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記事141◆カリスマ美肌師に肌を見てもらうルポ

「全然化粧しないもんで」と差し出した私の顔を見て、そして触って、佐伯チズさんはこう言ったのだった。

お肌に無礼です

ぶ、ぶ、無礼ですか……。
さすがに記事には「お肌がかわいそう」と言葉を少し書き換えてしまったのでした。


■掲載年月日 2004年02月24日
■カリスマ美肌師・佐伯チズさんが手ほどき
■アンチエージング治療の時代


 熟年女性の美肌への思いは熱い。だからだろう。病院や美容外科では老化によるシミ、しわを取り除くなどのアンチエージング(抗老化)治療が大はやり。化粧品メーカーはこぞって熟年層をターゲットにした商品を売り出している。ところが、「カリスマ美肌師」として人気の佐伯チズさん(61)に美肌への近道を聞いて、驚いた。「顔を洗うのはおやめなさい」というのである。

 ■ジョウザイキン?

 佐伯さんは化粧品メーカーで35年間、美容アドバイザーの経験を積んだ。昨年、定年退職して開いたエステサロンは1日2人限定で、すでに170人待ちという。

 インタビューに挑んだ記者は何を隠そう、化粧しない歴37年。シミ、そばかす、何でもありのこの肌を、佐伯さんはじっと見つめておっしゃる。
「お肌がかわいそう」。
そして顔の肌を触りながら、さらに一言。
「ジョウザイキンが死んじゃってるわ」。
ジョウザイキン? 何ですか、それ。

 「常在菌。皮膚にはブドウ球菌やアクネ菌などの菌がすんでいます。この菌が肌の水分と脂分のバランスを保ってくれる。肌を弱酸性に保つのも常在菌の働き。アトピー性皮膚炎に関係するとされる黄色ブドウ球菌などの悪い菌は弱酸性の肌では生きられない。常在菌は健康な肌を維持してくれるのです」

 ■洗顔は1日1回に

 ところが、この常在菌の働きを弱めてしまうものがある。洗顔のし過ぎだ。「日に何度もせっけんでゴシゴシ洗ったり、クレンジングのあとにまた洗顔料で『ダブル洗顔』したりすると、常在菌は損なわれてしまいます」
 度を超した洗顔が肌に必要な皮脂まで奪い、肌は脂を補おうとさらに皮脂を分泌する。常在菌の働きも弱まり、肌がアルカリ性に傾き、抗菌作用も失われ、結果、ニキビや吹き出物が出やすくなるというわけだ。
 なるほど。だから、少々オーバーに「顔を洗うのはおやめなさい」なのだ。

 「ダブル洗顔は、日本にしか見られない悪習です。クレンジングのあとはぬるま湯で洗い流すだけで十分。洗顔料による洗顔は1日1回でいいのです」

 ■化粧水パックは3分

 「一番大事なのは化粧品の選び方、使い方。高価な美容液を買うより、その美容液の効果を上げるつけ方を知ることの方が大事」という佐伯さんから、スキンケアの工夫を教わった。
 例えば化粧水パック。コットンは水で湿らせ、固く絞り、化粧水を染みこませる。それを2~3枚にはがし湿布のように顔に乗せて3分間。「それ以上やると逆に水分が逃げてしまう。上から顔にラップをかぶせ、お風呂に入るとさらに効果的」

 パックでふやけた肌には、美容液も浸透しやすい。「同じ美容液でも何倍もの効果が期待できます。シャンプーキャップを顔にかぶせて入浴するだけでも肌がしっとりします。口の部分をちょっと破いてね」。まさに目からウロコのアイデアである。
 「高価な道具なんていらない。最高の道具は手。それと心の変革さえあれば誰だってきれいになれますよ」

 一生化粧に縁がないと思っていたが、この際、スキンケアから始めてみようか。佐伯さんの最後の言葉は「何歳になっても遅すぎることはない。美肌への近道はあきらめないこと」。結構胸にこたえたのだった。

 熟年女性の心をとらえているのが「アンチエージング」というキーワード。老化(エージング)に抵抗する(アンチ)ことなのだ。50代以上が客の7割を占める京王百貨店新宿店でも「アンチエージングという言葉が流行して以来、熟年女性に高額の商品が売れるようになった」という。

 資生堂の「生活者と美の白書」(03年度版)によると、50代女性と60、70代女性とで肌に差が出るのはしわとたるみ。この対策をうたって同社が昨年11月に発売した純粋レチノール配合の目元用シートは1カ月に30万個を売る大ヒット商品となった。「60、70代女性が化粧品や美容院に使う金額は若い20代と変わらない。自宅でも化粧をしている人は6割に上り、若い世代を上回る」と白書は指摘する。

 一方、肌にメスを入れずシミやしわを取るアンチエージング治療も人気だ。トレチノインという軟膏(なんこう)でシミを取ったり、酸を使ったケミカルピーリングでしわやニキビ跡を消す、という方法だ。
 東北大学病院(仙台市)は01年から形成外科を形成・美容外科と改称し、トレチノイン治療を始めた。担当の斎藤ちひろ医師は「年間、新しく来院する患者の16%、約80人が美容目的。40~60代の女性が増えている。『エステに行ったが治らない、ひどくなった』という訴えが目立ち、医療機関での治療を望む人が来ているようだ」という。

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