケアはあんましてないのね?」
「え? 爪ですか?」
「…………」
「男の爪なんてこんなもんだろーが!」
「カルシウムも足りてない感じするね。ネイルサロンにでも取材に行ってきたら?」
「え? ネイルサロンって、あのネイルサロン?」
「そうそう。爪のお手入れとかもしてもらえるんだよ」
「冗談やめてくださいよ(笑) あれは女・子どもの行くところでしょうよ(笑)」
「それがそんなこともないんだって。最近なんて、メンズ専門のネイルサロンがあるくらいだからね」
「いやいやいやいや、待ちなさいって(笑)」
「女の人って、男性の手元とか爪を結構見るからね。そういう清潔感も必要なんだと思うな」
「ふーん……、清潔感ねえ…………」
〜霞が関 メンズネイル編〜
「というわけで、来ました霞が関、しんぺいです」
「わかってはいたけど、同行するハメになりました。中島です」
俺が足を運んだのはオフィスビルの立ち並ぶ霞が関。
サラリーマンの喧騒を縫うように歩くと、ビルの一角にある男性専門のネイルサロンに出会える。さながら、砂漠のオアシスといった風情か。
正直、男性に爪の手入れだなんて不要だと思っている。やれやれ、これも仕事か。
俺はゆっくりとビルへ向かって歩き出すのだった。
「いや、なんか変なナレーション入れてるけど、しんぺいさっきまでオフィスビルに緊張して顔ひきつってたからね」
※5分前
「言わないで!」
というわけで、男性専門のネイルサロン 「オトコネイル」の霞が関店である「適正休憩所」にやってきました。
手書きのウェルカムボードには大きく「疲れたらおいで」と書かれています。
「ネイルサロンっぽくないっていうか、男性が入りやすい外観になってるね」
「まあ、確かに……」
早速半個室に案内してもらいました。
シートは柔らかく、照明の明るさもちょうどいいです。
「お店はけっこう混み合ってますね……。むむむ……」
いやいや、男性に爪の手入れなんて必要ないでしょ。
疑っていきますよ、私は。
メンズネイルをやってもらった
「担当の久保野といいます。本日はよろしくお願いいたします」
「あ、あ、あ、はい、よろしくお願いしまひゅ」
「この急に緊張したしんぺいの顔でわかるように、知的な香り漂うメガネ美女にご担当いただきました」
「こ の 顔 で あ る」
「それでは、手を失礼致します。うわー、白くて素敵な指先ですね」
「あ、あ、あ、はい……」
「(オチたな)」
その後、丁寧にコースの説明をしていただき、せっかくなので一番人気のハンドマッサージ付きのコースに。決して不純な気持ちはありません。決して。
「お手入れ後の仕上げですが、コーティングをして爪表面の乾燥を防ぐものか、地爪自体を磨き上げて自然な感じで仕上げるものかを選べます」
「どちらを選ばれる方が多いですか?」
「私がオススメしているので、コーティングの方を選ばれるお客さまが多いですね」
「爪がピカピカになりすぎると、支障が出たりしませんか? 例えば、名刺を渡す時とか……」
「業種にもよりますが、きれいな方が女性ウケはいいと思います。同姓(男性)のウケを考えて、コーティングをしないで地爪を磨いて仕上げる方もいますね」
「じゃあ、久保野さんのおすすめのコーティングで」
「かしこまりました」
丁寧に専用ニッパーで爪を切っていただき、
職人のような手さばきでやすりをかけていただき、
「そして、いったん爪を水につけて、ひゅやかふぃまひゅ(ふやかします)」
「あんたがふやけとるがな」
生え際の甘皮を丁寧に取って
表面を丁寧に磨き
最後にコーティング
「続いてハンドマッサージの準備をしますので、少々お待ちくださいね(笑顔)」
「ひゃい……!、わかりました……!」
「…………」
「これ最高だよ!!中島ちゃん!!!!」
「だろうね。あと私いちおう、先輩だからね」
「いやさぁ、そもそも手を触られるっていいよね」
「そうだね。緊張を和らげたりするからね」
「爪も綺麗になるけど、それ以上に気配り的なおもてなしサービスが凄いよ。スタッフの方もすごく気さくで、会話が上手で……。爪を磨くというか、心を磨かれているような……」
「さっきまで否定的だったのに、大絶賛じゃん。すごい顔してるけどね」
「マッサージ上手い子を連れてきました」
