プレドニンはステロイドの一種
プレドニンとは主にプレドニゾロン(略語:PSL)を成分とする薬です。副腎皮質ホルモン(ステロイド・ホルモン)のはたらきを科学的に合成したステロイド剤の一種で、現在広く使用されています。
プレドニンなどのステロイド剤は炎症を抑えるなどの作用が非常に強く、さまざまな病気の治療に使われます。
なお、プレドニンの成分はプレドニゾロンという名前のもので、プレドニン以外のジェネリック医薬品としてプレドニゾロン錠などが登場しており、こういった名称のものをご利用されている方も多いかと思います。
プレドニゾロン錠などのジェネリック医薬品も、使用方法や気をつけるべきポイントはプレドニンと同様になりますので、同じようにこちらの情報をご参考いただけます。
プレドニンの剤形
現在多く処方されているのは以下の3種類の薬です。
このほかにも点滴や座薬など、さまざまな方法でプレドニンは処方されています。
今回はこの中のプレドニン錠とプレドニン眼軟膏に焦点を当て、その効能や副作用などについて詳しく見ていきましょう。
■成分・含量(1錠中)
プレドニゾロン5mg
■効能・効果
内分泌疾患・リウマチ疾患・膠原病・川崎病・腎疾患・心疾患・アレルギー性疾患・重症性疾患・血液疾患・消火器疾患・重症消耗性疾患・肝疾患・肺疾患・結核性疾患・神経疾患・悪性腫瘍・外科領域・整形外科領域・産婦人科領域・泌尿器科領域・皮膚科領域・眼科領域・耳鼻咽喉科領域
プレドニン錠5mg添付文書
■具体的な病名
・リウマチ・大腸炎・口内炎など体内のさまざまな炎症
・蕁麻疹や虫刺されなど皮膚の炎症
・喘息や咳など肺の炎症
・花粉症やアトピーなどのアレルギー症状
・難聴や耳鳴りなどストレスによる耳の異常
・流産防止やつわりの軽減、妊娠中毒、不妊症の治療
・白血病や貧血など血液の異常
・その他、腎臓病(ネフローゼ病)、メニエール病、がんなどの治療
■用法・用量
通常,成人にはプレドニゾロンとして1日5~60mgを1~4回に分割経口投与する。
プレドニン錠5mg添付文書
成人の場合、1日にあたり1〜12錠を1〜4回に分けて服用しますが、患者の年齢や症状によりこれは変動します。医師から指示を受けた用量を必ず守って服用しましょう。
独断で量を増やしたりすると副作用や離脱症状が深刻になる危険性があります。
また、服用量を減らすことも危険です。飲み忘れによりショック症状などの離脱症状が起こる可能性もあります。定められた用法・用量を守り服用してください。
■用法・用量に関する使用上の注意
今までに薬を服用してアレルギー症状が出たことがある場合は医師に伝えましょう。また、感染症や消化器官の病気、精神病、高血圧、糖尿病などの症状がある場合は使用できないことがあります。
■成分・含量(1g中)
プレドニゾロン酢酸エステル2.5mg
プレドニゾロン酢酸エステルは、全身に効果のあるプレドニゾロンを、眼などの限られた部分にのみ効くようにした成分です。基本的な効果に違いはありません。
■効能・効果
外眼部及び前眼部の炎症性疾患の対症療法(眼瞼炎,結膜炎,角膜炎,強膜炎,上強膜炎,前眼部ブドウ膜炎,術後炎症)
プレドニン眼軟膏添付文書
■用法・用量
通常,1日数回,適量を塗布する。
なお,症状により適宜増減する。
プレドニン眼軟膏添付文書
◼︎使用方法
まず手を石鹸でよく洗います。
下まぶたを軽く引き、チューブを少し押して下まぶたに薬を塗布しましょう。チューブの先が直接眼球やまぶた、まつげにつかないよう、鏡を見ながら慎重におこなってください。
薬を塗布したら目を閉じて、眼球全体に軟膏が馴染んで広がるのを待ちます。眼の外側に出てしまった薬は清潔なティッシュ等で拭き取ってください。
■用法・用量に関する使用上の注意
