一般に脱腸と呼ばれている身体症状は、実はヘルニアの一種です。脱腸の状態は手術によって比較的簡単に治すことができる一方で、放置してしまうと命に関わることもあります。本稿では、一般に脱腸と呼ばれている症状について医学的な基礎的知識と症状、治療法などについての知識を簡潔にまとめました。
脱腸はヘルニアの一種?
「脱腸」という言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。「腸が脱(だっ)する」と書く事からなにかの病気ではないかということは推察されるところです。
しかし、脱腸が具体的にはなんの病気かというと即答できる方は少ないのではないでしょうか。
脱腸と呼ばれる病気は、正式には「鼠径ヘルニア(そけいへるにあ)」といいます。つまり、脱腸と呼ばれる病気は、実はヘルニアの一種です。
すると、次にヘルニアとは何かということが気になります。ヘルニアとは、体内の臓器などが本来あるべき場所から他の場所に移転してしまっていることを意味します。ヘルニアは臓器の移転ですので、身体のさまざまな場所で起こることがあります。
そして、一般に脱腸と呼ばれている、正式名称を鼠径ヘルニアという病気は、大腸や小腸などがお腹の壁(腹壁)を突き破ってしまい、本来あるべき場所から飛び出ている状態を指します。
このように脱腸と呼ばれる病気は、実はヘルニアの一種ということになります。
なお、鼠径とは太ももの付け根を意味します。脱腸、つまり、鼠径ヘルニアになってしまうと蝶が飛び出す関係から鼠径が膨れ上がってしまいます。このような状態から鼠径ヘルニアと呼ばれます。
少し恥ずかしいけれど放っておくとおそろしい鼠径ヘルニア
鼠径ヘルニアないしは脱腸が生じてしまう原因は、さまざまです。つまり、先天的に身体組織の作りが原因となるケース、肥満症や運動不足が原因となるケース、出産が原因となるケースなど、その原因はさまざまです。
そして鼠径ヘルニアは「脱腸」という言葉の響きが持つ一種の否定的なニュアンス、膨らみができる部位が内股などで診察を受けることがはばかられてしまうこと(特に女性の方の場合)から、つい放っておいてしまいがちとなります。
しかし、鼠径ヘルニアを放っておくと大変なことになる可能性があります。具体的には、腸が腐ってしまう可能性があります。
脱腸してしまった腸は、鼠径の部分の皮膚に飛び出します。そして、筋肉で締め付けられて硬くなり、元に戻らなくなってしまいます。この状態を嵌頓(かんとん)と呼びます。嵌頓となってしまうと、その箇所には血液が流れず、腐ってしまうことにつながります。
また、消化した食べ物の排泄までの働きができなくなって、腸閉塞を起こしてしまう可能性もあります。これらの血流の不具合、腸閉塞などが起きると命に危険が生じます。
そのため、鼠径ヘルニアになってしまった場合にはためらわずに病院へ行かなくてはなりません。
鼠径ヘルニアになってしまった場合には、初期には起立時やお腹に力を入れた際に足の付け根である鼠径部分に柔らかい膨らみができます。当初なら(まだ嵌頓となっていない間であれば)手で押せば元に戻るためにあまり気にしないままに過ごしてしまわれることも多くあります。
しかし、鼠径ヘルニアの状態が続くと徐々に痛み・違和感が強くなり、長時間立っていることがきつくなってきたり、息苦しい感じを覚えるようになってきたります。このような状態になってしまう前になるべく早い段階に病院で診断を受けることが大切です。
鼠径ヘルニアの治療
鼠径ヘルニアについては、基本的に手術をすることで対処がなされます。文字どおり、物理的に腸が「脱腸」してしまっていますので、薬などで回復させることは不可能であり、手術によって治療をすることになります。
手術といっても、鼠径ヘルニアの場合、1日で終了する手術(いわゆる日帰り手術)が可能となっていますので、入院をしなければならないということは、今日では少なくなっています。もちろん、保険診療の対象となりますので、費用もそれほどかかりません。217
まとめ:鼠径ヘルニアは早期の治療が何より大切
以上、本文で述べました鼠径ヘルニアないしは脱腸についてのポイントをまとめますと以下のようになります。
- 脱腸と呼ばれる症状は、正式には鼠径ヘルニアといいます。ヘルニアは臓器などが本来あるべき場所からほかの場所に移転してしまっていることをいいますが、鼠径ヘルニアは腸が本来あるべき場所から腹壁を通って飛び出してしまっている状態をいいます
- 鼠径ヘルニアないし脱腸は、放っておくことで腸が腐ってしまったり、腸閉塞を起こすなど命に関わることがあります。そのため、鼠径ヘルニアは決して放置してはいけない病気です
- 鼠径ヘルニアは、病院での手術で比較的簡易に治すことができます。最近では日帰り手術も可能です
鼠径ヘルニア・脱腸は、放置をしてしまうと大変な事態につながってしまうこともありえる一方で、早めに対処をすれば問題なく完治するものです。鼠径ヘルニアは早めの対策がなにより重要ということができます。
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