なんかすごいタイトルをつけてしまいましたが。
ある時期、お客さんから「あの人はスゴい!」と尊敬を集めるにはどうしたらいいのか、ということを考えました。まあ俗に言う「良い明細書」を書くというのは大前提として、そこからさらに一歩踏み込んで「さすがプロ中のプロ」と言われるにはどうしたらいいのかと。
そういうことを考えていたちょうどその時期だったか、その前後だったか忘れたんですけど、数年前、某クライアントさんの某プロジェクトで、某コンサル会社さんと一緒に仕事をさせてもらいました。そのときのコンサル会社さんの具体的な仕事の一つ一つには正直、特段の驚きも感動も無かったんですけど、一点、ものすごい感動を覚えたというかコンサル会社さんを猛烈に尊敬したことがありました。それは、彼らの「現場力」というか「その場力」です。
そのプロジェクトでは、技術者さんを集めてブレストというかディスカッションをするプロセスがありまして、コンサル会社さんとしては、おそらく事前に「今日はこういう感じで議論を進めよう」という作戦を練ってきてるというかシミュレーションをしてきていると思うのですが、技術者さんの中には、そういう筋道に乗らず、立ち止まってみたり、脇道に大きくそれてみたり、しまいにはちゃぶ台をひっくり返してスタート地点に戻ってしまったりする人がいるわけです。それでも、コンサル会社さんはめげない。立ち止まって、脇道に乗って、スタート地点に戻って、予定通りに進まない現場の風の流れを読み、最終的には、ゴールに向かって一歩でも歩を進める。そういうタフな精神力を現場で、その場で目の当たりにして、ワタクシはいたく感動をしたわけであります。
それとはまた別の話ですが、あるとき、弁護士さんだったか弁理士さんだったか忘れましたが、ブログで、「その場でズバっと答を出すのが本当のプロだ」という趣旨の記事を読んだ気がします。「気がします」とか非常に記憶が曖昧なんですけど、「『持ち帰って検討します』とか言って持ち帰ればいい案が出るのは当たり前で、その場でズバっと答えるのが本当のプロ」という趣旨だった気がします。
こういう事態を踏まえ、結局ワタクシは、自問自答の末、「その場」というのがキーワードだと結論しました。ワタクシは気づいたのです。「その場」こそがプロ中のプロとタダのプロを分けるポイントなのだと。大事なことなのでもう1回、弁理士っぽくいいますけど、「その場」こそがプロ中のプロとタダのプロを分けるメルクマールなのだと、気づいたんですエブリバディ。
ワタクシはさらに考えました。弁理士にとって「その場」とはどこか。これは割と簡単に結論が出ました。技術者(と知財担当者)との面談(打ち合わせ)です。(余談ですがワタクシ、「発明者」という言葉はあまり好きではありません。技術者とかエンジニアとかいう方が好きで、こっちを好んで使います。)
ワタクシはさらにさらに考えました。弁理士が技術者との面談で「ズバっと出す答」とは何か。これもすぐに思いつきました。それはクレームです。面談は明細書を書くためにやっているわけですから、そこで出すべき答は「何をクレームするか」です。
ワタクシはこの「答」を具現化するため、面談時に「クレームの骨子をホワイトボードに書き出す」ことに決めました。お客さんから貰う発明提案書にクレーム案みたいなものが書いてある場合も少なくありませんが、多くの場合は発明をうまく捕らえられておらず、要件が多すぎたり足りなかったり、あるいは全く違っているときもあります。そのあたりは、実際に技術者の方と会って話をしてみないとわかりません。
最初にこの挑戦をしたのはたぶん5〜6年前。しかも、本当に「その場」でできるか自信がなかったのであらかじめ予習をしてノートにクレーム骨子を書き出しておき、面談時にそれをホワイトボードに書き写すというズル(笑)をしました。
何回かやってると段々慣れてきて、予習をしなくてもその場でクレーム骨子を書き出せるようになりました。2年前から某クライアントさんの案件を全面的に任せてもらえるようになり、面談する件数が増えましたが、全件でクレーム骨子を書き出すことを自分へのノルマと課してやってきました。
ホワイトボードに書き出すと、耳で聞いただけだと流しちゃうようなところもちゃんとチェックができるので、技術者の方とか知財担当の方がこだわってるポイントというのがわりとはっきり分かるようになります。骨子なんで、そのまま出願できるような完璧なものを書くわけじゃないんですけど、お客さんがこだわってる文言とか表現は何回も書き直したりして練ります。「××」という文言は△△とか○○とかの場合も含むのか?という議論が出れば、クレームに含めたい(または除外したい)範囲もわかります。議論が目に見えるので、納得感が高いところに落ち着きやすいです。ホワイトボードの写真を撮って記録すれば、議事録代わりになります。
こんな感じで頑張ってるんですけど、残念ながら「さすがプロ中のプロ」とはまだ言われておりません。修行あるのみ。
コメントする