エルカルチンFF[レボカルニチン]:カルニチン欠乏症治療薬


 


エルカルチンFF[レボカルニチン]は、カルニチン欠乏症の治療薬です。

透析患者や先天性の異常[カルニチントランスポーターの異常]で乳幼児にカルニチンが不足することが知られています。

カルニチンの機能・役割

カルニチンは主に脂肪酸代謝に関与するアミノ酸の類縁体です。

脂肪酸の代謝は、細胞内のミトコンドリアで行われますが、そのままの形では取り込むことができません。

 


そこで必要な物質がカルニチンであり、カルニチンが脂肪酸と結合することでミトコンドリア内へ取り込まれるのです。

そして、ミトコンドリア内で、脂肪酸の代謝=β-酸化が行われエネルギー[ATP]が産生されるのです。

このように、カルニチンは脂質代謝に不可欠であるため、ダイエットサプリメントとしても注目されているのです。


カルニチンが不足したときの症状

カルニチンが不足すると、脂肪酸のエネルギー代謝に異常が生じます。
そのため、エネルギー不足によって身体がだるくなったり、疲労感や息切れを起こすのです。

また、脂肪酸のβ-酸化によって得られたエネルギーの一部は糖新生に使用されます。

 


糖新生とは、血糖値が下がった際、主にアミノ酸からブドウ糖[グルコース]を生成する経路です。
エネルギーを生成する解糖系と逆経路を取るため、糖新生にはエネルギー[ATP]が必要なのです。

カルニチンが不足すると、糖新生に使用されるエネルギーが不足します。

 


そのため、カルニチン欠乏症の重篤な症状として、低血糖による昏睡が挙げられるのです。


透析患者でカルニチンが不足する理由

透析患者では、カルニチンが不足すると言われていますが、その理由は主に3つあります。

透析患者では、血液中に含まれるカルニチンの70%以上が除去されるカルニチンは、75%は食事から、残りの25%は体内で合成されます。
しかし、透析時にはその70%以上が除去されているため、慢性的にカルニチンが不足するのです。

腎機能の低下によってカルニチンの合成が低下するカルニチンは、75%が食事から摂取されますが、残りの25%は肝臓や腎臓で生成されます。
つまり、腎機能の低下によって、わずかですが体内で生成されるカルニチン量が減少するのです。

タンパク質の食事制限により、カルニチンの原料や摂取量が減る肝臓や腎臓でカルニチンを生成する際、リジン・メチオニンといったアミノ酸を原料とします。

 


透析患者では、タンパク質量が制限されているため、肝臓・腎臓での生成がほとんどできなくなるのです。
また、食事由来のカルニチンは高タンパクの肉類や魚類に含まれているため、食事由来のカルニチン量も減少します。

エルカルチンFF[レボカルニチン]の作用機序

エルカルチンFFは、カルニチン欠乏時にカルニチンを補う薬です。

 

エルカルチンFFの有効成分はレボカルニチンです。

 

カルニチンの働きのひとつに脂肪酸をミトコンドリア内に取り込んで、β-酸化を行うことは前述しました。

 

しかし、β-酸化される脂肪酸は全てではなく偶数炭素を持つ脂肪酸がアセチルCoAに代謝されます。
一方で、奇数炭素を持つ脂肪酸はプロピオニルCoAに代謝されます。

 

プロピオニルCoA中のプロピオニル基は、ミトコンドリア膜の破損に関与しているため、生体において有害な物質であるとされています。

 

カルニチンは、プロピオニル基を取り込み、有害性の低いプロピオニルカルニチンとして尿中への排泄を促進します。

 

 

 

 

エルカルチンFF[レボカルニチン]は、カルニチン欠乏時にカルニチンを補充し、プロピオニル基の排泄促進低血糖を抑制することで、カルニチンの欠乏時の各種症状を改善します。

 

エルカルチンFF[レボカルニチン]の副作用、エルカルチンとの違い

エルカルチンFF[レボカルニチン]は、プロピオン酸血症およびメチルマロン酸血症時のレボカルニチン欠乏の改善薬として、1990年に発売された薬です。

 

もともとは、エルカルチン錠[レボカルニチン塩化物]として使用されていましたが、剤形変更や換算をしやすくするため塩化物を取り除いたフリー体です。
また、プロピオン酸血症、メチルマロン酸血症のみでなく、すべてのカルニチン欠乏症に適応が通りました。

 

主な副作用としては、食欲不振[0.68%]、下痢[0.68%]、浮腫[0.68%]などが報告されています。

 

抗菌薬が低カルニチン血症、低血糖を引き起こす機序

低カルニチン血症を引き起こす要因のひとつに最近抗菌薬が注目されています。

 

 

ピボキシル基を持つ抗菌薬とは、次の5成分が該当します。

  • フロモックス[セフカペン ピボキシル]
  • メイアクト[セフジトレン ピボキシル]
  • トミロン[セフテラム ピボキシル]
  • オラぺネム[テビペネム ピボキシル]
  • メリシン[ピブメシリナム]

 

ピボキシル基を持つ薬は吸収後、代謝を受けてピバリン酸と活性本体になります。
ピバリン酸はカルニチン抱合をうけピバロイルカルニチンとなり、尿中へ排泄されます。
この結果、血清カルニチンが低下することが知られています。

 

カルニチン欠乏状態だと脂肪酸β酸化ができず、糖新生が行えないため、低血糖を来たします。

エルカルチンFF[レボカルニチン]の禁忌

  • 特になし
   

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