知ってる?たくさん寝ても突然眠くなる睡眠障害「過眠症」
昨日ちょっと夜更かししちゃって、次の日が眠い…なんてことは忙しい女性には日常茶飯事のこと。でも、普段からよく寝ているはずなのになぜか眠い、意識していないのにいつの間にか眠ってしまう…なんてことはありませんか?
ただ疲れているだけ、とは思えない「抗えない眠り」。これは睡眠障害のひとつ、「過眠症」なんです。睡眠障害というと不眠症などの眠れない病気の方が有名ですが、眠りたいわけではないのに眠ってしまう…これも立派な病気なんです。今回は、あまり知らない方も多い「過眠症」について解説します。
過眠症は睡眠障害のひとつ。睡眠障害はこんなにある!
睡眠障害とひとくちにいっても、実はたくさんの病気や症状が含まれていて、よく言われる「不眠症」や「過眠症」も多くある睡眠障害の中のひとつなんです。ここでは今回のテーマである「過眠症」を中心に、どのような睡眠障害があるのか簡単にですがご紹介したいと思います。
睡眠障害中でも代表的な病気「不眠症」
やはり睡眠障害と言われて一番に頭に浮かぶのは「不眠症」でしょう。
ストレスなどで一時的な不眠状態に陥った場合は、症状こそ近いものであっても不眠症とはならないようです。過眠症もそうなのですが、不眠症も男性より女性のほうが多いと言われています。
眠りのサイクルが時間と合わない「概日リズム睡眠障害」
ちょっとむずかしい名前の「概日リズム睡眠障害」。これは睡眠自体には問題はないものの、一般的な生活サイクルと自分の睡眠時間が合致しないため、社会的な活動に困難をきたす障害のことです。
一部ではありますが、様々なことが原因で違った症状が出てきます。これらはすべて「概日リズム睡眠障害」に含まれます。
| 障害の種類 | 起こる症状 | その原因 |
|---|---|---|
| 交代勤務による睡眠障害 | 夜に寝ることが出来ない、日中に眠くなってしまう、だるさや食欲不振が見られる | シフト制などの交代勤務(夜勤と日勤)による体内サイクルの乱れ |
| 睡眠相後退症候群 | 明け方まで寝ることが出来ず、一度寝てしまうと昼過ぎまで目が覚めない状態になってしまう | 体内時計の遅れ |
| 睡眠相前進症候群 | 日が落ちる夕方前くらいから寝てしまい、早朝(明け方)に起きてしまう | 体内時計の進みにより、どんどん睡眠時間が前倒しになってしまう。高齢者に多い |
| 非24時間睡眠覚醒症候群 | 眠りに入る時間と起きる時間が1日1~2時間ずつずれてしまう | 体内時計が朝の光によってリセットされないため。昼夜逆転の生活を長くしていると起こりやすい |
重い病気の前触れかも?「睡眠呼吸障害」
「睡眠時無呼吸症候群」という単語、一度は聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。
この病気は夜寝ている間にのどや気道が塞がれてしまうことにより何度も呼吸が止まってしまう障害で、回数が多いと脳梗塞や高血圧による動脈硬化など重い病気を疑わねばなりません。寝ている間の呼吸は自分では自覚症状がないため、発見しにくいのも難しい点です。
脳の異常による「中枢性睡眠時無呼吸」という病気も睡眠呼吸障害のひとつです。こちらはいびきをかかない、過呼吸を引き起こす可能性があるなど睡眠時無呼吸症候群とは同じカテゴリでありながら出てくる症状はかなり違います。
また、これら2つの特性を併せ持った「混合型睡眠時無呼吸」という症状もあります。
今回のメインテーマ、寝すぎてしまう「過眠症」
最後に今回のテーマである「過眠症」です。
「夜更かししているから日中眠くなるからでは?」という疑問が出てくるかもしれませんが、夜にしっかりと寝ていても日中耐え切れないほどの眠気が出てきてしまう、まさに「寝すぎてしまう」病気です。
代表的な過眠症の病気として名前を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか?他にも過眠症に分類される病気はありますが、今回は過眠症の代表的な病気であり、男性よりも女性に症状が見られる「ナルコレプシー」を中心に取り上げてご紹介したいと思います。
日本人に多い過眠症「ナルコレプシー」ってどんな病気?
