昨年2013年に、武田製薬が新たな肥満治療薬として製造承認を取得したオブリーン(一般名:セチリスタット)が注目を集めました。
本当に画期的なやせ薬であれば、2014年3月現在多くの批判を浴びているSTAP細胞が登場した時くらいのインパクトがある事件です。
今後保険適応にこぎつけるのかどうかは現時点ではわかりませんが、この一連の騒動について個人的に考察してみたいと思います。
効果不十分で保険適用を拒否される
オブリーンは日本初となるリパーゼ阻害薬で、すい臓が出すリパーゼという酵素を阻害することで、腸管からの脂肪吸収を抑制し、体重を減少させるというメカニズムの薬です。
適応としては「肥満症(ただし、2型糖尿病及び脂質異常症を共に有し、食事療法・運動療法を行ってもBMIが25kg/m2 以上の場合に限る)」となっており、このまま当てはめると多くの中高年の方が薬の適応ということになります。
製造承認取得後、中央社会保険医療協議会が効果が不十分だとしてこのオブリーンの保険適用を拒否するという件があり、現在武田製薬のホームページ上でも発売準備中とのみの記載になっていて今後どうなるかは情報がありません。
やせ薬は一攫千金の可能性をもつ
肥満に悩む方にとって、飲むだけでやせられる薬というものは非常に魅力的であることは間違いありません。そこに絡む特許などの利権は相当なものであり、やせ薬の研究はまさに一攫千金の研究なのだろうと思います。
やせ薬の開発のために製薬会社、研究機関含めて様々な領域で研究がなされていますが、画期的な効果をもつ薬は未だに見たことがありません。
冒頭でSTAP細胞登場くらいのインパクトと書きましたが、逆に保険適用により爆発的に広まったとして効果がなかったりするのであればSTAP細胞ほどの批判を浴びかねない薬だといえます。
もしこの薬が保険適用となれば、いわば厚生労働省のお墨付きのやせ薬ということになり、多くの方が欲しがり爆発的に広まる薬となる可能性が大いに考えられます。
オブリーンは保険適用に相応しい効果があるのか
臨床試験で認められた効果は、プラセボ(偽薬のことです)投与で52週後の体重減少は-1.103%であったのに対して、オブリーン投与で-2.776%という結果でした。
体重が70kgの人であれば、偽薬でおよそ0.8kgの体重減少、薬を飲んでもおよそ1.9kgの体重減少でその差は1.1kgということになります。
適応では「2 型糖尿病及び脂質異常症を共に有し、食事療法・運動療法を行ってもBMI が25kg/m2 以上の場合に限る」となっていますので、おそらくこのオブリーンを飲む人はすでにほかの糖尿病やコレステロールの薬を飲んでいる人が多くなると思われます。
この薬だけを飲むということになる人は少ないと考えられますが、既にほかの薬を飲んでいる人でも1kgちょっとの減量のために毎日飲む薬を一種類増やす価値があるのかと考えると疑問を抱いてしまします。
オブリーンは保険適用の壁を越えるか
いや実際飲んだらやせてるのだからいいじゃないかといわれるかもしれません。しかし、保険適用とするからには実際に薬をのむことによる体重減少が将来的な心筋梗塞や脳梗塞などの命に関わる病気の予防につながるのかと問わねばなりません。
残念ながら現時点ではそのようなデータはないようです。 そうすると現時点では、1kgちょっとのダイエットのために、この薬が爆発的に広まって、日本の医療費の中から保険でその費用が捻出されていくのが果たして是か非かという問題になってきます。
だからこそ中医協は慎重にならざるを得なかったと思われます。病気や寿命に関しての影響が証明されずに「やせ薬」というものが保険適応で爆発的に広まることはよく考えると恐ろしいことです。
まとめ
現時点ではオブリーンは保険適用とするには効果不十分との評価のようです。
個人的には薬の保険適用を待つくらいであれば運動したり、食事に気をつけたりしたほうが早いのではないかという気もしないではないです。
しかし、背景に大きな利権が絡んでいると思われるこの薬を製薬会社側が簡単に諦めるとは考えにくく、今後どうなるのかしばらく見守ってみたいと思います。