今までに薬を使用してかゆみなどのアレルギー症状が出たことがある場合は医師に伝えましょう。また、現在症状が出ている眼の疾患によっては使用できない場合もあります。
内服薬と同じように、独断で使用をやめるのは危険です。使用の中止は医師と相談した上で行ってください。
プレドニンには炎症を抑えるなど強力な効果がありますが、それにともない数多くの副作用も報告されています。
再評価結果における安全性評価対象例2299例中,副作用は512例(22.27%)に認められた。主なものは,満月様顔貎が110件等であった。
プレドニン錠5mg添付文書
また、長期間にわたり服用していた場合は、服用をやめたときに離脱症状が起こることも多く、しっかりとした理解が必要です。
いずれの副作用も個人の身体の状態や、服用する量・期間などにより症状には差があるため、絶対にこの症状が出る・出ない、と言い切ることはできません。
多くの副作用はプレドニンの服用をやめると改善しますが、症状の中には重篤な病気のサインも含まれています。少しでも違和感を感じたらすぐ医師に相談することが大切です。
ムーンフェイスとは
プレドニンの代表的な副作用としてムーンフェイス(満月様顔貌)があります。
ムーンフェイスとは満月様顔貌(まんげつようがんぼう)とも呼ばれ、顔が丸く、赤味を帯びた状態になることを指します。顔の両ほほを中心に脂肪がつき、毛細血管が拡張することで顔が赤くなってしまいます。中心性肥満の一種で、顔だけでなく体幹など体の中心に脂肪がつくこともあります。
原因は、プレドニンなどのステロイド薬やステロイドホルモンを大量に、または長期間服用したために起こる食欲の増進です。また、プレドニンの服用により脂肪の代謝異常が起こることも多く、そのため脂肪が沈着してしまいます。
プレドニンの服用を減らしていくと、ムーンフェイスの症状も消失していくことがほとんどです。
プレドニンで太るって本当?
プレドニンを服用すると多くの場合、食欲が増進します。これはステロイドの服用により脂質の代謝が活発になることが原因で、食べても食べても空腹感が満たされない、というような症状が出ます。
この食欲は抑えられるレベルではないことがほとんどで、結果的に体重が増加します。
また、足のむくみが同時に発症することもあり、下半身を中心に太ってしまうということが多くあります。
多くの場合、プレドニンの服用を減らすと食欲も落ち着き、少しずつ体重も元に戻っていきます。
プレドニン錠の主な副作用
| 主な症状 | |
| 消化不良 | 腹部の張り、吐き気、下痢、便秘、嘔吐、胃の痛み、食後の腹痛など |
| 易感染 | 免疫抑制作用により風邪やインフルエンザ・肝炎などの感染症にかかりやすくなる |
| 副腎不全 | 食欲不振、吐き気、異常な体重減少など |
| 精神変調 | 多幸感、神経過敏(不安感・イライラ)、倦怠感、動悸、うつ状態など |
| 頭痛 | 離脱症状(後述)の主な症状ですが、服用中にも発症 |
| 睡眠障害 | 不眠、異常な眠気 |
| 骨粗しょう症 | 骨密度の低下、腰痛、筋肉の痛み・こわばり、関節の痛みなど |
| 内分泌系 | 生理不順、生理痛の悪化など |
| 高血糖 | 頻尿、多尿、口の渇き、糖尿病症状の悪化 |
| 血圧の上昇 | 血中のナトリウム濃度が増えるため、血圧が上昇する |
| 皮膚トラブル | 発疹、かゆみ、皮下出血、ニキビ、多毛、脱毛(円形脱毛症など)など |
プレドニン眼軟膏の主な副作用
| 主な症状 | |
| 緑内障(0.1%未満) | 光をまぶしく感じる、涙が出る、眼に異物感を感じる |
| 角膜ヘルペス | 光をまぶしく感じる、涙が出る、眼に異物感を感じる、充血、見えにくくなる |
| 過敏症 | 刺激感 |
| 視力の低下 | 目のかすみなど(長期間使用の場合) |