それでは、「ナルコレプシー」とは一体どのような病気なのか?というところからスタートしましょう。過眠以外にも様々な症状がある病気なんです。
代表的な症状は日中にすぐに眠りに落ちてしまう「睡眠発作」
寝る時間は30分ほどで、目が覚めれば非常にスッキリした気分になるのですが仕事中、授業中などシーンに関係なく眠りに落ちてしまいます。また、そのペースも人によって様々ですが1時間~2時間ペースで強い眠気が襲ってくるようです。
笑ったり驚くと力が抜ける!?「情動性脱力発作」
ナルコレプシーの方の場合、爆笑したり、逆に頭に血が上ったり、驚いたり喜んだりしたときに全身の身体の力が抜けてしまいます。
ちょっと驚いただけで膝の力が抜けて座り込んでしまったり、動けなくなってしまうことも。このような症状を「情動性脱力発作」といい、ナルコレプシーの代表的な症状のひとつと言われていました。
以前まではナルコレプシーと判断する大きな基準としてこの情動性脱力発作があるかどうか、というのがポイントでしたが、最近ではこの症状が発生していないケースもあるようです。
眠りに入るときにも辛さが…「入眠時幻覚」と「睡眠麻痺」
私たちは普段眠るとき、だんだんと意識がなくなっていく感覚…いつの間にか寝ている、といった感じで眠りに入ることがほとんどだと思います。
ナルコレプシーでない方は段々とノンレム睡眠(夢を見ない深い眠り)に以降し、そこからレム睡眠(夢を見る浅い眠り)とノンレム睡眠を繰り返す形ですが、ナルコレプシーの方の場合眠りに入る際すぐにレム睡眠に入ってしまいます。
発生頻度も高く、人によっては毎日のように睡眠麻痺と入眠時幻覚がセットでくることも…。加えて、寝付きはよくても2時間くらいで目が覚めてしまい(これを「夜間熟睡困難」といいます)、あまり「寝た!」といった気持ちにはなれないようです。
勝手に物事が進んでいる?「自動症」
眠りに落ちないように意識するあまり、自分としては眠っていないつもりなのですが、知らない間に書類が片付いていたり、接客していたり…といった日常的な行動をしていることを「自動症」といいます。
ただ、あくまで無意識の行動なのでノートをきちんととったつもりでも全く関係ないことを書いていたり、なんてことが多いようです。
ナルコレプシーになる原因は?治療法は?
人間の3大欲求のひとつである睡眠に関わる病気、ナルコレプシー。一体、何が原因でナルコレプシーになってしまうのでしょうか。なりやすい人など条件はあるのか?そして、どのように検査してナルコレプシーだと判断するのか?治療はどうすれば…?といったところを解説していきたいと思います。
ナルコレプシーの原因は遺伝子と脳の異常によるもの?
実は、ナルコレプシーになる原因は明確にはまだ判明しておらず、現在も研究段階の病気です。ただ少しずつではありますが関与していると思われるものは判明しています。それが
- 遺伝子
- タンパク質
の2つです。
まずは遺伝子について。ナルコレプシーに関係がある遺伝子は「白血球」の遺伝子であると言われています。
この遺伝子が陽性であるかどうか、に加えて「タンパク質」にもほかの人と違うことがあるのがナルコレプシーの原因ではないかと言われています。それが「オレキシン」というタンパク質です。
オレキシンとは脳の中の視床下部という部分から分泌されるタンパク質のひとつで、食欲を促進する効果を持っている他、睡眠と覚醒のコントロールも担っています。
このオレキシンの分泌量が少なくなることで、うまく睡眠リズムを取ることが出来ないのではないかと言われています。
ヒトでは見られていませんが、動物の場合オレキシンが欠損すると脱力発作が起こることもわかっており関連性は高そうですが、まだ研究段階のため確実にオレキシンがナルコレプシーの原因に関わるのかはまだ判明していませんし、オレキシンがどうして分泌不足になるのかもわかっていません。
検査は「精神科」または「神経内科」へ。検査ですぐわかる
ナルコレプシーかどうか検査するには
- 精神科
- 内科(神経内科)
での受診が基本です。睡眠内科など睡眠障害に関する科がある場合はそちらに行きましょう。
現在ではMSLTの方が一般的で、ナルコレプシーの特徴である「眠る時間の早さ」や「寝た際にすぐにレム睡眠になるか」というポイントがチェック出来、保険も適用されるので負担も少ないです。他には血液検査や覚醒維持検査(どれだけ眠気を我慢できるのかチェック)なども行われます。
治療は生活改善と薬物療法で状態を軽くする傾向
根本的にナルコレプシーを治療する方法はありませんので、自分の生活習慣を改善したり、薬物で覚醒時間を長くするといった対処療法になります。
生活習慣の改善は
- 規則正しい生活を送る
- 計画的に昼寝をする
といった、「睡眠不足になりにくい生活」を送るように心がける必要があります。
薬物療法では、夜間の睡眠が浅い場合睡眠導入剤を使用します。入眠時幻覚がある場合、クロミプラミンという抗鬱剤の一種を処方することもあります。
日中長く起きていられないという、ナルコレプシーの方の一番の悩みには「モダフィニル」という覚醒効果がある薬を処方することで対処します。
実はナルコレプシーは世界でも日本人が一番多い!
