抗がん剤投与に伴う口内炎に対する治療の方針
| 背 景 | 薬 剤 |
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| 大量化学療法や放射線療法併用を除く通常の化学療法及び分子標的薬 | 含嗽薬、鎮痛薬 |
| 造血幹細胞移植の前処置としての大量化学療法 移植片対宿主病(GVHD) | 含嗽薬、鎮痛薬 (感染が原因の口内炎がある場合は抗真菌薬、抗ウイルス薬) |
| 抗がん剤によりきたされる免疫低下による口腔カンジダ症や口腔ヘルペス症 | 抗真菌薬、抗ウイルス薬 |
用いられる薬剤
含嗽薬
【痛みがない場合】
| 生理食塩液含嗽液 |
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アズレンスルホン酸ナトリウム含嗽液 | 1回20mL程度含嗽に使用ぶくぶく含嗽を30秒程度実施し吐き出す |
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【痛みがある場合】
アズレンスルホン酸ナトリウム・リドカイン含嗽液 | 1回20mL程度含嗽に使用。 食直前に2分程度ぶくぶく含嗽を実施して吐き出す |
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- ・含嗽により口腔内清潔保持、保湿がなされる。
- ・生理食塩水であると口内炎への刺激が少ない。
- ・含嗽は何度でも実施してよいが、口腔内細菌が増殖する2時間毎に、1日8回程度を目標とするとよい。
- ・痛みがあればリドカイン塩酸塩液を使用する。
- ・グリセリン液は保湿目的であるが味が嫌な場合は抜いても良い。
- ・ヨードを含むポピドンヨード液は粘膜刺激性があり、また、組織の上皮化の阻害をきたす可能性があるため使用しない。
鎮痛薬
| アセトアミノフェン | 1日3~4回 最大4000mgまで |
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| NSAIDs(ロキソプロフェンナトリウム、ナプロキセン等) |
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| 医療用麻薬(モルヒネ、フェンタニル等) |
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- ・初回から高用量の鎮痛薬を用いるのではなくWHOの除痛ラダーに従って薬剤を使用する。
- ・肝機能低下時にはアセトアミノフェンは慎重投与。腎機能低下時には、腎機能障害をきたす可能性のあるNSAIDs、副作用が増強するモルヒネ製剤の使用を控え、腎機能に影響が少ないアセトアミノフェン、オキシコドン製剤などを使用する。
- ・頭頸部癌の化学放射線療法における鎮痛におけるOpioid pain control programにおいても造血幹細胞移植における患者自己管理鎮痛法(patient controlled analages:PCA)においてもオピオイドを用いた患者の痛みに応じた積極的な鎮痛を必要としている。
- ・経口摂取できない場合はフェンタニルパッチやオピオイド静注を使用する。
抗真菌薬
| ミコナゾールゲル経口用2%(1g/本) | 1回1本、1日4回 毎食後、寝る前に口腔内に塗布後もしくはできるだけ長く含んだ後に嚥下する |
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| イトラコナゾール内用液1% | 1回20mL、1日1回 空腹時に内服 |
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| アムホテリシンBシロップ (アムホテリシンBシロップ10%(100mg/mL)を50~100倍に希釈して調製) | 1回50mL、1日3~4回 口腔内にできるだけ長く含んで含嗽(またはその後に嚥下) |
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- ・カンジダ性口内炎への治療として抗真菌薬を使用する。
- ・投与後、数日にすみやかに改善することが多いため、多職種による早期発見と医師の判別が必要。
- ・アゾール系の抗真菌薬を用いる為に薬物間相互作用に注意する。
抗ウイルス薬
| バラシクロビル錠500mg | 1回1錠、1日2回 朝夕食後(もしくは1回2錠、1日3回)5~7日間 |
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| アシクロビル注250mg | 1回5mg/kg、1日3回 点滴静注、7日間 |
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- ・ヘルペス性口内炎への治療として抗ウイルス薬を使用する。
- ・ヘルペス抗体価は結果がでるまで時間がかかるので、それ確認する前に診断的に抗ウイルス薬を開始する。痛みは数日で改善することが多い。
- ・造血幹細胞移植前の免疫を大きく抑制する大量化学療法の際にはリスクが高くなるため、高リスク症例には抗ウイルス薬の予防投与も考慮する。
口腔用軟膏
| アズレンスルホン酸ナトリウム軟膏 |
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- ・創傷治癒促進、消炎作用、局所の浄化作用が期待される。
- ・痛みがある場合、リドカイン塩酸塩を混ぜたアズレンスルホン酸ナトリウム・リドカイン軟膏も有用(アズレンスルホン酸ナトリウム軟膏150gとリドカインゼリー30mLを混合)。
| ステロイド軟膏(デキサメタゾン、トリアムシノロン等) |
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- ・痛みが強い一時的なアフタ性の口内炎に対する接触時痛を保護する目的での使用はよいが一時的なアフタ性の口内炎と異なり、口内炎の期間が長く継続する抗がん剤による口内炎では感染の原因にもなるために使用は推奨されない。
クライオセラピー
| アイスボール、氷片等 | 薬物投与開始から30分間程度口に含み、口腔内を冷やす |
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- ・全てに有効というわけではなく、5-FUのボーラス投与、造血幹細胞移植における大量化学療法(大量メルファラン療法等)において
エビデンスがある。
(参考:フローチャートでわかるがん化学療法の副作用 南山堂)
※上記、フローチャート使用の際の留意点
- ・グレードに関わらず、飲食に影響する痛みの強い口内炎はすぐに相談するように指導する。
- ・痛みがある場合は積極的に鎮痛薬もしくはリドカイン含嗽を使用する。
- ・広範囲の口内炎は抗がん剤によるものではなく、感染や薬剤性口内炎の可能性が高い。
- ・経口抗がん剤を内服している場合には休薬の可否と再開に関して担当医に確認が必要。
- ・薬剤の他に、保湿、洗浄目的のスポンジブラシ、保湿剤、刺激の少ない歯磨き粉などの医薬部外品が役立つことがあるため、積極的な情報提供をおこなう。
- ・口内炎発症時には摂食困難、食事量低下をきたすことがあるため、栄養士に相談し、食事内容を相談することも一助となる。
- ・口内炎発症時には刺激となる成分を含むもの、熱い食べ物は刺激となるので避ける。また、内服薬であっても、口腔に広がるような粉薬は口内炎の刺激となることがある。