はじめに
今回はフィッシュオイルについて解説します。
膨大な研究の蓄積があり、適度な摂取で、多くの健康上のメリットだけでなく、ダイエットや筋トレといったボディメイクに有効であることが分かっています。
1日1粒飲むだけで健康になれると宣伝されているサプリは数多くあり、ほとんどがでたらめなのは多くの人がなんとなく感じていると思いますが、唯一本当なのがフィッシュオイルです(らしい)。
フィッシュオイルとは
フィッシュオイルとは漢字にすれば魚油であり、サケ、ニシン、サバといった脂肪分の多い魚から取りだした脂肪分のことです。
したがって、サプリメントの名前はフィッシュオイルですが、摂取したいのは含まれている2つのオメガ3脂肪酸、EPAとDHAです。したがって、後に詳しく説明しますが、1粒でフィッシュオイル500mgとか1000mgというのは何の指標にもならず、そのうちEPAとDHAがどれだけ含まれているかが重要となります。
オメガ3脂肪酸とは
オメガ3脂肪酸は必須脂肪酸、つまり食べない限り体内では作られない脂肪酸の一つです。
そういった意味では、単純に健康といった観点から考えると、魚を食べる量自体減っていいますから、不足分を補うという意味でフィッシュオイルを摂取することにも意味があります。
もっとも、健康維持のために不足分を補うのではなく、ボディメイクを加速させるという観点からは重要な機能が2つあります。
まず、筋肉のインスリン感受性を高めることが知られています。インスリン感受性が高まるということは、インスリンの分泌量が少なくて済むということを意味しますから、適度なインスリンレベルを保つことで、脂肪の蓄積を抑えつつ、効率的に筋肉にアミノ酸と炭水化物を運ぶことが可能となります。
次に、最近の研究では、オメガ3脂肪酸が筋タンパク合成を加速させ、成長ホルモンの分泌を刺激する等、筋肉の回復・成長に重要な役割を果たすことが分かっています。
したがって、魚を食べる量が減ったから補うというだけでなく、ボディメイクのためには積極的に十分な量のフィッシュオイルを摂取することが推奨されています。
必要摂取量
必要摂取量については様々なので、各文献の数字を載せます。なお、各文献とも、フィッシュオイルについてはそれなりのページを割いて解説していますので、詳細は各文献を当たることをお勧めします。
フィッシュオイル1gといっても、製品ごとにEPA/DHAの含有量は大きく違います。上の文献でも最初に載せたマイケル・マシューズの2冊は、わざわざ紙面にサプリのラベルを記載して比較しながら、EPA/DHA含有量を調べる必要性を説明しています。
注意点
フィッシュオイルサプリメントには、けっこうな割合で、妊娠中や授乳中の人は摂取を控えるように注意書きが書いてあります。
これはおそらく、分子蒸留で重金属を除去していると言っても100%除去できているかどうか保証がないからだと思います(個人的推測)。魚は小さいようで、プランクトン→ミニ魚→小魚→魚といった食物連鎖の上位にいますから、排泄されない重金属は比較的蓄積されやすいです(もちろん通常の成人には全く問題になるような量ではありません)。
有害であるとされている一定レベル以下であることはテストできても、ゼロかどうかなんてわかりませんから(化学的に、一定以下であることはテストできても、ゼロかどうかのテストはできない)、ごく微量でも蓄積されると影響が出てしまうかもしれない胎児や乳児はサプリによる追加的摂取を控えるべきだからです。
したがって、該当する人は摂取を避けるか医師に相談するのが良いと思います。もっとも、オメガ3脂肪酸の摂取という視点で考えれば、不安を抑えてまで魚由来にこだわる必要はなく、亜麻仁油等を摂取すればよいだけです。
終わりに
今回はフィッシュオイルについて解説しました。
特に補足することもありませんが、ここまで全会一致で推奨されるサプリメントも珍しいと思います。
なぜ欧米では心臓疾患が多いのかという疑問から様々な研究がなされ、どうやら人種の問題ではなく、風土病的なもので、人種に係わらず欧米で生活している人は心疾患が多いということがわかってきます。そうすると注目されるのは食生活で、一方で心臓疾患が少ないのはアジアですから、アジアと欧米で食生活を比較して、魚の消費量に注目が集まるようになります(もう一つの特徴が乳製品摂取量の多さで、ここから脂肪分の摂り過ぎは心臓によくないという話が登場します)。
そうすると、フィッシュオイルの摂取が非常に健康上の効果があるという論文が多数あるのは事実だとしても、その多くは欧米でなされたものですから、心臓疾患が少ない側の対象として登場する我々日本人が、サプリで摂取して、欧米人並みの効果があるのかどうかは少し引き算して考える必要があるかもしれません。
ただ、我々日本人も食生活が欧米化して、魚を食べなくなっているのは紛れもない事実です。