プレドニンなどの強力な作用を持つ薬を長期間服用していた場合、服用をやめると離脱症状が出ることが多くあります。具体的な症状やその重さは用量や期間などによりますが、多ければ多いほど、長ければ長いほど症状も重いというのが一般的です。
多くの場合、服用期間が2週間以内であればすぐに服用をやめることができますが、2~3週間以上の場合は離脱するためにある程度の期間が必要です。
主な症状
プレドニンの離脱症状には、強い倦怠感や関節痛、吐き気、頭痛、血圧の低下などがあります。これはプレドニンの大量摂取や長期間の使用から副腎の機能が低下し、ホルモンの分泌が減少することなどが原因で起こります。
また、服用を急にやめてしまうと、食欲不振や筋肉痛・関節痛、手の震えだけでなくショック症状などが現れる場合もあります。くれぐれも医師と相談しながら、少しずつ減らしていくようにしましょう。
プレドニンの離脱症状が出る期間
プレドニンの服用をやめる場合、薬の量をだんだん減らして体を慣らしていく必要があります。そのため、服用量が多い・服用期間が長いと、それだけ離脱にかかる期間も増え、離脱症状も長く続きます。
離脱症状が出る具体的な期間については、状況によるところが大きいので一概にいうことはできません。
また、治療をおこなう病気の種類によっては、5mg程度のプレドニンを一生飲み続けなければならない、ということもあります。
あまりにも離脱症状が深刻な場合、医師の判断で一度薬の量を増やしていくなどの対処がされる場合もあります。プレドニンなどステロイド薬からの離脱症状に悩む患者さんは多く、医師も理解があるでしょう。
離脱のためにはある程度の我慢が必要という意見もありますが、我慢しすぎず医師に相談し、連携を取って服用量を減らすことが大切です。
プレドニンの減量方法
プレドニンの服用量を減らしていく方法は、病状や医師の判断で変わっていきます。一般には血液検査をしながら離脱症状の重さを考慮し減らしていく、という方法で服用量を決めていきます。
同じ病気の治療を行っていても、期間や症状などにより減量スピードは異なります。副作用への恐怖もあるかもしれませんが、勝手に服用量を減らしたりせず、医師とよく相談することが大切です。
プレドニンは正しく使えばさまざまな病気の治療に効果が望める薬です。しかしその分、使い方を間違えれば大きな危険があります。
妊娠中・授乳中についての使用のほか、飲み合わせや食べ合わせの関係についても解説します。
妊娠中・授乳中および小児への使用など
■プレドニン錠の場合
ステロイド薬であるため、妊娠中に使用することで胎児へ影響することを心配する人も多いですが、大量に服用しなければ胎児への影響はほとんどないと報告されています。
人間の胎児へ奇形の影響がある、という根拠はありません。
また、まれに胎児に副腎不全を起こすという危険性もありますが、ほとんどの場合出生後に自然に回復します。
授乳中の使用も深刻な影響はありません。母乳へは少量排出されますが、1日40mgまでであれば、幼児が飲んでも全身に悪影響を与えることはないと考えられています。
小児への使用については、低出生体重児や新生児・乳児などへ使用すると、身長が伸びない・体重が増えないなどの発育抑制があらわれる場合があります。
プレドニンを服用する際には医師の指示する用量を守り、体の状態をよく観察するようにしましょう。
■プレドニン眼軟膏の場合
妊娠中の安全性は確立されてないため、長期間の使用は避けましょう。
また、低出生体重児や新生児・幼児などに対する安全性も確立していません。特に2歳以下の子どもの場合は慎重に使用しましょう。
プレドニンを使用するうえでの日常生活の注意
■激しい運動は避けましょう
一定量までならある程度の運動は可能ですが、長期間服用する場合はきちんと医師に相談しましょう。
■予防接種は避けましょう