ナルコレプシーという病気は世界では1000人~2000人に一人が発症すると言われています。しかし、日本ではなんと600人に一人程度の割合で発症すると言われているんです。実は、日本は世界で一番ナルコレプシーの患者数が多いんです。
世界標準では0.4%という発症率が、日本ではなんとその4倍!日本人にとっては意外に身近な病気といえるでしょう。
ナルコレプシー以外にもある、代表的な過眠症2つ
日本人に多い病気ということでナルコレプシーを細かく解説してきましたが、他にも「過眠症」に分類される病気があります。
ナルコレプシーの症状が出ていないからよく寝てしまうけど自分は病気(睡眠障害)ではない…と考えるのは甘いです。発症する人数こそ少ないですが、代表的な過眠症2つについても説明します。
ナルコレプシーのような日中の眠気がある「特発性過眠症」
「特発性過眠症」は、ナルコレプシーに近い症状が出る睡眠障害です。
例えば日中の眠りの際、ナルコレプシーはレム睡眠なので30分程度すればスッキリと目覚めますが、特発性過眠症の場合はノンレム睡眠のため1時間~3・4時間と長く、かつ目覚めても頭がぼーっとしてしまうことが多いです。
夜の睡眠時間も、ナルコレプシーの方は眠りが浅く2時間毎に目が覚める場合もありますが、特発性過眠症では8時間~10時間程度ぐっすりと眠ることが出来ます。
特発性過眠症は長時間睡眠を伴うもの・伴わないものと細分化されており、長時間睡眠を伴う場合、夜間の睡眠は12時間~14時間にも及ぶと言われています。
異常に寝すぎてしまう病気「反復性過眠症」
「反復性過眠症」は「特発性過眠症」よりも更に発症人数が少ない、かなり珍しい病気です。もともと日本では「周期性傾眠症」と呼ばれていた病気で、一定の周期で過剰に眠る症状が特徴です。
強い眠気がある期間である「傾眠期」が3日から2、3週間程度持続し、その間は毎日15時間以上眠り続けてしまいます。
傾眠期は自然に回復し、次の傾眠期に入るまでは通常どおりの睡眠時間でも問題なく、社会生活も正常に行うことが出来ます。
傾眠期は発症してすぐは2週間から2ヶ月程度の間隔ですが、段々と間が開いていき傾眠期が長くなることがあっても、その時の睡眠時間が短くなり、眠気も軽くなる傾向があるようです。
周りには理解されにくい病気。もしかして?と思ったらすぐ病院へ
ナルコレプシーはその症状は特殊であるものの、ついつい誰もがしたことがある「居眠り」という症状が出てしまう点から「サボってるのでは?」「体調管理が出来てないんじゃないの?」と思われがちですし、実際に周りからそういう発言を受けることも多いです。
まだまだ認知がされていない病気のため、ナルコレプシーの患者さんは病気の辛さに加え、精神的な辛さやストレスを背負いがちになります。
ナルコレプシーに限らず特殊な病気には理解者が不可欠。「もしかして?」と思ったら声をかけてあげることも大切ですし、自身にも自覚があればすぐ病院へ行きましょう。
また、なかなか周りの理解を得るのが難しい病気の場合、周りが理解してくれるだけで安心するものなので、心がけてみてください。よき理解者となれる女性は素敵ですよ。