Photo:Daisuke Uchida
今までこんなバーを見たことがない。ドア横に「ひぐま1頭買い!」の文字、さらに店内のフードメニューには「自家製 鹿のジャーキー」「有機栽培野菜のピクルス富士酢プレミアムを使用」と並ぶ。
店内の随所に見られるオーナー菊地さんの異常とも言える本物への探究心と、オーガニックへのこだわり。中途半端な酒や食材は一切拒絶し、全てに一切手を抜かない姿勢は、もちろんチョコレートにも貫かれている。
オーガニックカカオ、オーガニックカシス、無農薬の抹茶など厳選された原料を使った手作りチョコが5種類。提案いただいたお酒も、すべて入手困難なレアものばかりだった。「今店に置いてあるオーガニックチョコレートに関しては、ウイスキー、ブランデー、コニャック以外のお酒は合いませんよ」と一刀両断。
■バーオーディンとは
恵比寿駅から徒歩1分、賑やかな通りに面したビル地下にあるバー。カウンターとテーブル席があり、重厚感のある渋い雰囲気だ。1994年9月オープン、今年で22年になる。売れ線の酒は置かず、店主自らが現地で直接購入したレア物のお酒が揃っている。カクテルに関しては 使用するフルーツは季節限定の無農薬や低農薬の有機栽培やその他のこだわりの栽培方法で作っている為、ある時とない時がある。など他のバーとは全く異なる究極度合い。店のコンセプトは「バーを芸術の域まで高めお客様の心に感動を与える」。個性的でこだわりが強いが、本物の味を求めるなら一度は挑戦したいディープな世界観だ。美味しくて安全な物を、手間暇かけて良心的に提供する。まがい物断固拒否の姿勢は清々しく潔い。純粋に理想を求め続ける孤高のバーである。
—今のお店をオープンするまではどこで働いていらしたんですか?
上野・六本木で修行した後27歳の時に今の場所で開店しました。自分でバーをやるなら安全かつ美味しいものを提供し、お酒もどこにも置いていないものを扱おうと決めていました。
市場に広く出回っているお酒を置いてないので、人気と味の反比例したよくあるスコッチやバーボンあまりありません。
そんなうちの店のことを知らずに来店されて、メジャーなお酒がないので席を立って帰ってしまうお客様もいましたが、今ではだいぶ分かってもらえるようになりました。
—カクテルも、使うフルーツが旬の時にしか出さないそうですね。
カクテルに関しては 使用するフルーツは季節限定の無農薬や低農薬の有機栽培やその他のこだわりの栽培方法で作っているので、ある時とない時があります。例えば鹿児島の無農薬無肥料のグレープフルーツは3月から4月一杯が旬なのでそれ以外の時期はお出ししていません。
勿論お客様のリクエストはありますが、お断りしています。他にはうちで使っている永田農法トマトは1月下旬から4月末ですのでそれ以外は出しません。
ご存知の様に有機栽培は高くて苺などは1粒で170円します。スーパーやコンビにで買えば、1パック500円程です。その様なフルーツを使用しているバーが殆どです。
原価が原価だけに他店より高いのは当たり前ですが、その分本物の価値を感じていただけるはずです。
—無農薬など体によいものへのこだわりが、すごいですね。
できるだけ無農薬、低農薬、さらに生産者の顔が見えるものを選んでいます。ブランデーも社長のサイン入りや現地調達したものが多いです。フランス、イタリアまで行って買って来たウイスキーやブランデーもあります。
—チョコレートも全て手作りですね。全て自家製とは、大変ですよね?
全然大変ではないです楽しいですよ。(笑)日々努力と研究と勉強です。私は素人なのでプロの方々よりはいい材料を使ってやっています。お客様からも「どうして作っているんですか?」と聞かれますが、専門店で売っているものを購入して店で出すと原価だけで1,300円くらいになってしまう。
お客様に最高の素材で作ったものを適正価格で提供するには、作るしかないんです。パティシエやシェフの知り合いが多いので、教えてもらって作っています。
最大のネックはバレンタインに誰にもチョコをもらえないことです。(笑)
店ではチョコ4種類を盛った形でお出しししますが、今回は新たに作ったスモークチョコも加えて、5種類それぞれのチョコに合うお酒を考えてみます。
ウイスキーやコニャックが合いますよね、まあ種類によってはカクテルでも合いますけど。 正直言いますと本当に美味しいお酒には、チョコも何も必要ありません。単体で飲むのが一番です。
おすすめのチョコレートセレクション1
柚子ピールのチョコ
無農薬栽培の柚子の皮をオーガニックシュガーに漬けて乾燥させたものに、テンパリングしたオーガニックチョコをコーティング。
ペアリング:プレーリー オーガニックジン , オーガニック柚子入りのジンリッキー
シュワっと発泡性のあるお酒がさっぱりとしていい
おすすめのチョコレートセレクション2
ボンボンショコラ
無農薬のカシスペーストにオーガニックチョコとオーガニック水飴、オーガニックコニャックでガナッシュを作り 表面にカカオ70%のチョコでコーティング
ペアリング:醸造所の社長サイン入りの現地で直接調達したコニャック。ゴーリー 1898年蒸留 , モワイエ1966 , ボンボンショコラに入っているオーガニックコニャック ギィピナールセレクション
Text:Eri Koizumi
Photo:Daisuke Uchida