音場シミュレーション / 幾何計算による音響特性のシミュレーション
音場シミュレーションは、対象とする音場の音響特性を検討するために行うコンピュータシミュレーションです。
コンサートホールを建築する場合、設計時に室内の音響特性を予測することによって、音響上好ましくないエコーの発生防止や均一な音圧分布を得るための形状・材質を検討することが出来ます。
音響シミュレーションは音を幾何的に扱う幾何音響シミュレーションと波動的に扱う波動音響シミュレーションに大別することが出来ます。幾何音響シミュレーションはレイ・トレーシング(ray tracing)手法であり、音源から多数の音線を出し受音点付近を通る音線を選択する音線法と音源の壁面に対する虚像(鏡像)を設定し受音点までの反射経路を反射次数に応じて算出する虚像法があります。
波動音響シミュレーションには有限要素法、境界要素法などがあります。
音響解析パラメータ、計算による音響指標
解析によって、室内の反射音のエコータイムパターン(反射パターン)や音のはりねずみ(到来方向と音の強さ)、音圧分布(カラーエリアマップ/コンター図)、カバーエリア、リバーブタイム(残響時間:RT60)、明瞭度(STI/RASTI)等の各種音響パラメータを求めることが出来ます。
- 音響シミュレーションの計算
エコータイムパターン
音源から受音点に到達する直接音と反射音の到来パターンを示すもので、音響上好ましくないエコーが発生していないかを確認することが出来ます。
音のはりねずみ
受音点にどの方向からどのくらいの強さで直接音と反射音が到来するかを示すもので、反射音の偏りを確認します。
音圧分布
音源から発した音が室内でどのように分布するかを示し、サービスエリアに音が均一に届くように室内音響を検討します。
カバーエリア
それぞれのスピーカの客席のカバーエリアを表示確認します。
リバーブタイム(残響時間)
室内の音のエネルギーが-60dBになるまでの時間を表し、使用目的に適合した残響かどうかを検討します。
明瞭度
明瞭度は話者の音声が明瞭に聴こえるかどうかの指標です。
音響シミュレーションを行うことで建築前に建築音響、電気音響の特性を視覚的に検討することが出来ますが、シミュレーション結果を利用すると建築前の室内音響の状態を信号処理で合成した音として聴くことが出来るようになります(音場合成)。
音場合成の応用 : ホールシミュレータ(ルームシミュレータ)
身近なところで音場合成技術が応用されている工業製品として、AVセンター(ホームシアター)があります。ホームシアター・システムに搭載されているサラウンドのホール/ルームシミュレーターはこのような音響シミュレーション技術を応用してDSPによる信号処理によって音場合成を行っています。
音場シミュレーションだけでなく、コンサートホールや映画館等の実際の音場の測定結果から反射音の到来方向、強さ、残響時間等を分析し、音場合成を行うタイプもあります。
分析、測定
音場の合成は、音響シミュレーションや測定で反射音の到来方向、時刻、強さ及び残響を解析した結果を利用して行います。シミュレーションでは各反射音一本一本の到来方向を求めることが出来ますが、測定の場合は音源と受音点のインパルス応答を測定しただけでは反射音の到来方向を求めることは出来ません。
そこで受音点近傍に複数のマイク(同一平面上にない少なくとも4つ以上のマイク)を設置し、各マイクに到達した反射音の組み合わせを相関法やマイク配置の構造から割り出し、到来方向を算出します。
信号処理と再現
各反射音の到来方向、時刻、強さが求まれば、到来方向は再生スピーカへの分配、時刻は遅延、強さはレベルとしてDSPによる信号処理によって音場を合成することが可能となります。
再生スピーカのレイアウトや音場のシミュレーション方法(代替手段)、合成の具体的な信号処理方法などは、AVメーカー各社のノウハウとなっています。
音場解析は、音場のインパルス応答測定による解析、コンピュータによる音場シミュレーションによる解析等の手法を用います。 | コンサートホールや劇場などの音場、音響空間を別の再生場所で再現する手法にバイノーラル録音・再生技術があります。 |
適応フィルタは、フィルタの出力を目標とする信号に近づけていくようにフィルタ係数を自己調整する機能を持ったデジタルフィルタです。 エコーキャンセル/ハウリング抑制 アクティブノイズキャンセル(ANC) |
エーアールアイは、音場解析・シミュレーションソフトウェア、適応制御によるエコーキャンセラ、ノイズキャンセルマイク等のハードウェア製品やソフトウェアの開発を行っています。ARI製品については「製品情報」、実績については「開発実績」に掲載しておりますのでご覧下さい。
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