「よろしくお願いします、名越です!」
「よろしくお願いしまひゅ!!!」
「ネイルをご担当いただいた知的ビューティータイプの久保野さんとはタイプが異なる、スイートかわいい系の名越さんにハンドマッサージを担当していただきました」※名越さんは、しんぺいの「ガチでタイプ」だったそうです。私は、久保野さんがガチでタイプでした
指先のマッサージから
手のひら
そして腕まで、みっちりハンドマッサージをしていただきました。
ラベンダーのオイルを使い、いい香りに包まれながら意識がとろんとしてきます。これは、間違いなく男性の癒し空間ですね。
「私、この顔はギリギリアウトだと思うんだ」
「もう顔を拡大するのやめて!!!」
メンズネイルについてネイリストの方に聞いてみた
メンズネイルのネイリストの方にお話をうかがいました。
「今日はありがとうございました! メンズ向けのネイルを行っているお店はあまりないと思いますので、ぜひ色々と教えてください。まず、お店は何時頃が混むんですか?」
「やっぱりお昼休みですね。12時から15時でしょうか。あとは、お仕事終わりも予約で埋まってしまいますね」
「とはいえ、今(16時過ぎ)も結構埋まっていますけどね。すごい……」
「そもそも、メンズネイルって、女性ネイルと違うんですか?」
「まずは、女性のような装飾をしないことがありますが、前提としてヤスリの掛け方が違います。男性はそもそも爪を伸ばさないので、女性ネイルのかけかただと指を擦ってしまうんです」
「なるほどー。オトコネイルならではのノウハウがあるんですね。それでは、お客様の来店目的はどのようなことが多いのでしょうか?」
「まちまちですが、コンプレックスを持っている人も多いですね。たとえば、爪を噛んでしまう癖がある人とか。その癖がある方は、施術後のコーティングがもったいなくて噛めなくなったと言っていただいています。あとは、奥様に爪くらいしっかりしろと言われて来た男性の方も、素敵だなって思いました。女性って、男性の爪を見ているものなんですよね」
「そうなんですよね! 名刺交換の時とか、つり革持ってる手とか、結構見ちゃうんですよね~」
「ですね! ちょっと変な言い方ですが、電車の中で手元がボロボロな人を見ると、キレイにしてあげたいという気持が抑えられなくなります(笑)」
「ナイチンゲールみたいですね!」
「フフフ……、ナイチンゲールだなんてそんな大げさなことはありませんが、甘皮などの不要な箇所がないという状態を『お客さまの当たり前』にしてほしいんです。キレイな爪や指先の状態が当たり前になると、お客さまご自身で来店のタイミングがわかるようになるみたいです。キレイな指先を見て喜んでいるお客さまを見ると、私も嬉しくなります!」
「なんかもうナイチンゲールの末裔じゃないかな?」
メンズネイルの経営者の方に聞いてみた
経営者の方にもお話をうかがいました。
株式会社オトコネイル
代表取締役 坂下 隆子さま
「本日はお時間をいただきありがとうございます。よろしくお願いします。さっそくですが、まずは霞が関店の店名にある、「適正休憩所」というネーミングについて教えて下さい」
「はい、こちらこそよろしくお願いします。もとは「オトコネイル」という名前で出していたのですが、霞が関店は人通りの多いオフィスビルの中にあるので、当初「大きくネイルと書かれた看板があると入りにくい」「入るところを同僚に見られるとちょっと気まずい」といった声をいただいたんです。ネイルだけでなく、ハンドマッサージやゆっくりお休みいただくためのメニューもあるので「休憩所のような場所」というイメージを持っていただくために、適正休憩所という名前をつけました」
「なるほどなるほど。店頭の看板といい、男性の来店しやすさに力を入れられているようですね。それでは次に、来店されるお客様の年齢層を教えてください」
「少し前は40代が中心でしたが、今は年齢に関係なく多くのお客様にご来店いただいております。20代から70代まで本当にまちまちなんです」
「ここにも70代のオジさまが!」
(※編集部注:メンズマツエクの取材の際も70代のお客さまがいらっしゃいました。セクシーなオジさまの多いこと!)
