ニキビや毛穴の内部構造を、鮮明に可視化することに成功!
独自の「3D-OCT(*1)肌測定器」と「画像処理」により、肌内部の解析技術を確立
2013年7月9日
富士フイルム株式会社
富士フイルム株式会社(社長:中嶋 成博)は、ニキビや毛穴の構造の観察に特化した「3D-OCT肌測定器」を開発しました。そして独自の「画像処理技術」と組み合わせることで、これまで詳細に観察することができなかったニキビや毛穴の内部構造を非侵襲で可視化する技術を確立し、その内部構造を鮮明に可視化することに成功しました。(図1)今後この解析技術を、毛穴に発生するニキビなどの肌トラブルのメカニズム解明や、ニキビケア化粧品をはじめとするさまざまな化粧品の開発に活用していきます。
【図1】 当社解析技術によって得られたニキビの内部構造画像とマイクロスコープ画像の比較
ニキビなどの肌トラブルの原因究明には、肌内部で起きている現象の解明が必要です。肌内部の構造を可視化するには、対象物の立体的な構造情報が得られる3D-OCTの活用が有効ですが、従来の3D-OCT測定器は、顔のニキビや毛穴などの測定に最適化されておらず、ニキビや毛穴を押し潰さずに鮮明な3D-OCT画像を得ることができませんでした。そのため、肌内部、特にニキビや毛穴の内部構造を非侵襲で可視化することは困難でした。
■開発内容
1.任意の毛穴、ニキビなどの内部構造観察を可能にした「3D-OCT肌測定器」を開発
顔の任意の場所を小型ハンディタイプのプローブ(*2)を使って測定できる独自の3D-OCT肌測定器を開発しました。
【図2】 当社が開発した3D-OCT肌測定器 外観図と使用イメージ
*1:OCT(光干渉断層画像、Optical Coherence Tomography)技術とは、光同士が重なった時にお互いの振動の力を強め合ったり打ち消し合ったりする「干渉」という性質を用いて、測定箇所の深さ方向に光を当て、反射してくる光の情報を取得し、非侵襲(身体を傷つけることなく)で、生体組織の精密断層像を得る技術。3D-OCTは、対象物に縦横(X-Y)2方向にスキャンを行い、対象物の立体的な画像を得ることができる。
*2:プローブとは、測定試料の特定部位に近付けて試料の特性を測定するための検出器の一部。
<「3D-OCT肌測定器」の特長>
(1)測定用プローブを小型ハンディタイプ化したことで、肌の測定したい場所に直接プローブを当てて簡単に3D-OCT 画像を取得し、毛穴やニキビなどの内部構造を観察することができます。
また、プローブにCCD カメラを付属したことで、測定部位の肌表面の状況を別モニターで確認しながら、位置を的確に定めることができます。
(2)プローブの先端にキャップをつけたことで、ニキビを押し潰さずに、ニキビの表面の凹凸を正しく反映した正確な構造データを取得することができます。
(3)当社開発の光学部品「2-D圧電MEMS ミラー(*3)」を搭載。光を縦横2方向に反射させることが可能になり、一度に縦横(X-Y)2方向にスキャンが行え、縦方向、横方向で分けて測定をする必要がありません。そのため、プローブを肌に当てたまま、たくさんの垂直断面画像を取得することができます。
*3:2-D圧電MEMSミラーとは、圧電駆動によって2軸方向に対して微小な角度制御が可能な超小型ミラーのこと。
【図3】 3D-OCTによるニキビの立体画像と、そこから取り出した断面図
測定したいニキビの縦方向、横方向の垂直断面図をそれぞれ約500枚連続スキャンして取得し、その画像からニキビの1つの立体画像を構築します。立体画像から、垂直・水平の任意の場所で断面図を取り出して観察、解析することが可能です。
2.毛穴内部の構造を鮮明に可視化する画像処理技術を開発
毛穴内部を見るためには、3D-OCTで取得した立体画像から、2次元の水平断面図を切り取ります。しかし、1枚の水平断面図のみではデータの情報量が不足していて、毛穴内部の構造を正確に把握することが困難でした。そこで当社は、取得した複数の水平断面図を重ね合わせることで、データの不要なノイズを削除し、必要な情報だけを抽出して強調する画像処理技術を開発し、毛穴の内部構造を鮮明にとらえることを可能にしました。(図4)これは、病変箇所を強調して可視化し、詳細な情報をとらえる、当社が画像診断分野などで培ってきた独自の画像解析技術を応用して実現したものです。
【図4】 独自の画像処理技術による毛穴強調画像
■可視化した各種ニキビの内部構造
20代~30代女性の顔にできたさまざまな進行状態のニキビを、当社開発技術(3D-OCT肌測定器、画像処理)とマイクロスコープを用いて測定しました。(図5)
当社技術を用いることで、ニキビの種類によって、肌内部の構造がそれぞれ大きく異なることを可視化できました。
【図5】 白ニキビ、赤ニキビ、ニキビ痕の内部を可視化
当社開発技術によって3D立体像を構築した後、垂直断面画像を切り出し、マイクロスコープ画像と比較した。
今回開発した技術を使って得られる肌内部構造の情報に、今後皮膚科学的な考察が加わることで、ニキビの進行による肌の内部状態の継続変化や、ニキビのメカニズムが詳細に解明されることが期待されます。またその知見を生かして、当社はニキビケア化粧品をはじめとする機能性化粧品を開発していきます。
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