プレドニン服用中にワクチンの予防接種をすると、神経障害などを起こす危険性があります。
■マスクを着用しましょう
プレドニン服用中は免疫力が下がっています。感染症予防のため、外出の際にはマスクを着用し、手洗いうがいを徹底しましょう。
■血液検査を受けましょう
プレドニン服用中は尿検査や体重測定など、さまざまな検査を受けるよう指示されます。中でも血液検査は、副作用の予防や離脱症状の軽減などに役立つ検査です。しっかりと受けるようにしましょう。
プレドニンの飲み合わせ・食べ合わせ
■医薬品以外との飲み合わせ・食べあわせ
| アルコール | 骨粗しょう症や肝障害などの副作用が出やすくなります。できるだけ控えてください。 |
| タバコ | 骨粗しょう症や消化器不良などの危険性が上がります。できるだけ控えてください。 |
| コーヒー | 問題ありません。 |
| グレープフルーツ | ステロイドの血中濃度を高める危険性があります。プレドニン服用中は食べないようにしましょう。 |
■薬など医薬品との飲み合わせ
プレドニンを処方される際、抗生物質などの薬と一緒に服用するよう指示される場合が多いです。これらの薬は病気の治療に効果がある場合だけでなく、プレドニンの副作用を抑えるための薬の場合もあるため、処方された薬はしっかりと飲むようにしましょう。
しかし、飲み合わせによっては注意が必要な場合も多くあります。ほかの薬を飲む場合は医師に相談してください。
併用に注意が必要な薬剤名などは以下の通りです。
・バルビツール酸誘導体(フェノバルビタール・フェニトイン・リファンピシン)
・サリチル酸誘導体(アスピリン・アスピリンダイアルミネート・サザピリン など)
・抗凝血剤(ワルファリンカリウム)
・経口糖尿病用剤(インスリン製剤)
・利尿剤(フロセミド・アセタゾラミド・トリクロルメチアジド など)
・活性型ビタミンD3製剤(アルファカルシドール など)
・シクロスポリン
・エリスロマイシン
・非脱分極性筋弛緩剤(パンクロニウム臭化物・ベクロニウム臭化物)
プレドニン錠5mg添付文書
また、主な市販薬との飲み合わせを以下にまとめましたので、参考にしてください。
| バファリン | サリチル酸中毒の危険性があります。必ず一度医師に相談してください。 |
| ロキソニン | 問題ありません。 |
| 胃薬 | 基本的には問題ありません。併用するように処方されることも多くあります。 |
| 風邪薬 | 問題ありません。ただし解熱剤の場合、解熱効果が弱まる可能性があります。一度医師に相談したほうがいいでしょう。 |
| 睡眠薬 | 睡眠薬の成分によってはプレドニンの作用を弱める場合があります。一度医師に相談してください。 |
プレドニンとならび広く使用されるステロイド剤のひとつにリンデロン(ベタメタゾン類)があります。
リンデロンはプレドニンのおよそ10倍という強力な抗炎症作用を持ち、そのためプレドニンより用量の調節が難しいといえます。
また、リンデロンとほぼ同様の特徴を持つステロイド剤にデカドロン(デキサメタゾン類)というものもあります。デカドロンもプレドニンのおよそ10倍の抗炎症作用をもち、局所投与としてよく使用されます。
プレドニンおよびリンデロン・デカドロンはすべて同じように炎症を抑える効果を持ちますが、治療する病気や病状などによって、より適切な薬が選択され処方されています。
まとめ
プレドニンはステロイド剤の一種であり、炎症を抑えるなどの効果を持つためさまざまな病気の治療に使用されています。しかし、強力な効果を持つ薬であるため、その効果だけでなく副作用や離脱症状などのデメリットについても正しく知っておく必要があります。
処方された際に疑問点や不安があればきちんと医師に相談し、用法用量などの注意を守って正しく使用するようにしましょう。