「幅が広いですね! お客様は平均的に、美に関して意識が高い人というよりは身なりを整えたい人が多い印象でしょうか?」
「そうですね。見た目がギラギラした方よりも、一見するとネイルをするタイプに見えない方が多いです。美容目的よりも癒やし目的が多いのではないかと思います」
「そうなると美容系の若者、などというよりは、普通のスーツのサラリーマンが来店されるということですね」
「そう思います。ネイルを身なりの一つとして捉えていただいている男性が増えて嬉しいです」
「近い将来、当たり前の身なりのひとつとして周知されることは大いにありそうですね! それでは、ひと月あたりにどれくらいの方が来店されていますか?」
「当店(霞が関店)は6席ですが、ネイルだと毎月120〜130名はいらっしゃいます。ハンドマッサージだけのお客様も含めると500名ほどになると思います」
「ハンドマッサージだけで来店される方のほうが多いんですね!」
「はい、多いですね。オトコネイル 霞が関店には、ネイルケアメニューの他にも『爆睡』というハンドマッサージ付きの仮眠メニューがあります。『爆睡』は、私がネイリストのチェックを行った際に、気持ちよくて、うっかり寝てしまったことから生まれたメニューなんです。先日取材に来られたTV番組のディレクターの方も『爆睡』コースで、取材中に眠っていました(笑) 指先には神経が集中しているので、ハンドマッサージをしてほぐすと、とても気持ちがいいんです。ネイルケアだけでなく、その後頑張るための”休憩所”として使われる方も多いんですよ」
「なるほど、そういった休息目的で来店される方も多いということですね」
「はい、そうです。照明や配置など、男性が好む空間作りに尽力しています。男性の好む空間については少しずつわかってきたのですが、知れば知るほど改善点が見えてきてしまって、月に一度は内装を調整しています」
「月に一度! それは凄い!」
「スタッフには『また変えるんですか!?』とびっくりされてしまうんですけどね(笑)」
「スタッフといえば、ご担当くださったお二人とも素晴らしい接客サービスで、スタッフ研修や教育に力を入れられているように感じました」
「はい。スタッフの質についてはお客様よりご好評いただいています。ネイルほどお客様との距離感が近いサービスもそうないので、ネイリストはどういう気持ちで仕事に望んでいるかが相手からすぐにわかる職業だと思うんです。なので、『働く意味』や『仕事ってどういうことか?』というところから、認識を高めていきます」
「なるほど……。そういえば確かに、接客にマニュアル感がなかったのも好印象でした」
「自主的に動けるスタッフがいることで、お客様により満足度の高いサービスを提供できると考えています」
「実際に体験してみて、大変満足度の高いサービスだったと思います。施術はもちろんですが、気さくに話しかけていただいたり、ケア方法をご提案くださったり。すごく親身に対応していただいたという印象です」
「ありがとございます。自主的にやるからこそ、スタッフ当人も楽しいんだと思います。業務に大切な気配りなども、自主性がないと見えてこないですからね」
「その通りだと思います。貴重なお話をありがとうございました。最後に、今日のインタビューをセクシーモ(サバイブの前進サイト)というWebメディアに掲載させていただきたいのですが、それに関連して『あなたにとって、セクシーとは』という質問をさせて頂いてもよろしいでしょうか?」
「……そうですね、美容に関して言うと、女声と男性の美容に対する意識って少し違うと思うんです。女性は自分がお姫様になるために美容をしますが、男性は、他の人のためにケアをするのではないでしょうか? そういったことから、セクシーとは『相手を思いやること』ではないかと考えています。これは会社の理念でもあります。大切なことは、人と人との心が繋がっているかだと思います」
「『相手を思いやる』という坂下代表の言葉が、スタッフの方にもサービスにも浸透しているのがよくわかりました。本日は本当にありがとうございました!」
「こちらこそ、ありがとうございました!」
メンズネイルに行ってみた感想
手元のビフォーアフターはこのようになりました。
甘皮を綺麗にとってもらったことで、爪が長くなったよう見えます。
また、コーティングも女性の(ジェル)ネイルのようにギラギラしていおらず、あくまでも清潔感の延長にあるように感じます。
施術から10日ほど過ぎましたが、ツヤはまだ残っており、コーティングが生きていることが分かります。
女性のネイルと違い、お洒落ではなく気づかいを考えてのことなので、あえて指摘されるものでもないと考えています。
自分で見るぶんには気持ちが高まります。
意識して初めて知ったのですが、手元が目に入る瞬間って、生活の中で何度もあるものなんですね。つり革を握ったとき、キーボードを叩くとき、伸びをするとき、お風呂に浸かるとき。
爪がキレイになったというだけでも、毎日の生活の中で小さな喜びがあり、誰に自慢するでもなく自分の気持やモチベーションを高めることができます。自分に自信をもち、生活のパフォーマンスを向上させる。日々をサバイブしていく中で、ひとつの武器となることは間違いありません。
生活に溶け込むメンズネイルは、身だしなみとしての常識になる日もそう遠くないのではないでしょうか。
ちなみに、帰り道では……
セクシーとは気づかい。俺は内心、忸怩たる思いがあった。セクシーを他人に向ける、それも、相手のことを考えてだ。俺は今日までそんな発想に至ったことがあっただろうか。……否、断じて否である。
この指先を見れば痛いほど分かる。彼女たちが提供してくれた気づかいが、だ。それはまるで、春の日差しのようにさっぱりとした気づかいで、私は日差しをたっぷり浴びた毛布のような朗らかな心持ちでビルを後にするのだった。
まるで指先から英気が養われるようだった。幸か不幸か私たち人間は指先を酷使する。たとえばカフェ・モカを飲むとき。この指先でカップを持てば、些細な仕草も静謐な儀式のように……
「もういいから!!! 帰るよ!!!!!!!!」
「Can you survive?」
今回取材させていただいたメンズネイルサロン
淡い照明に、スタッフとお客さまの和やかな話し声。
人であふれかえる霞が関で、自分だけの秘密基地をもつ事ができます。どうでしょう、ワクワクしてきますよね。
ネイルももちろんそうですが、本当の気づかいを感じたい時こそ、足を運んでみてはいかがでしょうか?
オトコネイル 霞が関ビル店 「適正休憩所」