- 「第38回 トリマー」:
専門学校で勉強した後、ペットサロンなどに勤務して経験を積むというのが、トリマーとして活躍するための一般的な方法です。ここでは、まさにそうした道を歩み、今年5月に「ドッグサロン スムージー」という自分のお店を開いた澤村潤子さん(39歳)に登場していただきましょう。
飼い主の要望を聞きつつ、最高のかわいらしさを追求
「小学生の皆さんには命あるものを大切に思う心を養ってほしいですね」と話す澤村潤子さん
トリマーの澤村潤子さんがお店を開いたのは、東京スカイツリーを間近に見上げる街。店名を「ドッグサロン スムージー」としたのは、猫を扱わない犬専門の美容院だからです。
サロンのドアを開けると、「かわいいものが大好き」という澤村さんの世界が広がっていました。その接客スペースの奥にあるのがトリミング室で、そこにはシャンプーのための流し台、カットやセットを行うときに犬を乗せる台、飼い主が迎えに来るまで入っていてもらう犬舎などがあります。
トリマーの腕の見せどころといえばカットです。澤村さんはカットに際してどんなことを大切にしているのでしょうか。
「犬種ごとに基本の形はありますが、毛の流れや骨格は1匹1匹違うので、その子のかわいらしさを最高に引き出すよう心がけています。また、飼い主さんによってカットの好みが異なりますから、ご要望をよく伺うことも大切ですね。もちろん、安全面に十分留意することが大前提です」
1回のトリミングで、うれしいことが3回
「ドッグサロン スムージー」の接客スペース。カラフルにペイントされたアンティークのデスクには、「ほとんどが特注の一点物」という犬用の洋服やアクセサリーがずらり。飼い主にもワンちゃんにもくつろいでもらえるよう、リビングのような空間になっています
澤村さんはカットに役立つヒントを日常生活に求めるそうです。写真、絵、風景、さまざまな商品のデザイン…。それらに犬の姿を重ねてみて、「トリミング全般に応用できないかな」と考えるとか。18年のキャリアを持つ澤村さんですが、毎日そんなふうにセンスを磨き続けています。
「1匹のワンちゃんの1回のトリミングで、うれしいときが3回あります。まずは、お迎えに来た飼い主さんが、かわいくなったワンちゃんを見て喜んでくださったとき。次に、ここにいる間、ワンちゃんが楽しんでくれている様子を感じたとき。そして、わたし自身、納得のいくトリミングができたときです」
さらに、こう付け加えます。「トリマーは犬の体に触れる仕事なので、飼い主さんも気づいていない体の異常にいち早く気づくことがあります。それが病気の早期発見につながり、ワンちゃんがより元気になれるお手伝いができることも、大きなやりがいですね」
爪切りと耳掃除を済ませたら、毛をよくブラッシングしてからシャンプーします。その後、ドライヤーで乾かし、いよいよカット。犬種によっても異なりますが、1匹をトリミングするには2時間程度かかります
上手にカットするだけでなく、掃除も大切な仕事
| 澤村潤子さんのキャリア | |
|---|---|
| 1994年 3月 | 東京愛犬専門学校卒業 |
| 4月 | 学生時代からアルバイトをしていたペットサロンに就職 |
| 2003年 9月 | 知人が経営するペットサロンに店長として勤務 |
| 2012年 5月 | 独立して、「ドッグサロン スムージー」を開業 |
犬を飼っている家庭で育ち、愛犬をシャンプーしたり、リボンでおしゃれをさせたりすることが大好きだったと言う澤村さん。中学生のときには愛犬のマルチーズをよくペットサロンに連れて行ったそうです。「うちの愛犬がかわいく、きれいになるのがうれしかったですね。いつもガラス越しにカットの様子を見ていたのですが、その作業に目がくぎ付けになっていました」
かわいい犬と毎日接することができるトリマーは、犬好きな人には本当に楽しい仕事です。しかし、わくわくすることばかりとは限りません。トリミング室や犬舎の掃除、トイレシートの交換などの仕事もあります。また、トリミングを嫌がる犬もいるので、経験豊富な澤村さんでもいまだに手をかまれることがあるそうです。
「初めのうちはイメージどおりにカットできず、悔しい思いをしたことも何度もあります。でも、経験を積むうちに、だんだん応用が利くようになってきて、今ではカットの最中がすごく楽しいです。今後の夢は海外のトリミング技術を学ぶこと。日本人とは感性が違うので、ぜひ取り入れてみたいですね」
特殊な技術が伴う仕事では、その仕事に特有の道具を使うことも珍しくありません。それはトリマーも同様です。澤村さんに愛用の道具を見せていただきました。
(1)バリカン/毛を短く刈る部分に使います。
(2)ブラシ類/毛玉・無駄毛取り用、ノミ取り用、ブラッシング用など、バラエティーに富んでいます。
(3)爪切りと爪やすり/爪切り(左)は爪を差し込む穴が開いていて、グリップを握ると刃物が出てきて切れるようになっています。
(4)はさみ類/仕上げばさみ、すきばさみなど、種類は豊富です。いちばん小さいはさみは学生時代から使い続けているとのこと。
(5)耳用器具/綿を巻き付けて耳掃除をしたり、耳毛をつまんで抜いたりするカンシ(左)と、耳のケア用品(右)。
(6)耳の手入れのためのパウダーと液体クリーナー
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